バターはダメなのに、チーズやヨーグルトは健康に良さそうなのはなぜ?問題
昔から、健康の世界には「なんでチーズやヨーグルトは健康に良さそうなんだろう?」みたいな問題がありまして。
というのも、これらの乳製品ってのは飽和脂肪酸がめっちゃ多いのに、心臓病のリスクがあまり上がらないどころか、むしろ健康に良さそうなデータまであるんですよ。
一方で、バターなどは評判が悪くて、バターをよく摂取する人は、最も少ないグループより総死亡リスクが15%高かったなんてデータもあったりするから怖いもんです。
といったところで、そこらへんを調べたメタ分析(R)が出てまして、参考になりました。
詳細の前に、まず基本から確認しておきましょう。一般的には、飽和脂肪酸ってのは健康業界では悪く言われることが多くて、こいつばかり食べていると、
- 血中のLDLやApoBを含むリポタンパク質が増えやすくなる(ApoBは動脈硬化を起こしうる粒子の数を反映する指標)
- LDLやVLDLのようなApoBを持つ粒子が血液中に増えると、それらが血管壁に入り込み、炎症やプラーク形成を起こしやすくなる
- 結果として、心臓病や脳梗塞が起きやすくなる!
みたいな感じで、健康リスクがめっちゃ上がっちゃうんですよ。その点で、チーズやヨーグルトなどは、飽和脂肪酸をけっこう含むのに病気のリスクが上がらないことが多く、それどころか「心血管疾患のリスクが低いぞ!」みたいな報告が多いところが、不思議に思われてきたわけです。
そこで、今回の研究チームが指摘するのが、MFGM(Milk Fat Globule Membrane:乳脂肪球皮膜)の存在であります。
MFGMってのは牛乳の脂肪を包む膜のことで、こいつには腸でのコレステロールや脂肪の吸収を抑えたり、血中脂質に良い影響を与えたりする働きがあるんですね。そのため、飽和脂肪酸を多く含む乳製品でも、MFGMがその悪影響をある程度打ち消してくれてるんじゃないの?と考えられるわけです。
ということで、今回のメタ分析では、13研究から合計600人ほどのデータをチェック。「MFGMを多く含む食品やサプリを摂った場合」と「MFGMが少ない乳製品」を比べたところ、
- 総コレステロールが低下
- LDLコレステロールが低下
- ApoBが低下
- 総コレステロール/HDL比も改善
という結果が出たんだそうな。このなかでも特にApoBが下がったとこが重要で、単に「コレステロール値が少し変わった」というより、動脈硬化に関わる粒子そのものが減ったってのがナイスですね。ちなみに、血糖値やインスリン、血圧については明確な改善は確認されなかったので、「MFGMは何にでも効く!」って話じゃないですが。
となると、バターの健康リスクが高くなるのも納得でしょう。バターは生クリームを激しく撹拌して作りますんで、このプロセスでMFGMが壊れちゃいますからね。その結果、バターは飽和脂肪酸の悪いとこだけが出る食品になってしまう可能性があるんじゃないか、と。
バターは高カロリーなうえにMFGMによる保護作用が低いので、特に心血管リスクが高い人は控えめにしたほうがいいでしょうな。そう考えると、ちょっと前に流行ったバターコーヒーとか、なんじゃったんじゃろって感じですが。
一方で、チーズ、牛乳、ヨーグルト、生クリームなどについては、全脂肪タイプでもそこまで心配する必要はなさげ。もちろん、全脂肪の乳製品はカロリーが高いので、そこは普通に他の食事とのバランスは考えなきゃですけども。
ってことで、今回の話をまとめますと、
- 飽和脂肪酸の摂りすぎは、ApoBやLDLを増やしやすい
- しかし乳製品では、MFGMがその悪影響を一部打ち消す可能性がある
- チーズや生クリームにはMFGMが比較的残っている
- バターは製造過程でMFGMの多くを失う
- そのため「同じ乳脂肪だから同じ」とは考えないほうがいい
って感じ。「乳脂肪なら全部同じ」と考えず、バターとチーズやヨーグルトは分けて考えたほうがよさそうですね!ってことで、どうぞよしなにー。



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