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男女のカップル成立はアルゴリズムで予測できるのか?問題

Matching

  

世の中には「独自のアルゴリズムで最高の相手を見つけます!」みたいな宣伝をしている出会い系サイトがあるわけです。代表的なのはTinderとかで、いかにも科学的な根拠がありそうな雰囲気を醸し出してたりします。

 

 

が、近ごろ出た論文(1)では、「男女が惹かれあうかなんて実際に会わないとわからんよ!」って結論になってておもしろかったです。

 



これはユタ大学やカリフォルニア大学の共同研究で、まずは機械学習アルゴリズムを使って、いろんな「男女のマッチングプログラム」を作ったんだそうな。ざっくり言うと、ビッグファイブ愛着スタイル、制御焦点(「利益を求める」タイプか「危険を避ける」タイプか)、知性、ルックスのレベルなど、過去の研究で「異性にモテるために必須!」とされる特性を片っ端からマシンにぶち込んだみたい。

 

 

その後、研究チームは数百人の学生たちに性格テストを行い、全員に対して「どれだけモテる特性を持っているか?」を100項目以上にわたってチェック。続けてみんなで4分ずつのスピードデートをしてもらい、実際にどの男女がくっつくかを観察したわけです。

 

 

で、そこからさっきの「カップル成立予想プログラム」を使って、参加者の特性をベースにして、どれだけ正確に男女のマッチングを予測できるかを検査。プログラムは何千回も走らせて、できるだけ正確性が高まるまで試行を重ねたみたい。

 

 

そこでどんな結果が出たかと言いますと、

 

  • その人がどの相手を選ぶかの判断は18%ぐらいの正確さで予測可能
  • どの人が魅力的だと判断されるかは27%ぐらいの正確さで予測可能(モテ特性をプログラムに使ったんで当たり前ですが)
  • が、誰と誰がお互いを好ましいと思うかはまったく予想できなかった

 

って感じだったんですな。つまり、どの男女がくっつくかをアルゴリズムで予想するのは無理なんだ、と。個人的には、「一般的にモテやすい人」ですら27%の精度でしか予想できなかったのが驚きでしたが。

 

 

 

研究者いわく、

 

男女関係は部分の総合では決まらない。お互いに会ったときに生じる体験の質の変化は、アルゴリズムでは予想できない。個々の人々がどう惹かれ合うかを予測するのは不可能。確率はゼロパーセントだ。

(中略)

男女のロマンチックな欲望は、地震のようなものだ。ダイナミックで混沌としたプロセスをつねにふくむ。魅力的な特性や好みが正しく働けばいいというものではない。

 

とのこと。結局、どれだけオンライン上で盛り上がったとしても、実際に会ってみないことにはよくわからんわけですな。まぁいずれアルゴリズムでどうにかなる日が来るのかもしれませんが、あと数十年はなさそうっすな。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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