「頭がいい人ほど仕事ができる」は本当なのか?10万人以上を調べた研究のとは?
「頭がいい人ほど、仕事もできるのか?」って問題を調べた研究(R)が面白かったです。普通に考えれば、知能が高い人ほど仕事もできそうなイメージがありますが、それは事実なのかってことですな。
実際、心理学の世界でも、昔から「知能は仕事のパフォーマンスを予測する最も優秀な指標のひとつだ!」なんて言われてきまして、そのせいで企業の採用試験で認知能力テストが使われるようになったわけですな。
ところが、近ごろは「実は、知能と仕事の成績の関係は、これまで考えられていたほど強くないのでは?」って疑問が出てきたから、さぁ大変。今回の研究は、そこらへんを深掘りした内容になってるんですな。
知能と仕事の成績って、実はあんま関係なくないか?
この研究は、過去の大規模なメタ分析をまとめ直したもので、具体的には1990年から2022年までに行われた研究を対象に、最近の3つのメタ分析に含まれるデータを集めて再分析しております。最終的には、合計109,396人分のデータを30年にわたって集めた内容になってて、かなり大がかりな分析でいい感じです。
で、ここで研究チームが注目したのは、「一般認知能力(GMA)」と呼ばれるものです。情報を理解したり、論理的に考えたり、新しい問題を解決したりする能力のことで、いわゆる「頭のよさ」に近い概念であります。この能力が高い人ほど、実際の仕事でも高い評価を受けているのかを調べたわけですね。
ちなみに、昔の似た研究では、知能と仕事の成績の相関は約0.50と報告されてたりします。なので、過去の研究では、「頭がいい人ほど仕事もできる!」って考え方に、一定の説得力があったんですな。
ところが、今回の再分析では、ちょっと違った結果が出てまして、
- 知能と仕事の成績の相関は、0.18〜0.22の範囲に収まっていた!
って感じだったんですよ。研究チームいわく、「現代のデータを代表する数字として、約0.20を使うのが妥当ではないか?」と提案してまして、過去よりもかなり小さな数字になりましたな。
相関が約0.20ってのは、単純に計算すると、知能テストの成績で説明できる仕事の成績のばらつきは約4%ぐらいっすね。これは、知性と仕事の成績にはほぼ関係がないと言えるレベルの数値でして、
- 採用試験で非常に高い点数を取った人が、入社後にはあまり成果を出せないケースは普通にありえる。
- 逆にテストの点数が平凡だった人が、職場では優秀な成績を収めたりすることも普通にありえる。
みたいにイメージしていただくといいでしょうな。まぁ、相関0.20でもプラスの関係があるのは確かなんで、採用活動などに使うのはそれなりの意味があるかもですが。
頭を使う仕事ほど、知能が重要になるわけでもない?
あと、個人的に面白かったのが、「仕事の複雑さ」と知能の関係を調べた分析っすね。普通に考えれば、難しい判断が求められる仕事ほど、頭のよさが重要になりそうなもんですが、今回の分析では、
- Data(情報処理):判断や問題解決など、頭を使う仕事
- People(対人関係):人とのコミュニケーションやチームづくりが必要な仕事
- Things(モノの操作):機械の修理や設備の操作など、物理的な対象を扱う仕事
という3つの要素に仕事を分類して調べたところ、
- 情報処理の複雑さが高い仕事でも、知能と仕事の成績の関係は強くならなかった!
って結果だったんですよ。いちおう、機械や設備などを扱う仕事では知能と成績の関連が強くなる傾向が見られたものの、全体としては「頭脳労働だからといって知能が必要とも言えない」という不思議な結果になってたりします。こりゃ希望がわくニュースですなぁ。
なぜ、昔よりも「知能」が大事じゃなくなったんだろう
それでは、なぜ昔の研究では相関が0.50だったのに、最近のデータでは0.20程度になったのか?ってことですけども、研究チームの推測によりますと、
- 昔の研究では、統計的な補正によって相関が大きく推定されていた可能性がある。昔の研究は、採用試験を通過した人だけを調べることで生じるデータの偏りを補正しすぎていて、そのせいで知能と仕事の成績の関係を実際よりも大きく見積もっていたのかもしれない。今回の研究チームは、複数の補正方法を試しても、現代のデータでは相関が0.20前後になることを確認している。
- 仕事の内容そのものが昔とは変わってきたのも大きいかも。かつての職場では、個人が決められた作業を正確にこなす能力が重要だったが、現代の職場では、他人と協力して仕事を進めたり、チームのメンバーと情報を共有したり、状況に応じて柔軟に仕事の進め方を変えたり、といった能力のほうが大事になっている。そのため、知能テストで測れる能力の重要度が下がっているのだと思われる。
みたいになります。特に後者のポイントについては、この論文では、過去と現在の職業データを比較して、現在は対人関係に関する仕事が大きく増えていることを明らかにしてまして、かなり説得力を感じましたねー。
というわけで、この研究から我々が教訓を引き出すのであれば、
- 頭の回転の速さだけで、その人の能力を判断しないほうがいい:話の理解が速かったり、難しい問題にすぐ答えられたりする人を見ると、「この人は仕事もできそうだな」と感じるが、実際の仕事では、期限を守るとか、ミスを減らすとか、他人とうまく協力するといった能力のほうが大事になってるかもしれないんで。
- 知能テストの結果でがっかりしないほうがいい:知能テストの成績が低かったからといって、仕事でも成功できないと決まったわけではなし。逆に、テストの成績が良かったからといって、仕事で成果が出るってわけでもなさそう。なので、テストの点数だけで自分の能力の限界を決めつけず、実際の仕事で何が得意なのかを重視したほうがよさそう。
みたいになるでしょうね。今回の研究はあくまで相関関係を調べたものですが、とりあえず「知能は仕事に役立たないわけじゃないが、仕事の成果とはあんま関係なさそう」と考えておいたほうが気が楽になる人もいるでしょうな。どうぞよしなにー、



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