資産1億以上の人はどんな性格の持ち主なのか?を調べた研究の話
富を築きやすい人の心理については「サイコロジー・オブ・マネー」なんて本がありますが、新たに「大金持ちに特有の性格は?」ってのを調べたデータ(R)が出ておりました。金持ちになる方法としては、価値の高い技術や金融ノウハウなどいろいろありますが、持ち前の性格もかなり影響してるんじゃないか、という話ですね。
これはマインツ大学などの研究で、ドイツ社会経済パネルのデータを分析したものですし。このパネルは、約2万人以上のドイツ住民を対象に毎年行われている調査で、特に裕福な人々のサブサンプルがふくまれているのがポイント。主に収入よりも純資産に焦点を当てて分析を行ってまして、参加者の資産(不動産、株式、個人事業など)と負債(住宅ローン、借入金など)に関する情報をもとに比較する数字を算出しております。確かに、資産のほうが全体的な裕福さをよりよく測定できそうですんもんね。
最終的に、研究チームは、純資産が100万ユーロ(1億3000万円ぐらい)以上ある人を「金持ち」、80万ユーロ(1億円ぐらい)以下の人を「非金持ち」と分類。また、主に自営業や起業によって富を得た人を「自営業者」、贈与や相続によって富を得た人を「相続者」、その中間の人を「混合者」と分類しております。
そのうえで、さらに調査の一環として、参加者みんなにビッグファイブの性格特性に関する簡単なアンケートと、リスクテイク傾向を調べるためのテストに答えてもらったんだそうな。そこで何がわかったかというと、こんな感じです。
- 富裕層は非富裕層とは違う性格を持っていた
- 金持ちに特有の性格とは、リスク許容度、開放性、外向性、誠実性が高く、神経症傾向が低い
- 金持ちはわずかに好感度が低かったが、これは統計的に有意でなかった
- 上記のような性格特性は、自力で富を築いた自営業者にもっとも顕著であり、次に混合者のなかにも多かった。逆に、相続者はこの性格プロファイルにあまり適合していなかった。
- 非金持ちのサンプルの中には、(比較的控えめな)富を自力で築いた参加者もわずかながら存在した。そして、これらの人々は、富裕層の人々と同様の性格プロフィールを示していた(ただし、そこまで顕著ではない)
ということで、全体として、リスク耐性、好奇心、社交性、勤勉さ、メンタルの安定性という5つの要因が高い人ほど、お金持ちになりやすいわけですね。
まー、いずれも納得のラインナップでして、自分で決めた目標を達成できなかったらお金は稼げないだろうし(誠実性)、社交的でメンタルが安定してないと人脈はつながらないだろうし、新しいことにオープンでないと仕事のチャンスも失うだろうから、「そりゃそうだよなー」みたいな話ですね。
ちなみに、この研究におけるいくつかの注意点を挙げておくと、
- 非金持ちグループの自営業者でも、高い純資産を持たずに金持ちと同じような性格プロファイルを示したケースも結構ある
- 相関研究でしかないので、因果関係についての決定的な結論を出すのはほぼ無理。金持ちになると性格が変わるということもあり得るし、むしろその逆のこともあり得るんで、そこについてはなんとも言えない(もっとも、研究チームは、これらの性格特性は、富を相続した人よりも自力で億万長者になった人の方がはるかに顕著だったため、性格が金持ちになる原因だろうと推測している)
- ドイツ人しか対象にしていないので、それ以外の国でも、富裕層と非富裕層の間に同じような性格の違いがあるかどうかはまだ分かっていない
って感じになります。このあたりは念頭においておくといいでしょうね。
ちなみに、私の場合は誠実性と開放性はかなり高く、メンタルはそこそこ安定しており、リスク耐性と社交性がほぼゼロというスペックなので、「この2つが足を引っ張っているのか!」とあらためて思い知らされました。とはいえ、近年の研究では、人間の性格は少しずつなら変えられるって見解が一般的なので、「今年こそダメな性格を変えたい!というあなたに送る246の行動チャレンジリスト」などを参考に性格を変えていくのもいいかもしれません。社交性を鍛えるか……。