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治療の現場でも使われる超強力メンタル改善メソッド「STOP」とは?



その昔、「マインドフルネスを日常生活に活かすための『RAIN』法」って話を紹介したことがありました。「RAIN」はマインドフルネスを日常で活かす際のステップを意味してまして、

 

  • R: 認知(recognize)
  • A: 受容(allow)
  • I: 調査(investigate)
  • N:非同一化(non-identification)

 

って頭文字をまとめたものです。くわしくはリンク先をご覧いただければ幸いですが、マインドフルネスの手順が端的にまとまっていて、使いやすいのではないでしょうか。

 

 

 

心理療法の現場で使われる強力メソッド「STOP」とは?

で、今回は、似たような手法である「STOP」をご紹介します。「マインドフルネスストレス低減法」という由緒ある心理療法のコースで使われる手法で、こいつで日々トレーニングを重ねるだけでも、感情や身体の健康が改善すると考えられているんですな。

 

 

「STOP」もマインドフルネスに必要なステップをまとめたもので、

 

  • stop(止まる)
  • take a breath(息を吸う)
  • observe(観察する)
  • porceed(進む)

 

という4単語の頭文字を取ってます。RAINよりもアクションが具体的なので、こちらのほうが取り組みやすい人もいるでしょうね(RAINは自分の内面を掘り下げる方法なので、慣れないと難しいことも多い)。

 

 

では、具体的な方法を見てみましょう。いつもの生活で何か強いストレスを感じたり、圧倒されたり、不安を感じたりしたら、すかさず以下のステップで「STOP」を使ってみてください。

 

 

ステップ1. 「stop」今やっていることをやめる

最初のステップは、自分の考えや行動をいったん停止することです。

 

誰かとケンカしてイライラしている最中だろうが、仕事のミスが発覚してパニックを起こしてる最中だろうが、いまやっている行動や思考を意識して停めてみてください。怒りやパニックに襲われると、完全に感情や思考を停止させるわけにはいかんでしょうが、とにかくほんの1秒だけでいいので、止めようとがんばってみましょう。

 

ここでのポイントは、自分の思考と戦ったり、「頭をすっきりさせるぞ!」などと思うのではなく、「これから注意をちょとだけ他に移そう」と自分に言い聞かせることです。実際のところ、思考や感情を完全に停止させるのは不可能なので、トライすることが大事。

 

 

ステップ2. 「take a breath」呼吸する

このステップでは、自分の感情や思考から注意をそらして、自分の呼吸に意識を向けることを目的としています。5〜10秒ぐらいで構わないので、自分がいましている呼吸の感覚に注意を払いながら、息を吸ったり吐いたりしてみましょう。

 

 

ステップ3. 「observe」観察する

無(最高の状態)」でも書いたとおり、「観察」はマインドフルネスの重要な要素のひとつ。簡単に言えば、自分の内面と外面に意識を向けることを意味してまして、以下のようなものごとを観察してみてください。

 

  • 体の感覚:いま自分の体にどんな変化が起きているか? 体のどこかが痛んだり、緊張したりしていないか? いまなにが見えているか? 聞こえているか? 味覚、嗅覚、触覚は何を感じているか?

 

  • 感情の状態:いま自分はどのような感情を抱いているか? 怒りか? 焦りか? パニックか?

 

  • 精神的な状態:いま自分は何を考えているか? 自分自身について、どのような仮定や判断を下しているか?

 

このステップでは、身体でも感情でもなんでもいいので、いまの自分の状態をチェックし、いまの状況やストレスが、自分にどのような影響を及ぼしているかに気づくのがポイントになります。

 

 

ステップ4.「porceed」進む

で、「STOP」のプロセスは、ステップ3までで重要なところは終わってまして、あとは目の前の状況に取り組みなおすだけです。

 

実際にやってみるとわかりますが、ステップ3の手順を行うと、だいたい1分ぐらいで心身が前よりも落ち着いたのに気づくはず。そのぶんだけ確実にストレスフルな状況に取り組みやすくなっており、より冷静な判断ができるのは間違いないでしょう。

 

たとえば、同僚と大事な話をしている最中にイライラしてしまったとします。ここでSTOPメソッドを使うと、「あ、いまは疲れていて頭が働かないんだな」とか「というか議題の定義があいまいなんだな」みたいなことがわかったりするんですよ。これがわかれば、とりあえず会話を中断したり、「この議題のテーマとは?」を考え直すほうに舵を取れるんですよ。

 

 

ってことで、今回はマインドフルネス系の心理療法でよく使われる「STOP」のお話でした。ストレス対策のステップとしてはシンプルで取り組みやすいので、ストレスのある時や、リラクゼーションを深めたいとき、日常的な場面でマインドフルネスを実践する際にお使いください。

 

 

英単語で覚えるのがめんどうなときは、「停止!呼吸!観察!」の三段階を心がけるだけでもいいかもしれませんね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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