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ネットには断言するインフルエンサーが多いですが、やっぱ断言したほうが好かれるんですかねぇ?ってのを調べた研究の話

   


意見が分かれる話をするときには、「迷わずに断言しちゃったほうがいいのでは?」みたいに思う人は多いでしょう。たとえば、「移民の受け入れを増やすべきか」「政府は増税すべきか」みたいな話をする時には、「私は賛成です」「それには反対です」と、迷いを見せずに言い切ったほうがいいんじゃないか?みたいな話っすね。

 

まぁ「いろいろ考えたんですが……」みたいにダラダラと話すと、どうしても自信がなさそうに見えちゃうので、きっぱり断言するほうがいいような気がするわけです。

 

ってことで、近ごろ、この「意見を言うときは、じっくり考えた様子を見せるより、即答したほうが好印象なのか?」って問題を調べた研究(R)が出ておりました。

 

これはトロント大学の研究で、米国の成人896人を対象に3つの実験を行ったもの。参加者に政治的な問題についての文章を読んでもらい、そこに登場する人物の人柄を評価してもらうって感じの実験になっております。

 

で、最初の実験では、194人に移民や銃規制など12の問題について、自分が賛成か反対かを回答するように指示。そのうえで、それぞれの問題に対して、

 

  1. 自分と同じ意見を持ってて、長く慎重に考えた人
  2. 自分と同じ意見を持ってて、即答した人
  3. 自分と反対の意見を持ってて、長く慎重に考えた人
  4. 自分と反対の意見を持ってて、即答した人

 

という4パターンの人物についての説明を提示したんだそうな。

 

でもって、「この人は善良な人だと思うか」「正しいことをしようとしている人だと思うか」といった点を、7段階で評価してもらったところ、こんな傾向が出ました。

 

  • 自分と意見が同じ人は、熟考していても即答していても、人柄の評価はほぼ変わらなかった。

  • 自分と意見が違う人は、熟考していたほうが、人柄を好意的に評価された。

 

ということで、じっくり考えたと伝わっても味方からの評価は下がらず、意見が違う相手からの評価は少しよくなる、という結果だったわけですね。

 

具体的には、意見が違う人への好感度は、即答した場合には約3.7点だったのに対して、熟考した場合には約4.1点へ上昇。一方、意見が同じ人への評価は、どちらも約5.3点だったとのこと。まぁ、意見が違う相手に対する嫌な印象を完全に覆せるわけじゃないんですけど、それでも「慎重に答えを考えました!」って態度を示すだけで、こちらの印象がよくなるってのは面白いところですなぁ。

 

では、なぜこんなことが起きるのかってことで、続いて研究チームは、400人を対象にした実験を行いまして、「慎重に答えを考えました!」ってのがわかる人は、以下のような印象を持たれやすいことを明らかにしております。

 

  • 「この人は、よく考えているなー」
  • 「この人は、自分の結論にそこまで確信がないんだなー」

 

要するに、じっくりと考えている様子には、思慮深さと迷いの両方が感じられるってことでして、これはわかりやすい話ですね。

 

ってことで、研究チームは、「なぜ、熟考した人への評価は、意見が同じ相手と違う相手とで変わるのか?」って理由について、以下のようなメカニズムを推測しておられます。

 

  1. 自分と意見が同じ人と話をするときには、「慎重に答えを考えました!」って姿勢は好評価につながる。しかし、その一方で、「この人は自分に自信がないんだな」って印象も与えてしまうため、両方が打ち消し合い、全体としては評価が変わらなかった。

  2. それに対して、自分と意見が違う人と話をするときにも、「慎重に答えを考えました!」って姿勢は好評価につながる。それと同時に、「自分の結論にそこまで確信がない」という印象も、味方の場合ほどマイナスにはならず、場合によっては好評価につながる可能性がある。

 

つまり、自分と同じ意見の人には確信を持っていてほしいけど、反対意見の人なら、多少は迷っているほうが受け入れやすいのかもしれないってことでして、これはいかにもありそうな話ですなぁ。まぁ、このメカニズムの説明は、各評価の関連を分析したものなんで、「よく考えていると感じさせれば、必ず評価が上がる」とまで確定したわけじゃないので、そこは注意ですけども。

 

とはいえ、この研究から日常の会話に取り入れられそうなヒントはあると思ってまして、個人的には以下のような教訓を得られるのではないかと。

 

  • 意見が違う人と話すときには、「この点は気になったし、反対側のこの理由も理解できる。そのうえで、今はこう考えている」みたいに、自分が実際に検討したことを添えてみるとよさそう。
  • ただ「どちらにも一理ありますね」と言うだけでなく、どの点を比較して、何を重視して結論を出したのかを具体的に伝えてみるのもよさそう。

 

まぁ、今回の実験ってのは、あくまで文章で「この人は熟考した」と説明したときの印象を調べたもので、実際の会話でこうした伝え方が役立つかを直接チェックしたわけじゃないんですけども、自分とはまったく意見が違う人と話す時には、試してみる価値があるでしょうな。とりあえず、誰かから意見を求められたときに、無理して即答する必要はなさそうですよーってことで。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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