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今週半ばの小ネタ:ルックスが良い生徒は成績も良い?結婚の可能性を高める特徴は?男は妻を顔で選ぶ、女は夫を金で選ぶ!はどこまで正しい?

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

学生もルックスが良い人のほうが成績がいいのか?問題

見た目がいい人は収入が多い!ってのは経済学の世界じゃ有名な話。俗に「ビューティ・プレミアム」と呼ばれる現象で、一方で見た目が良くない人が不利な状況にハマってしまう現象は「不器量ペナルティ」などと呼ばれております。切ない言葉ですね。

 

 

で、近ごろチェックしたデータ(R)では、「ルックスが良い学生は成績もいいんじゃないか?」ってポイントを調べてくれてておもしろかったです。これはマイアミ大学の医療経済学グループの研究者によるもので、

 

  1. 高校生を集めて「身体的な魅力」「性格」「身だしなみ」を調べる
  2. 続いてみんなの高校時代の成績平均値(GPA)をチェックして比較する

 

みたいになってます。すると、ちょっとおもしろい結果が出ておりまして、

 

  • 身体的な魅力は男女ともに成績にプラスの影響を与える

  • ただし、身体的な魅力が成績に与えるプラスの効果は単独で考えた場合だけで、身だしなみや性格と合わせて考えると男女ともにマイナスの効果となる

  • 男子学生の場合、成績に最も大きな影響を与えるのは身だしなみだった

  • 女子学生の場合、性格が成績に大きな影響を与えていた

 

だったそうです。身体的な魅力よりもは、男子は身だしなみ、女子は性格が、それぞれ高校での学業成績をより強く予測していたそうで、過去のビューティ・プレミアム研究と比べるとちょっと意外な感じっすね。

 

 

まー、まだまだ初歩的なデータだし、日本でも同じ傾向が見られるかは謎なんすけど、「学生時代においては身だしなみと性格のほうが重要なのかも?」ってのはおもしろい観点ですね(まぁ身だしなみができる人は真面目だから成績も良いだけって気もしますが……)。

 

 

 

結婚の可能性を高める特徴とは?

モテの科学」でずっとお伝えしてるとおり、恋愛でモテる人には一定の共通点がありまして、だいたい健康状態がいい人、優しい人、社会的地位がある人ほど有利だったりすることがわかってたりします。では、結婚や同棲に適している特性はあるのか?ってことで、そのへんを調べたデータ(R)が出ておりました。

 

 

これは9,835人のサンプルを分析したもので、みんなを約8年ほど追跡した研究になっております。面接官が参加者の個人的特徴を評価してから、それぞれが結婚や同棲に至るまでを追っかけたんだそうで、なかなか大変っすね。

 

 

ってことで、8年の追跡の結果なにがわかったかと言いますと、こんな感じです。

 

  • 身体的な魅力、性格、身だしなみなどのレベルが高い人ほど、男女ともに結婚関係を結ぶ確率が高くなる。ただし、恋愛感情をベースにした同棲関係を結ぶことには大きな影響はなかった

 

  • 結婚した回答者の52%、結婚にいたる同棲関係にあった回答者の51.7%が身体的な魅力で平均以上と評価されたのに対し、結婚しなかった同棲関係にある回答者の45.9%、結婚も同棲もしていない回答者の43.6%が魅力度で平均以上と評価さた。性格や身だしなみについても同様の結果が得られた

     

  • 平均以上の身だしなみを持つ女性は同棲する可能性が低く、同棲しても結婚する可能性が低い

  • 男性の場合、結婚する可能性と最も強い相関があったのは「平均以上の性格を持っているか?」どうかだった

  • 身体的な魅力が平均以上の男性は、同棲する確率が高いが、それが結婚にいたらない可能性も高い

 

ってことで、ルックスが良い男性は同棲する可能性が高く、平均以上の性格を持つ男性は結婚する可能性が高いってことで、なんとなく納得できる結果になってますね。
 

 

 

この結果についてチームは、「今回の結果は、アリストテレスの有名な言葉『全体は部分の総和以上である』が、個人の特性と結婚に関しても適切であることを示しています」と述べてまして、要するに「みんな結婚についてはいろんな特性を考慮するよー」ってことでして、そこらへんは短期的な付き合いもふくむ恋愛市場との大きな違いかもしれないっすね。言い換えれば、結婚相手を探す場面においては、見た目が悪くても、別の強みで克服できる可能性が十分あるってことでして、長期的なパートナーをお探しの方には良い話かもしれないですな。

 

 

 

男は妻を顔で選ぶ、女は夫を金で選ぶ!はどこまで正しいのか問題

「トロフィーワイフ」って言い方があるじゃないすか。欧米でよく聞くステレオタイプの一種で、「金持ちの男は妻を顔で選ぶ!学歴や収入は気にしない!」「見た目がよい女性は金持ちの男が大好き!外見などの他の特徴は重視しない!」みたいなやつで、日本でも私のようなオッサン世代ほどありがちな偏見かもしれないっすね。

 

 

で、新しい研究(R)では、「トロフィーワイフのステレオタイプって正しいの?現実をちゃんと反映してるの?」ってとこを調べてていい感じでした。これは若いカップルを対象にしたテストで、パートナー双方にインタビューを行って「そもそもなんで相手と付き合ってるんですか?」ってのを聞きまくったんだそうな。

 

 

すると、その結論がどうだったかと言いますと、

 

  • ハンサムな男性はきれいな女性とパートナーになりやすく、成功した男性は成功した女性とパートナーになりやすい

 

  • パートナー選択において最も強い力を持つのは、学歴、人種、宗教、身体的魅力の類似性である

 

だったそうです。つまり、男性は女性の見た目をそこまで重視してるわけじゃないし、女性は男性の財力をそこまで重視してるわけでもないってことっすね。実はトロフィーワイフってのは稀なケースなわけですな。

 

 

一方で、「恋愛において最も重要なのは類似性である!」ってのは従来のデータとも整合性がありまして、「やっぱそうですよねー」って印象でありました。最終的には、みんな自分に似た人を探そうぜ!ってことすかね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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