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今週末の小ネタ:植物も悲鳴をあげる、夜のスマホで成績が上がる、低脂肪より普通のチーズのほうが体に良い


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

 

夜にスマホを使うと成績が上がるぞ説

夜間のスマホで成績が上がる!」ってデータ(R)が出ておりました。これまでの研究でも、夜間にスマホをずっと見てると注意力の問題や睡眠障害などが起きやすいって報告はあったんですけど、今回は真逆の結果で、「夜にスマホを使うと成績があがる」って結論になっててビックリであります。

 

これはウィーン大学などの研究で、ドイツで2回つのグループに行ったパネル調査を使ったもの。1回目には822組の親子が、2回目には384組の親子が参加しており、

 

  • 夜間のスマートフォン使用量
  • 注意力の問題が起きているかどうか
  • 学校の成績はどうなったか

 

といったあたりを4カ月にわたってチェックし続けたんだそうな。

 

その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 夜間のスマートフォン使用は、子どもの注意の問題と相関していた。つまり、夜遅くまでスマートフォンを使用している子どもは、日中に集中力がキープできない可能性が高い。

 

  • 子どもの注意力の問題は、子どもの学業成績と負の相関を示した。つまり、注意の問題が多い子どもほど、学校の成績が悪かった。

 

  • 夜間のスマートフォン使用と学業成績の間に、直接的な正の関係が見られた。つまり、夜間にスマートフォンを使用する子どもは、成績が良い傾向があった。

 

みたいな感じです。夜にスマホを使うほど成績が良いってのは驚きですが、研究チームも同じ感想だったようで、

 

夜間のスマートフォン使用と学業成績に正の関係が見出されたのは驚きだ。

 

おそらく、この発見は、夜間にスマートフォンにアクセスし、積極的に利用することのメリットを示している。子供たちにとって、スマートフォンは貴重な情報源でもあり、仲間からの社会的支援でもある。

 

とのこと。もちろん、この研究だと因果関係は分からんのですが、SNSとかゲームにハマらない限り、スマホによる勉強とメンタルサポートには、いくばくかのメリットがあるのかもしれませんな。あくまで子どもが対象ですけど、おそらく大人にも当てはまりそうなデータじゃないかと。

 

 

 

ストレスにさらされた植物は悲鳴をあげる説

ストレスが強い植物は悲鳴をあげているぞ!ってデータ(R)が出ておりました。

 

これがどんな研究だったのかと言いますと、

 

  1. 防音室内に健康なトマトとタバコの鉢を起き、植物が発する音を録音。

  2. その後、同じ植物に水をやるのを止めたり、茎を切り落として植物にダメージを与え、ストレスが高まった状態で、再び植物の音を録音する。

  3. 録音データを機械学習プログラムにかけ、健康な植物の音、水が足りない植物の音、茎を切られた植物の音を分類。

 

みたいになります。健康的な植物とストレスがかかった植物は、発する音声に違いがあるのか?ってのを調べたわけです。

 

そこで何がわかったかと言いますと、

 

  • 植物たちは、プチプチ音やクリック音のような音を出していた。

 

  • ストレスを受けた植物はより多くの音(1時間あたり最大30~50回のクリック音またはプチプチ音)を出したが、健康な植物はほとんどの時間は静かだった。

 

ってことで、どうやら植物はストレス音みたいなものを出しているらしい。高周波なので人間の耳には聞こえない音声なんですけど、なんだか植物に対する共感力が否応にも上がってしまうデータですなぁ。

 

こうなると、なんで植物は音を出しているの?ってとこが気になりますけど、現時点での仮説としては、

 

  • 他の生物にメッセージを送るため?(実際、植物の一部は、受粉をする昆虫と音声でやり取りをしているケースがあるらしい)

 

  • 他の植物に「俺はいまストレスが凄いぞ!」ってのを知らせるため?

 

といったあたりが挙げられておりました。ここらへんはまだ謎が多いんですけど、研究チームは、植物の音声を使うことで農作物の健康状態を監視する技術を作ろうとしているそうな。うーん、凄い。

 

 

 

 

低脂肪のチーズより脂肪が多いチーズのほうが体に良い説

普通のチーズで良いコレステロールが増える!ってデータ(R)が出ておりました。普通のチーズってのは、低脂肪の加工がされないない、普通に飽和脂肪酸がふくまれたチーズのことです。

 

一般的な食事のガイドラインでは、心臓病、糖尿病、脳卒中などを予防するためには、飽和脂肪酸が多い食品は避けるべきだと言われていて、そう考えると普通のチーズもダメなはずなんですよ。ところが、コペンハーゲン大学などの研究では、普通のチーズを食べてもこれらのリスクは増加しないっぽいんですな。

 

この実験の期間は12週間で、139人の男女を3つのグループ(低脂肪チーズ、普通脂肪チーズ、チーズなし)に分けて、どんな変化が出るのかを調べたんだそうな。すると、普通のチーズを食べた参加者は、血圧、インスリン値、グルコース値、ウエストの測定値にめだった変化はなく、それどころかHDLコレステロール(善玉)が増加してたらしい。

 

もちろん、これは短期間の調査なんで、このデータをもって「毎日チーズを食べようぜ!」って話じゃないんですけど、「実は低脂肪の乳製品よりも全乳のほうがいいんじゃない?」って考え方は昔からありまして、また低脂肪乳の立場が弱くなったなーって気がするわけです。

 

一例を挙げると、3,333人の成人の血液を約15年間にわたって分析した調査(R)とかを見ると、

 

  • 全乳製品をよく摂取する人は、あまり摂取しない人に比べて、糖尿病にかかるリスクが平均46%低い!

 

って傾向が見られたらしいんですよ。研究チームは「低脂肪の乳製品を推奨する方針は改める必要があるだろう。低脂肪の乳製品を食べる人が、全脂肪の乳製品を食べる人より健康だという証拠はない」ってことでして、低脂肪が良いとは言いづらいんですよね。

 

まー、いまのところ、なんで全乳で糖尿病や心疾患のリスクが下がるかは謎で、「乳製品の脂肪が細胞へ直に働きかけるから?」「高脂肪の乳製品は食欲のコントロールに効くから?」などと言われております。いずれにせよ、フルファットの乳製品を怖がる必要はなさそうなんで、自分の好きなものをお選びください。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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