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今週の小ネタ:筋トレ後の水風呂は筋肉に良くない?プロテインでニキビは増える?極端なことさえ言えば『いいね!』を稼げる?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 
筋トレ後の水風呂は筋肉に良くないんじゃない?

運動の後に冷水に体を浸すと筋トレの効果が鈍るぞ!」ってメタ分析(R)が出ておりました。

 

昔から、運動の後に冷水で体を冷やすと疲労の回復が速くなり、その後のトレーニングや競技のパフォーマンスが上がると言われてまして、実際に効果を示唆するデータ(R)も多いんですよ。この効果を説明するメカニズムはいくつかありますが、ひとつには、冷水が中核体温を低下させ、脳の血流と酸素供給を促進することにより、中枢神経系(CNS)の疲労を軽減するからだと言われてたりします。

 

では、冷水にデメリットはないのか?ってことで、今回のメタ分析では、過去の研究から8件のRCTをピックアップして、大きな結論を出してくれております。この研究の中身をざっくりまとめておくと、

 

  • 参加者は合計116名(平均20~26歳、女性は2名のみ)
  • 研究期間は4~12週間で、筋トレの頻度は週に2~3回
  • すべての研究で、参加者を運動後に冷水に浸かってもらっている。冷水の温度は10~15℃で、トレーニングをした部位を10~20分間ほど冷やした。
  • みんなの筋肉のサイズを計測して、冷水がどんな影響を与えるのかをチェックした。

 

って感じで、「筋トレの後で水風呂に入ると、筋肉の成長に影響は出るのか?」ってところを調べたわけですね。

 

その結果がどうだったのかと言いますと、

 

  • 筋トレの後に体を冷水に浸すと、筋肉の肥大にちょっとだけブレーキがかかった。
  • 実験の期間、参加者のトレーニング状況、トレーニング頻度は結果に影響しなかった。

 

ということで、筋肉をデカくしたい方にとっては、トレーニング後の冷水はあまり良くないかもしれないらしい。運動後に水風呂に入るのが好きな人には、ちょっと悩ましいポイントですね。

 

まぁ、そうは言っても、データで確認された効果量はかなり小さいので、「俺は筋トレ後の水風呂が好きなんだ!」という人は、そこまで気にしなくても良い気がしております。過去のメタ分析(R)でも、身体を冷水に浸すと筋肉痛が減るし、クレアチンキナーゼと乳酸のレベルが低下するって報告が出てるんで、やっぱ冷水にはメリットがありますしね。

 

なので、「筋トレの後に身体を冷やすべきかどうか?」は好みの問題じゃないかと思う次第。個人的には、今後も定期的に冷水を使っていこうと思ってます。

 

 

 

プロテインでニキビは増える?

ホエイプロテインでニキビが増えるのでは?って説が昔からあるんですよ。乳製品はインスリンの分泌を促進してニキビの発症につながりやすいんで、それならばホエイプロテインも同じような問題を起こすんじゃないかと考えられるわけですね。

 

で、新しいデータ(R)もそのへんを調べてくれていて、軽度から中等度のニキビに悩む男性49名を対象に、「ホエイプロテインでニキビは増えるのか?」をチェックしております。

 

実験の期間は6ヵ月で、参加者を、1日30gのホエイプロテインを摂取するグループと、プラセボを摂取するグループに割り付けて、ニキビが悪化するかどうかをチェックしたんですね。当然、すべての参加者には、他のホエイプロテインを使わせず、1日1カートンを超える牛乳を飲まないよう指示されております。

 

その上で、ニキビの総数や重症度の変化を調べたら、

 

  • グループ間に明らかな差はなかった!

 

って結果だったそうです。1日30gってのは、ガチのプロテイン好きには少ないような気もしますが、普通に使うぶんには影響がないのかも?って結論ですね。

 

もっとも、ホエイプロテインとニキビの関係については過去にも調査されていて、一方では「ホエイプロテインでニキビが悪化した!」って報告は少なくないので、そこはご注意ください。いまの時点で私の考えとしては、「おそらくホエイプロテインの影響はあるんだろうけど、重症の人でもない限りはビビらなくてもいいんじゃないかなぁ……」ぐらいのスタンスでおります。ニキビにお困りの方であればホエイプロテインを控える意味はあるかもですが、それ以外であれば、普通にプロテインを使っていればいいんじゃないかと。

 

 

 

極端なことさえ言えば『いいね!』を稼げる?

極端なことを言うと『いいね!』が増えるぞ!」って研究(R)が出ておりました。これはニューヨーク州立大学などの研究で、GABってSNSからユーザーの投稿を収集し、約5年分のデータを分析。約3,000人のユーザーからの約147,000件の投稿を調べて、

 

  1. 投稿の内容が、一般的な投稿からどれぐらい偏っているか?
  2. 偏った投稿はどれぐらい人気があるのか?

 

ってポイントを調べたんだそうな。すると、一般的な規範からより大きく外れたアイデアほど、一貫して多くの「いいね!」を獲得していたとのこと。この研究では、ツイッターに似た独自のSNSでも検証を行っているんですけど、タスクの性質やプラットフォームに関係なく、「偏った投稿ほど人気がある」って傾向が確認されたらしい。

 

さらに、データを詳しく見てみると、

 

  • よりエキセントリックな投稿(SNS内でよく見られる議論から離れた投稿)ほど「いいね!」の数が多い。
  • 極端な投稿ほど人気になる傾向は、政治の話題だけでなく、一般的なトピックでも一貫して確認された。

 

という結果だったそうで、研究チームいわく、

 

ソーシャルメディア上で人気を維持するためには、よりエキセントリックな意見が必要であることが実証された。政治的、宗教的な話題でなくとも、何かについて注目を集めたいのであれば、極端なことを言えば注目を集められる。

ヒトには「社会的に受け入れられたい」「人気や影響力を得たい」と願う本能があるため、中心から外れた意見を述べることで隣人の注目を集めようとする圧力が働く。そして、そこには同じような意見を共有する人が集まるため、分の意見が、他の人と比べてより極端になっていることに気づくのが難しくなる

 

とのこと。最初は簡単に目立つために「極端な意見」を言っていたのに、そのような意見を好む人たちに囲まれるせいで、やがて自分の偏りが見えなくなってしまうんだ、と。こうして見ると、SNSのインフルエンサーたちが、「極端に偏った意見」「無根拠で断言する投稿」「他人を煽る投稿」などをしまくったあげく、ついには一線を超えて大炎上しがちなのも当然って感じがしますね。

 

とはいえ、人間であれば、このような圧力には常にさらされているはずなんで、「自分の偏りってどれぐらいなんだろ……」とモニタリングする癖はつけといたほうが良いかもですね。


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