50代以降の恋愛は、若いころより幸せなのか?を調べた研究でわかったこと
結婚や恋愛というと、なんとなく若い人のイベントだと思われがち。しかし、近年は50代以降で離婚する「熟年離婚」が増えてまして、それにともない、新しいパートナーを見つける人も珍しくなくなってたりします。
では、年を取ってから始めた恋愛は、実際のところうまくいくのか?ってことで、この問題について、近年の研究(R)が興味深いデータを報告していたので、チェックしてみましょう。
これはボウリング・グリーン州立大学などの研究で、チームはアメリカで長期間にわたって行われた「Health and Retirement Study」って大規模な調査データを使い、50歳以降に離婚や別居を経験した人たちが、その後でどのような人生を送ったのかを調べたんだそうな。
すると、そこでまずわかったのが、晩年の離婚を経験したあとに、新しいパートナーを得た人の割合は、
- 男性:約37%
- 女性:約22%
だったそうな。男性のほうが再びパートナーを見つけやすい傾向が見て取れますが、これはおそらく、
- 高齢になるほど、男性のほうがどんどん死んでいき、女性の人口が多くなるからかも
- 高齢女性にとって、再婚は家事や介護の負担が増えることも意味するため、男性より再婚を望まないことが多いのかも
- 男性は退職後に収入が減り、同時に加齢によって介護を必要とする可能性が高まる。そのため、女性側からすれば、「再婚によって得られるものより、負担のほうが大きいのでは?」という判断になりやすいのかも
みたいなとこが大きいんでしょうな。実際、50歳以降に新しいパートナーを得た人たちの多くは、結婚ではなく同棲を選んでたりするらしいですからね。「パートナーが欲しい!」って欲求はあるものの、財産、相続、介護などの問題を考えると、正式な結婚までは必要ないと判断する人が多いんじゃないかと思うわけです。
でもって、続いて「どんな人ほど再婚するのか?」ってとこを見てみましょう。この疑問については、なんとなく「やっぱ財産がある人とかじゃない?」みたいに思っちゃうわけですけども、実際のところは、
- その後のパートナー形成を強く左右したのは、本人の「結婚歴」だった。
- 教育年数、雇用状況、持ち家、健康状態、社会的なつながりなどを考慮しても、上記の相関は残った。
って感じで、経済力よりも、それまでにどんな結婚生活を経験してきたかのほうが重要だったんだそうな。もうちょい具体的に言うと、
- 別居状態の人より、正式に離婚した人のほうが新しい関係に進みやすい
- 初婚を終えた人より、再婚を終えた人のほうが、再びパートナーを得やすい
- 過去の結婚期間が長い男性ほど、新しい相手を求めやすい
といった傾向が確認されたんだそうな。つまり、長くパートナーと暮らしてきた人ほど、「もう恋愛はこりごりだ」と考えるわけじゃなくて、むしろ誰かと生活することに慣れているぶん、再び親密な関係に進みやすいってことですな。
そうなりますと、次に「年を取ってから始まる恋愛は、若いころの恋愛と違いが出るのか?」ってところも気になりますけども、残念ながら今回のデータではそのへんのことはわからず。そこで、この点については別の研究として、ハイファ大学の研究者が2022年に発表した研究(R)が参考になります。
こちらは、66〜92歳の38組のカップルに詳しいインタビューを行ったもので、晩年の恋愛を本人たちがどう感じているのかを分析したんですよ。その結果、参加者たちが語る愛には、若者の恋愛とは違った特徴が見られまして、具体的には、
- 晩年の恋愛は
- 一緒にいると心地よい「穏やかな愛」
- 相手を深く気づかう「親のような愛」
- 強い一体感をともなう「兄弟姉妹のような愛」
といった表現が多かったんだそうな。もちろん、「激しい愛情を感じる」と語る人もいたし、情熱が完全になくなるわけでもないんだけど、全体としては、激しい感情よりも、思いやりや安心感、付き合いのよさが中心だったわけですね。まぁ、年をとったらそんなもんでしょうな。
特におもしろいのは、高齢者の恋愛でも「この人は自分にとって特別な一人だ」って感覚が保たれてたとこです。年齢を重ねた恋愛というと、「寂しいから誰かと一緒にいるだけでは?」みたいなイメージもあるんだけど、実際には、ちゃんとしたコミットメントがあったわけですな。
もっとも、この研究だけで、「高齢期の恋愛は若いころより幸せだ」とまで言うのは難しいところではあります。インタビュー研究は参加者の主観を調べたものだし、新しいパートナーとの関係がうまくいかなかった人は、そもそも調査に参加しにくい可能性もありますからねぇ。
とはいえ、今回のデータからは「年を取ったら、もう深い恋愛関係は作れない」と考える必要はなさげ。晩年の恋愛は、若いころの恋愛の縮小版ってわけではなくて、情熱の代わりに、安心感、思いやり、友情、コミットメントなどが前面に出た、ひとあじ違った形の親密さだと考えたほうがよいでしょうな。私もそんな感じなので、これはめっちゃわかりますね。年をとって新しい関係を望む人にとっては、なかなか希望の持てるデータではないでしょうか。



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