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今週末の小ネタ:自分磨きで免疫システムが正常化、結婚したほうが年収が高くなる、1日5分のトレーニングで薬や運動より血圧が改善


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

   

 

 

自分磨きで免疫システムが正常化するかもだ!

自分磨きで免疫システムが改善!」みたいなデータ(R)が出ておりました。ここでいう「自分磨き」ってのは自分の魅力を高めるための努力ではなく、春日語でいうところのアレです。非常にまわりくどい言い方をしてますが、シモ系のワードを書くとグーグル先生が怒るのでご了承ください。

 

 

で、この11人のボランティアグループを対象にしたもので、

 

  1. みんなに自分磨きをしてもらう

  2. 自分磨きの5分前と45分後に、各参加者の白血球数を測定

 

みたいな感じになっております。その結果、自分磨きをした後は、ほとんどの参加者の白血球、特に感染症を撃退するナチュラルキラー細胞の数が増加していたんだそうな。ほほー。

 

 

自分磨きで免疫系の働きがよくなる理由はまだそこまでハッキリしていないものの、

 

  • 自分磨きをするとドーパミンが急増し、それとともにオキシトシンが増加。そのおかげでコルチゾールレベルが低下し、免疫システムの正常化につながるのでは?

 

などと思われております。愛情ホルモンことオキシトシンが増えたのが原因でストレスホルモンが減り、結果として脳がよりリラックス状態になり、最後には免疫システムにまで良い影響が出るのではないか、と。これは確かにありそうな話ですね。

 

 

ってことで、免疫系を最適な状態に保つために必要なことはたくさんありますけども、自分磨きもその手段のひとつとしてカウントしておくと良いかもしれないっすね。

 

 

 

なぜ結婚したほうが年収が高くなるのか?

結婚している人は独身の人よりも年収が多い!って話はよく聞くことろです。これは日本でもアメリカでも見られる現象で、全体的に既婚者の方が収入が多い傾向にあり、特に男性その傾向が強かったりするんですよ。

 

 

このような現象がなぜ起きるのか?ってとこについてはいろんな仮説がありまして、

 

  • 年収が多い人ほど魅力的に思われて結婚しやすいから?
  • 結婚した人ほど責任感がわいてもっとがんばって働くから?

 

みたいなことが言われてるんですけど、新しい研究(R)では「なぜ結婚したほうが年収が高くなるのか?」って問題について一定の回答をしてくれておりました。

 

 

この研究は、 独身者と既婚者の仕事探しをシミュレーションするモデルを構築し、仕事探しの期間や労力、リスクなどを組み込んで計算したもので、いままでにないアプローチでおもしろいっすね。でもって、難しいところはバッサリ省いて、どのような答えがあきらかになったかと申しますと、

 

  • 既婚者はパートナーの収入に頼りつつ仕事を探すことができるため、より多くの時間をかけて仕事を厳選することができる
  • 独身の場合は、自分以外に収入源がない状態で仕事を探す際は、おそらく最初に就ける仕事に就くだろうと考えられる
  • 全体的には、既婚者のほうが早く出世する傾向もある。これは、既婚者が「自分の現在の賃金が、配偶者の仕事探しに影響するだろう」と理解しているため、仕事探しにコストがかかっても、より良い仕事を見つけるために大きな努力をする傾向があるからだと思われる

 

って感じです。要するに、金がある人はモテるから既婚者ほど年収が高くなるのではなく、既婚者はパートナーの稼ぎがバッファとして働くから、そのおかげで最終的な収入があがるのかもしれないんだ、と。あくまでモデルから出てきた結論なので、そこまで確定的でもないですけど、わりと説得力がありますな。

 

研究チームいわく、

 

今回の研究アプローチにより、既婚の男性ほど賃金が多い理由の3分の1まで、女性では半分以上を説明できる。

 

とのこと。ちなみに、この研究では、

 

  • 配偶者の学歴が上がると、両方のパートナーが恩恵を受けやすくなる

 

  • 高学歴の者は、労働市場においてより高いリターンを得ることができ、平均賃金が高いだけでなく、よりスピーディに賃金が上がっていきやすい

 

なんて話も出てまして、やはり学歴ってのは賃金を予測する指標として使えるんだなーって感じもした次第です。

 

 

 

1日5分のトレーニングで薬や運動より血圧を改善させるには?

IMSTって吸法を1日5分行うと、薬や運動と同じくらい高血圧が改善するかも!」みたいな研究(R)が、カリフォルニア大学ボルダー校などから発表されておりました。

 

 

IMSTってのは呼吸に使う筋肉を強化するために1980年代に開発された技術で、以下のような器具を使って行います。

 

 

このデバイスは呼吸に抵抗を与えるよう設計されてまして、何度か繰り返すことで呼吸筋を鍛えられるんですな。実は私も上記のパワーブリーズは持ってるのですが、わりとトレーニングとしてはキツめでして、近ごろは使わなくなってしまったんですよね。

 

 

で、研究チーム50歳から79歳までの36名の被験者を集め、そのうち半分に6週間にわたって1日5分のIMSTを実施。残りの半数には、同じ頻度でIMSTを行ってもらったが、トレーニングの負荷ははるかに低く設定したそうな。

 

 

すると、6週間後の結果を見てみると、低い負荷のトレーニングを行ったグループの血圧は同じだったものの、高負荷なIMSTを行った人たちは最高血圧が平均9ポイント低下したんだそうな。9ポイントってのは、いくつかの薬で期待される効果とほぼ同じレベルであり、1日30分のウォーキングを週5日行うよりも効果が大きいんだそうな。これはすごい……。

 

 

ちなみに、IMSTがどのようにして血圧を下げるのかについては研究チームもよく分かっていないので、現時点では本当に効果があるかどうかは断言できないものの、安全性はかなりたかいトレーニングなので、試してみてもいいかもですね。自分も呼吸トレーニングの一貫として、ひさびさに再開してみるか……。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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