運動不足の問題は「太る」とか「病気になる」だけじゃなく、「日常生活に耐えられない体」になっちゃうからじゃないか問題
「運動不足で日常生活にどんな悪影響が出るのか?」って問題を調べた研究(R)が出ておりました。運動が体にいいってのは当たり前なんですけども、身体活動の少なさが腰痛や首痛、日常生活の不自由さとどれぐらい関係しているのか?みたいな話ですな。
この研究は、NHANESというアメリカの大規模な健康調査データを使ったもので、代謝、生活習慣、腰痛、首の痛みなどと運動の関係を調べたものです。対象は、痛みの分析で10,286人、機能制限の分析で28,513人と、なかなか大きめのデータであります。機能制限ってのは、背中や首の問題によって日常生活に支障が出ている状態のことで、つまりこの研究では「運動によって痛みや日常生活の不自由さがどう変わるのか?」を調べたわけですな。
腰痛・首痛に一番効いてそうだったのは「運動不足」だった
というわけで、今回の研究でチェックしたのは、以下のような要素であります。
- 腹の肥満
- 血糖値の高さ
- 血圧の高さ
- 脂質の異常
- 喫煙
- 過度な飲酒
- 食事の質
- 身体活動量
これらを「良好」「中程度」「悪い」みたいに分類して、腰痛や首痛との関係を見たんですな。要するに、健康的な生活をしている人と、あまり健康的ではない生活をしている人で、腰や首の痛みに差があるのかをチェックしたってことです。
で、分析の結果がどうだったかと言いますと、
- 生活習慣が悪い人ほど、腰痛、首痛、機能制限のリスクが高い傾向があった。特にインパクトが大きかったのが運動不足で、こいつが腰痛や首痛にどれぐらい関わっていそうかを見ると、腰痛では20.8%、首痛では20.5%って感じ
だったそうです。簡単に言えば、数ある要素のなかでも、運動不足が腰痛や首痛の最大の原因なのかもしれないわけっすね。
もちろん、これは横断研究なんで、「運動不足が腰痛を引き起こした!」と断定することはできません。腰痛があるから運動しなくなった可能性もありますし、もともと不健康な生活習慣の人が、食事、喫煙、睡眠、運動など全部まとめて悪くなっている可能性もありますからね。そこは解釈に注意が必要なんだけど、とりあえず「運動をしないことによって腰痛や首痛のリスクが高まるっぽい」ぐらいに考えておくといいでしょうね。
まぁ、これは当たり前の話で、体の組織には「耐えられる負荷の上限」がありますからね。その点で、普段からそれなりに動いている人は、耐えられる負荷の上限が高くなるので、買い物袋を持つ、階段を上る、子どもを抱っこする、長時間座ったあとに立ち上がる、旅行で歩き回る、みたいな日常の負荷にも耐えやすくなるはずなんですよ。
一方で、ほとんど動かない生活をしていると、体の耐荷重がどんどん下がっちゃうので、日常のちょっとした動作が「自分の体にとっては過剰負荷」になっちゃうんですよ。言い換えれば、運動不足の人は、日常生活そのものが高強度トレーニングになってしまう、みたいなイメージですな。
これはかなり怖い話でして、本人は普通に過ごしているつもりでも、実際には体の予備パワーみたいなもんがどんどん減っているわけですからね。こうなると、ちょっと重いものを持っただけで腰を痛めたり、久々に歩き回っただけで膝や足首が痛くなったりしまして、どんどん普通の日常生活を送ることすらおぼつかなっていくんですな。
体の痛みを減らすための運動スイートスポットはかなり広そう
では、どうすればいいのか?ってことですが、この文献から知見を引き出すのであれば、
- 運動は、少なすぎず、多すぎず、少しずつ増やすべし
みたいになるでしょうな。実に「当たり前じゃん!」って結論ですけども、運動にまつわるリスクは、せんじつめれば以下の2パターンに集約されるもんでして、
- 負荷が少なすぎるせいで、体が日常の負荷に適応せず、日常生活をうまく送れなくなっていく。
- 負荷を急に増やしすぎるせいで、体が適応する前に組織へ過剰なストレスがかかり、痛みやケガにつながってしまう。
みたいになります。運動の負荷が少なくても多すぎても危険になっちゃうんで、「まったく動かない」「いきなり頑張りすぎる」の2つさえ避ければ、基本的にはたいした問題は起きないんですよね。
なので、もしあなたがいま完全に運動ビギナーであるなら、最初から「週5で筋トレ!」とか「毎日10kmラン!」みたいに気合いを入れず、
- 1日20〜30分歩く
- 週2回だけ全身の筋トレをする
- スクワット、腕立て、ヒップヒンジ、ローイング系を軽く入れる
- 痛みが強い日は可動域や重量を下げる
- 先週より少しだけ増やす
ぐらいのノリで十分です。大事なのは、体が適応できるペースで負荷を積むことなんで。
ってことで、今回の研究から得られる知見をあらためてチェックしておきますと、
- 運動は、やり方を間違えれば痛みやケガの原因になるが、運動しないこともまた日常をまともに送れなくなる原因になる。
って感じでまとめられるでしょうな。何も体を動かさない生活は、じわじわと体の許容量を下げている可能性があるんで、「運動は日常生活に耐えるための保険である!」ぐらいに考えておくのがオススメっすね。
その際は、アスリートみたいに限界ギリギリを攻める必要はなくて、限界のずっと手前ぐらいの負荷で十分なんで、
- 少し歩く!少し持ち上げる!少し息を上げる!少し可動域を使う!
みたいな「ちょっとの活動」を積み重ねるだけで、体は「日常の負荷に耐えられる状態」に戻っていくと考えれば、だいぶ運動のハードルも下がってよいのではないでしょうか。どうぞよしなにー。


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