AIに広告を作らせたら、人間よりクリックされる画像ができたぞ!という研究
AIによって誰でも広告が作れるようになった昨今。とはいえ、AIが実際に役立つ広告を作れるかどうかはまだわからんのですが、そこらへんの疑問を調べた研究(R)が発表されてまして、なかなか興味深い結果になっておりました。
普通の画像生成AIは「売れる広告」を知らないが、そのコツは学習できる
まず、前提として、研究チームは「一般的な画像生成AIは、そのまま使っても人間の購買意欲を刺激する広告を作るのは難しい」としております。画像生成AIは、消費者心理までは学んでいないんだよーってことですね。
そこで研究チームは、「AIDA」って考え方を採用したんですよ。こいつは広告の効果を測る定番の指標で、消費者が広告を見たときの心理を次の4段階に分けたものです。
- Attention:注意を引く
- Interest:興味を持たせる
- Desire:欲しいと思わせる
- Activation:購入などの行動につなげる
AIDAを使うために、研究チームは21万点を超えるオンライン広告を集め、参加者に「ほかの広告より目立つと思うか?」「車を探していたら購入を検討するか?」などを7段階で評価してもらったんだそうな。
その上で、評価が高かった広告だけを使って「Stable Diffusion」って画像生成AIに追加学習を実施。AIに対して「消費者に刺さりやすい広告には、こんな特徴があるんだよー」ってのを学ばせたというんですな。こいつは広告作り以外にも使えそうな考え方ですな。
AI広告は、平均的な人間広告を大きく上回った
では、バズるポイントを学んだAIが作った広告はどんな感じだったのか? 結果を見てみましょうー。
- 最初の実験では、人間が作った既存広告のAIDA評価が平均3.79点だったのに対し、AI広告は平均4.55点だった。
- 生成された50点のAI広告のうち、47点が人間広告の平均点を上回った。
ということで、AIは人間をかなり上回ったわけですな。うーん、AIすごい。
ただし、だからといって「人間オワリ!広告はAIの時代!」ってわけじゃなくて、同時に以下のような傾向も確認されております。
- 人間が作った広告の最高傑作は平均的なAI広告より高く評価された
- 最高点どうしを比べると、AIの優位性はほぼ消えた
つまり、『「そこそこ良い広告」を安定して作るならAI!』だが、『飛び抜けた傑作を狙うなら人間!」みたいな感じですかね。似たような話は過去のAI研究でも出てましたけど、やっぱ広告でも同じ傾向が見られましたね。
ちなみに、この研究では、「実際にAI広告と人間の広告は、クリックされる率がどれぐらい違うか?」ってのも調べてて、こんな結果になってます。
- 約2万8000回の表示に対して、
- 人間が作った広告:1.37%
- AIが作った広告:2.04%
って感じで、AI広告のクリック率は、人間広告のおよそ1.5倍っすね。クリック率はターゲットによって大きく変わるんで、ここから「AI広告なら売り上げも1.5倍!」とは言えないものの、実際のクリック率に差が出た点は重要でしょうな。
ただし、AIは「平均から外れる広告」に弱いのかもしれない
そんなわけで、これを見る限り「やっぱAIすごい!自分でも試してみよう!」と思うわけですけども、これを見るとAIの限界もはっきり出てるので、そこも押さえておきましょう。具体的に、どんな現象が確認されたかと言いますと、
- 小型二人乗り自動車の「Smart Fortwo」の広告では、AIが人間に負けた。このような車の広告は、車体の小ささを意外な見せ方で表現する必要があるため、「一般的に刺さる広告」の考え方では対応できなかったのだと思われる。
- 「笑い」を狙ったドッグフードの広告を作らせた実験でも、AIは人間制作の広告ほど面白い画像を作れなかった。ユーモラスな広告を使って追加学習させても、AIは学習元と同じレベルの面白さを再現できなかったとのこと。
みたいになっております。要するに、AIは「平均的に良い広告」を作るのは得意だけど、商品の個性を際立たせるような意外性やユーモアには弱いってことですな。
なんでこういうことが起きるのかと言いますと、基本的にここでAIが学んだのは「そのカテゴリーで評価されやすい広告の平均」だからであります。そのせいで、
- 見慣れていて理解しやすい
- 商品の特徴がすぐ伝わる
- 違和感が少なく、安心して見られる
といった広告を作るのは得意なんだけど、「ユーモア」とか「驚き」みたいな要素が必要な広告は苦手なんですな。ここらへんの表現は、あえて平均から外れることでしか生まれないですからねぇ。
あと、AI広告の問題は、みんな同じ見た目になることだよなぁ
あと、もうひとつ大事な問題点が「広告がみんな同じになっちゃう問題」であります。この研究で生成された広告には、
- 日焼け止め広告にモンステラの葉が何度も登場する!
- 自動車広告に似たような道路が使われたりする!
みたいな現象が確認されたんだそうな。まぁ、みんなに同じようにバズりそうな画像をAIに学習させたら、広告が似通っていくのは当然でしょうが。
これが問題になるのは当然で、AIのおかげで最初はめっちゃ効果的な広告ができたとしても、同じような広告が増えたら、受け手はすぐに飽きちゃうでしょうからね。なので、現時点での使い分けとしては、
- 商品をわかりやすく見せる
- 一定以上の品質を安定して出す
といった仕事はAIに任せといて、そのうえで、
- 意外性のあるアイデアを出す
- ユーモアで注目を集める
- ほかのブランドと明確に差別化する
といった作業は人間が担当するべきなんでしょうな。その意味では、まだまだ人間の出番が残っているとは言えましょうな。



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