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筋トレは負荷の調整が命!では、その調整が上手くなるには、どうすればいいのか?

 
 

筋トレの世界には、RIR(Repetitions in Reserve)って考え方があります。これは「あと2回ぐらいはいけそうだから、ここで止めておこう!」みたいに自分で判断して、トレーニングの強度を調整する手法のこと。

 

RIRは「あと何回できるか」を数字で表すのが一般的でして、たとえば、

 

  • RIR 0 = もう1回もできない
  • RIR 1 = あと1回できそう
  • RIR 2 = あと2回できそう
  • RIR 4 = あと4回できそう

 

みたいに判断します。基本、筋トレってのは毎セット限界までやる必要はなく、適度に余力を残しながら必要な刺激を与えるほうが大事だったりしますんで、RIRを使ってトレーニング強度を管理するのはかなり便利なんですよ。

 

ただ、そう言われると誰もが気になるのは、

 

  • 「そもそも、人間は“あと何回できるか”を正確に判断できるの?」

 

ってところでしょう。自分では「あと2回!」と思って止めたのに、実際にはあと6回できた……みたいなことが起きるなら、RIRで筋トレを管理する意味がなくなっちゃいますからね。

 

で、新しい研究(R)は、この問題を掘り下げてくれてて面白かったです。これはドイツの研究チームが行った実験で、テーマはズバリ、

 

「RIRを予測する能力は、練習によって改善するのか?」

 

というもの。実験の参加者は26人で、

 

  • 若年グループ:13人(平均33歳)
  • 高齢グループ:13人(平均67歳)

 

という構成。このメンバーに、6週間かけて合計6回のトレーニングをしてもらいまして、

 

  • ベンチプレス
  • レッグプレス

 

を3セットずつやるように指示したらしい。使った重量は1RMの75〜85%ぐらいだそうです。

 

でもって、その際に、参加者にはセットの途中で、

 

「いまなら、あと4回できる!」

「いまなら、あと2回できる!」

 

と思った時点で申告してもらったんですが、そこでセットは止めずに、そのまま本当に限界まで続けてもらったんだそうな。こうすれば、参加者が「あと2回」と予測した時点から、本当は何回できたのかがわかり、RIRの予測精度をチェックできるわけっすね。

 

さて、結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 参加者は、全体として自分が思っている以上に、まだ余力を残していた。

 

だったそうです。つまり、ほとんどの人は「あと2回しか無理!」と思ったところから、実際にはもっと回数をこなせるケースが多かったってことですな。まぁ、これは筋トレ経験が浅い人なら、わりと納得できる話じゃないでしょうか。

 

となると、「そんなにズレるなら、RIRって使いものにならないんじゃないの?!」って気になるわけですけども、この研究では、

 

  • 参加者たちのRIR予測能力は、トレーニングを重ねるにつれて改善した!

 

って結果が出てるので、そこはご安心ください。データを見てみると、6回のセッションを終えた時点では、最初と比べて予測の誤差が最大で約2.3回ぶん縮小してますんで、これは希望が持てる結果じゃないかと。要するに、最初のうちは「自分の本当の限界」を予測するのが苦手だった人でも、何度か限界まで試していくうちに、「この苦しさなら、本当に残り2回ぐらいだな〜」と判断できるようになってきたわけですな。

 

ということで、この結果からすると、RIRについては、

 

  • 自分の限界を予測する能力は、経験によって学習できる!

 

と考えるのがいいんでしょうな。逆に言えばRIRってのは、何度も試してみないと「この程度のキツさなら、あと何回できるか」という身体感覚は身につかないってことっすね。

 

ってことで、この結果を日々の筋トレに活かすなら、こんな感じになるでしょう。

 

  • RIRを使う前に、4〜6回ほど慣れる機会を作る!

 

要するに、いきなりRIRを本番で使うんじゃなくて、まずは自分の感覚と実際の限界を何度か照らし合わせておこう、というわけですね。具体的には、たまに以下のようなことをやってみるとよいでしょう。

 

  1. 普段の筋トレ中に「あと2回だな」と予測する
  2. そこで止めずに、安全を確保したうえで限界まで続ける
  3. 本当にあと何回できたか確認する
  4. 予測と実際の差を覚えておく

 

たとえば、「RIR 2だと思ったのに、5回できた!」なら、まだ自分は限界を早めに判断するクセがあると判断。逆に、「RIR 2だと思ったら、本当に2回だった!」なら、かなり感覚が合っていると判断し、こうやって答え合わせを繰り返せばいいわけです。

 

あと、この研究チームは、「RIR2のような、比較的限界に近い数字を使うほうが扱いやすいよ!」とアドバイスしてますんで、こちらも参考にするといいでしょう。「だいたいあと2回ぐらいできそうなところで止める!」みたいにざっくり使うぐらいで十分でしょう。

 

ということで、話をまとめると、

 

  • 人間は最初からRIRを正確に判断できるわけではないので、4〜6回ほど慣れる機会を作る

  • RIRは「生まれつきの感覚」より、練習で身につくスキルとして考えたほうがよさそう

 

って感じであります。筋トレ初心者がRIRを使うときは、最初から完璧に当てようとするより、「予測する → ときどき限界までやる → 答え合わせする」を数回繰り返すほうがよさそうだぞってことですね。どうぞよしなにー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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