マッチングアプリのせいで自信を失わないために守るべき2つのルール
「マッチングアプリを使った後、なんだか自分に自信がなくなる……」みたいな話を聞くことがよくあるんですよ。「マッチングアプリを使うたびに、自分には魅力がない気がしてくる……」とか「スワイプを続けていると、だんだん気分が落ち込んでくる……」みたいなやつっすね。
これはまあ、普通に考えれば
- 誰ともマッチしなかったから落ち込んだ!
- 魅力的な人を大量に見て、自分と比べてしまった!
みたいな原因を想定するのが一般的なわけですけども、新しい研究(R)では、
- マッチングアプリで自尊心が下がるかどうかは、あなたがどのような基準でスワイプするかに左右される!
との結果が出ていて、おもしろかったです。
これはカール・ラントシュタイナー健康科学大学などの研究で、以下のポイントを調べたものです。
- マッチングアプリで見る候補者の数が増えると、メンタルにどんな影響が出るのか?
- 直感でスワイプする場合と、条件を比較して選ぶ場合では、何が変わるのか?
なんでこういう研究をしたのかと言いますと、昔から心理学の世界では、
- マッチングアプリって、選択肢が多すぎるせいで、かえって決められなくなり、満足度が下がるのではないか?
と考えられてきたからです。
現代のマッチングアプリって、大量の候補者が次々に表示され、ユーザーは写真や短いプロフィールを見ながら、ほんの数秒で「アリ」か「ナシ」かを決めねばならないじゃないですか。その結果として、選択肢が多いほど「もっと良い人がいるかもしれない」と迷いが増え、最終的には誰を選んでも満足できなくなっちゃうわけです。いわゆる「選択のパラドックス」と呼ばれる現象ですね。
で、ここで研究チームは、大学生401人を対象にオンライン実験を実施。参加者には、実験用に作られた架空のマッチングアプリを使ってもらい、見るプロフィールの数を次の3パターンに分けたんだそうな。
- 少ない条件:11人のプロフィールを見る
- 中くらいの条件:31人のプロフィールを見る
- 多い条件:91人のプロフィールを見る
さらに、ここではプロフィールの選び方も3つに分けてまして、
- 直感型:こちらのグループには、「第一印象やフィーリングを重視して、テンポよく判断してください」と指示。考えすぎず、感覚的にどんどんスワイプしてもらった。
- 比較検討型:こちらは、顔の特徴、服装、社会的地位など、具体的なポイントを細かく確認し、「なぜこの人を選ぶのか」を説明できるように判断してもらった。
- 自然型:特別な指示を出さず、普段どおりに選んでもらう。
って感じに設定したうえで、実験の後に、
- 自尊心
- 恋人がいないことへの不安
- 自分は恋愛相手としてどれぐらい価値があると思うか
- どれぐらい圧倒されたと感じたか
などを調べたというんですな。
でもって、その結果がどうだったかと言いますと、
- プロフィールの数が増えるほど参加者は強い負担を感じ、91人のプロフィールを見た人は、11人や31人を見た人よりも、「選択肢が多すぎて圧倒された」と回答する傾向が高かった。
- さらに、候補者が増えるほど、参加者が「アリ」と判断する割合は低下した。つまり、たくさんの異性を見ると、選択肢が広がるどころか、むしろ基準が厳しくなり、誰も選ばなくなっていった。
- プロフィールを見る数が増えても、参加者の自尊心や「恋人がいないことへの不安」は、特に悪化しなかった。選択肢が多いと確かに疲れはするものの、それだけで「自分には魅力がない」と考えるようになったわけではないっぽい。
- 一方で、ユーザーの自尊心を下げたのは、直感だけでスワイプすることだった。この実験では、第一印象とフィーリングだけを使ってテンポよく選んだ参加者は、普通に選んだ人や、明確な基準を使って比較した人よりも、実験後の自尊心が低くなっていた。
- さらに直感型の参加者は、自分は恋愛相手として価値が低い!とも感じるようになっていた。
って感じだったんですな。これは、なかなか意外な結果じゃないでしょうか。一般的には、相手の容姿や服装、社会的地位などを細かく比較するほうが、自己嫌悪を生みそうな気がしますからねぇ。ところが実際には、深く考えずにフィーリングで選ぶほうが、本人の自信を下げていたわけです。
では、なぜこのような現象が起きたのか?ってことで、研究チームはいくつかの可能性を挙げておられます。
- 直感で選ぶと判断の根拠があいまいになってしまう:具体的な基準を使って相手を選ぶ場合は、「生活スタイルが合わなさそう」「服装の好みが違う」みたいに、選ばなかった理由をある程度説明できる。ところが、直感だけで判断すると、選択の理由が「なんとなく違う」「フィーリングが合わない気がする」といった曖昧なものになってしまう。すると、「なぜ自分はこの人を嫌だと感じたのか?」がわからず、そのモヤモヤが自分自身に向かう可能性がある。
- マッチングアプリの形式と直感的な判断の相性が悪い:本来、恋愛の直感は「話し方」「声のトーン」「表情の変化」「会話のテンポ」など、複数の情報を総合して生まれるものである。しかし、マッチングアプリで表示されるのは、静止した写真と短い文章が中心であり、このような情報は、直感で反応するよりも、むしろ「プロフィールの内容を比較する」という分析的な判断に向いている。そのため、直感で判断して失敗すると、「自分の判断能力が低い」「自分の恋愛感覚がおかしい」と解釈してしまう。
いずれも割と納得の感覚で、「好きか嫌いかを直感で決める」と言うと簡単そうだけど、実際には、根拠のない判断をするのは精神的に疲れる作業なのかもですね。
ってことで、今回の研究を実生活に活かすのであれば、個人的には以下のようなポイントを守るといいんじゃないかなーと思ったりしました。
- マッチングアプリを使う際には、完全なフィーリング任せを避け、事前に簡単な判断基準を決めておくのがよさそう。たとえば、「プロフィールの文章に具体性があるか」「生活スタイルが大きく違わないか」「会話してみたいポイントがひとつ以上あるか」みたいな感じ。ここで重要なのは、条件を増やしすぎないことで、譲れない基準を2〜3個だけ決めておくといいかも。
- 候補者が増えるほど選択基準が厳しくなり、「いいね」を送る割合も減ってしまうので、延々とスワイプを続けるのは効率が悪め。なので、「1回に見るのは20〜30人まで」「15分でアプリを閉じる」「ひとりと会話が始まったら、新しい候補者探しを減らす」ぐらいのルールを設定するのもあり。候補者を増やすほど理想の相手に近づくような気がするけど、実際には、選択肢が増えるほど人は欠点に注目しやすくなるんで。
もちろん、これは架空のマチアプを使った実験なので注意は必要なんですけど、
- 候補者を増やすほど圧倒される
- 候補者が多いほど相手を選ばなくなる
- 根拠のない直感だけで選び続けると、自分への評価まで下がる可能性がある
という結果は、マッチングアプリとの付き合い方を考えるうえで参考になるでしょうな。マッチングアプリを使った後に妙に落ち込む人は、「自分の魅力が低いからだ」と考える前に、スワイプの方法を見直してみるといいんじゃないでしょうか。



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