脳の録画ボタンを押さなければ、人間はほんの少しの情報も記憶できない
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近ごろ出たペンシルバニア大の論文(1)によれば、ヒトの記憶はビデオカメラみたいなもんなんだそうな。どういうことかというと、
録画ボタンを押さなければ、カメラはレンズを向けたものを記録することはできない。
ってことらしい。ヒトの記憶にも“録画ボタン”が存在するんだ、と。
これは100人の被験者を対象にした実験で、全員に適当な文字列を読んでもらったうえで、中に書かれていた数字の位置をおぼえてもらったんですね。その際に、
- 「あとでテストをします」と伝えたうえでテストをする
- 「あとでテストをします」と伝えないでテストをする
の2グループにわけたところ、「テストをする」と伝えたほうの正解率は65〜90%で、何も知らなかったほうは25%しか正解できなかったそうな。要するに、「予期」こそがヒトの記憶における“録画ボタン”なんだって話ですね。
当然のようにも思える話ですが、この「予期」の効果は思ったより強力でして、研究者いわく、
あとでテストがあることを知らないと、ヒトは非常に単純な情報でも覚えられなくなる。
とのこと。その代わり、いったん録画ボタンさえ押してしまえば、意図して覚える努力をしなくても、想像以上にヒトの脳は細部まで記憶できるもんなんだそうな。
ただ、ここで出てくるのが、「現代では録画ボタンを押す場面が多すぎ」問題。なにせいまは情報量が多いもんですから、脳がボタンを押すタイミングをはかりきれずに、やがて記録容量がパンクしていくという。そんなわけで、せめて情報を減らしてマルチタスクを止め、貴重な資源であるボタンの使用回数を減らすしかないのかと思った次第です。
credit: AV Hire London via FindCC