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不安で眠れない人には「メラトニン+アシュワガンダ」が効くんじゃないか?説

 

寝つきをよくするサプリといえば、まず名前があがるのがメラトニン。メラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンでして、夜になると体内に「そろそろ眠る時間ですよ」と知らせる役割を持っております。そのため、時差ボケや睡眠リズムの乱れに使われることが多く、睡眠サプリのなかでは研究量もかなり豊富なんですよ。

 

まぁ、といっても実際の効果はそこまで派手なもんじゃなくて、過去のメタ分析(R)を見てみると、メラトニンによって、

 

  • 寝つくまでの時間が約9分短くなる
  • 睡眠時間が約20分延びる

 

といった効果が確認されております。もちろん、睡眠不足に悩む人にとって20分は無視できない数字なんだけど、「飲めば熟睡!」みたいなもんじゃないってのは押さえておきましょう。

 

では、メラトニンだけで効果が足りない場合、別のサプリと組み合わせればどうなるのか?ってことで、近ごろ発表された研究(R)では、メラトニンとアシュワガンダの併用を調べておりました。

 

これは、睡眠に問題を抱える18〜50歳の男女200人を対象にしたRCTでして、研究チームは参加者を50人ずつ、以下の4グループに分けました。

 

  1. アシュワガンダ根エキスを1日600mg飲む
  2. メラトニンを1日3mg飲む
  3. アシュワガンダ600mgとメラトニン3mgを併用する
  4. プラセボを飲む

 

アシュワガンダは朝食後と夕食後に300mgずつ、メラトニンは夕食後に摂取してもらい、これを8週間続けております。アシュワガンダってのは、インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」で古くから使われてきた植物で、ストレスや不安をやわらげる効果があるとされております。

 

でもって、上記のグループわけをしたうえで、腕時計型の活動量計を使って、

 

  • 寝床に入ってから眠るまでの時間
  • 総睡眠時間
  • 入眠後に目を覚ましていた時間
  • 睡眠効率
  • 主観的な睡眠の質

 

などを測定したんですな。サプリ研究としては、なかなか手堅いデザインじゃないでしょうか。

 

ほんでもって、その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • アシュワガンダ単独とメラトニン単独は、どちらもプラセボより睡眠を改善していた! 具体的には、寝つくまでの時間が短くなり、総睡眠時間が延び、入眠後に目を覚ましている時間が減り、睡眠効率が上がった
  • もっとも一貫して成績がよかったのは、アシュワガンダとメラトニンを併用したグループだった。このグループは、寝つき、睡眠時間、中途覚醒、睡眠効率、主観的な睡眠の質など、ほぼすべての指標で大きな改善が見られ、不安のスコアも減っていた。

 

って感じだったそうな。少なくとも今回の試験では、どちらか片方を使うより、両方を組み合わせたほうが睡眠へのメリットは大きかったわけですな。

 

では、なんでメラトニンとアシュワガンダを組み合わせたほうがいいのかと言いますと、これら2つのサプリメントは睡眠に働きかける仕組みが異なるからです。ざっくり申し上げますと、

 

  • メラトニンの役割:体内時計に夜の到来を知らせること。直接的に意識を失わせる睡眠薬というより、睡眠のタイミングを整える物質に近い。
  • アシュワガンダの役割:ストレスや不安をやわらげる方向から睡眠を改善する可能性がある。GABA系への作用なども考えられているが、現時点では詳しいメカニズムが完全に解明されたわけではない。

 

みたいな感じっすね。大まかに言えば、

 

  • メラトニンは「いまは眠る時間だ」と体に知らせる
  • アシュワガンダは「もう警戒しなくていい」と心身を落ち着かせる

 

という違いがありそうな感じがするわけです。そのため、「眠る時間なのに頭が冴えている」とか、「仕事や人間関係について考え続けてしまう」といったタイプでは、両者が別の方向から睡眠を後押しするのかもしれませんな。実際、今回の参加者には、中程度の不安傾向がありましたんで、この結果は特に、ストレスや不安が睡眠を妨げている人に当てはまりやすいんじゃないでしょうか。

 

もっとも、アシュワガンダの睡眠効果については、メラトニンほど研究が多くないのでご注意あれ。たとえば、不眠症の参加者を対象にした2件のランダム化比較試験をまとめた分析(R)では、アシュワガンダによって、

 

  • 寝つくまでの時間が約7.5分短くなる
  • 睡眠時間が約28分延びる
  • 睡眠効率が改善する

 

といった結果が報告されてるんですけど、研究数が少ないため、結果の確実性はメラトニンより低めだとお考えください。「アシュワガンダはメラトニンと同等」と断定できる段階じゃないので。

 

あと、今回の研究は、デザインの質は高めなものの、実験の期間が8週間と短いし、市販のアシュワガンダ製品には品質や成分量の差があったりもしますんで、より長期かつ多様な集団での追試が必要でしょう。また、アシュワガンダには、まれながら肝障害の報告もありますんで、そこは要注意っすね。

 

とはいえ、メラトニンを使っても効果がいまひとつで、なおかつ夜になると不安や考えごとが止まらない人ような人には、アシュワガンダとの併用を検討する余地はありましょう。不眠に対する第一選択は、慢性不眠症なら認知行動療法なんで、そこをちゃんとやったうえでサポートとして使うのはありじゃないでしょうか。私もアシュワガンダは不定期ながら使ったりしてますんで。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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