買った後までレビューを見ると、人生体験の満足度が減るぞ!という研究の話
ネットで買い物をするときに、レビューをチェックする人は多いはず。購入前に口コミを見るのは、現代人であれば普通の行動であります。
そこで最近出た研究(R)では、「買った後までレビューを見るのは、やめたほうがいいぞ!」って結果になってて、これがなかなかおもしろかったです。
この研究のテーマはシンプルで、「商品のレビューを読んだあとで実際に商品を体験すると、その体験そのものまで変わってしまうのでは?」というもの。たとえば、楽しみにしていた映画でも、見る直前に「話が単調で退屈だった」なんて感想を読むと、実際に見ているあいだも展開の遅さが気になって、楽しめなくなっちゃうみたいなことですな。
ここでは5つの実験が行われてまして、最初の実験では、719人に音楽ビデオを見るように指示。その際に、参加者を、
- 低評価とネガティブレビューを見る
- 高評価とポジティブレビューを見る
- レビューを何も見ない
の3グループに分けて、その後で「動画をどれくらい楽しめたか?」を評価してもらったんだそうな。するとその結果は明快で、
- ネガティブレビューを読んだ人だけ、動画の評価が下がった!
- もともとの動画が高品質でも低品質でも、ネガティブレビューを読んだら、とにかく動画の評価が下がった。
- 一方で、ポジティブなレビューを読んだからといって、レビューを読まなかった人より体験が良くなるわけでもなかった。
って感じだったんだそうな。悪いレビューを読むことで、どんな動画でも評価が下がっちゃうかもしれないんだ、と。しかも、ポジティブなレビューを読んだからといって、動画の印象が良くなるわけでもないってのが興味深いっすね。
まぁ、こういう傾向が見られるのは理解できるところで、人間ってのは昔から、良い情報より悪い情報に注意を向けやすい傾向がありますからね。これは『社会は、静かにあなたを「呪う」』にも書いた、いわゆる「ネガティビティ・バイアス」ってやつでして、「このホテル最高でした!」という口コミが10件並んでいても、「部屋が臭かったです」という一件が妙に気になってしまう……みたいな経験は誰にでもありましょう。
でもって、研究チームはさらに、「単に参加者がレビューに合わせて回答してるだけでは?」って可能性も別の実験でチェックしております。こちらは999人を対象にしたもので、参加者に本の一部を読んでもらい、
- 本を選ぶ前
- 読む直前
- 途中まで読んだ時点
- 全部読み終わったあと
のいずれかのタイミングでレビューを見せたんですよ。すると、やはり結果は上と同じで、読書が終わる前にネガティブレビューを読んだ人ほど、その本を楽しめなくなったというんですな。
その一方で、本を読み終わったあとで悪いレビューを見ても、体験の評価はあまり落ちなかったそうで、この結果から研究チームは、
悪いレビューは、あとから評価だけを書き換えているわけではなく、実際の体験中の注意や感じ方を変えているのでは?
と推測しておられます。「つまらない」という感想を先に知ることで、読んでいる最中にも退屈なところが気になりやすくなって、楽しさまで減ってしまうのかもしれないってことですね。
では、なぜこんなことが起こるのか?ってことで、さらに別の実験では、参加者に音楽を聴いてもらったあと、「どんな特徴を覚えているか?」を5つ書き出してもらっております。すると、こちらの実験では、ネガティブレビューを読んだ人ほど「曲の悪いところを多く思い出した!」って結果になったというんですな。
ここから考えると、悪いレビューが問題を起こす理由ってのは、
- 悪いレビューを読む
- 悪いレビューのせいで、脳が自然と「どこがダメなんだ?」と考えはじめる
- その結果、欠点に注意が向きやすくなる
みたいなメカニズムになってるんでしょうな。これは確かに「あるある」かもですねぇ。
ちょっと怖い話ですけども、いちおうこの研究では、「悪いレビューに引っ張られて、せっかくの体験を楽しめなくなる」問題への対策も出ております。最後の実験では、1,600人の参加者の一部に、
- レビューの影響を受ける可能性があります。できるだけ自分自身の意見を作ってください
と事前に伝えてみたんだそうな。すると、この注意を受けた人たちは、ネガティブレビューを読んでも体験の悪化が小さくなったらしいんですな。要は、「レビューに引っ張られるかもしれない」と自覚するだけでも、ある程度は防御になるかもってことで、これはちょっといいニュースっすね。
まぁ、個人的には、この研究から得られる教訓はもっと単純だと思ってまして、
- 買う前にレビューを見るのはいい!しかし、買った後は見ない!
ってのを意識しておけばいいんじゃないでしょうか。たとえば、
- 映画を見る直前にFilmarksを見る
- 旅行前にホテルの低評価レビューを読み漁る
- レストランに入ってからGoogleレビューを見る
- ガジェットを買ったあとでAmazonの星1レビューを見る
みたいな行動は、せっかくの体験を悪化させる可能性があるんで注意っすね。もちろん、購入後にレビューを見る意味がある場面もありますけど(不具合の確認とか)、「自分の選択が正しかったか確認したい」という目的だけなら、レビューを開かないほうがいいでしょうな。



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