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感情なんてただの「ツール」なんだから、幸福感ばっかり追っかけてもムダだぞという話

Baadmood

以前に「ネガティブな感情は人生の役に立つ!」 と主張する「あなたの悪いところの良いところ」って本を紹介しましたが、その著者であるトッド・カスダン教授のインタビューが(1)良かったのでメモ。





その内容は、本の主張をコンパクトにまとめたものになってまして、ポイントをざっくりまとめますと、


  • ポジティブな感情をゴールにしてはいけない:人間の思考や感情は、気温やホルモンバランス、体内時計などで簡単に左右されちゃう複雑なシステム。なので、「いつもポジティブに!」や「前向きで!」といった態度でいるのは根本的にムリだし、強引にネガティブな感情をなくそうとするのは時間のムダ。

 

  • 「感情」はただのツール として考える:ヒトの「感情」は、うまく生存や繁殖を行うために進化してきた仕組みの1つ。そのため、ポジティブな感情にもネガティブな感情にもメリットはあり、必ずしも「喜び」が「悲しみ」よりも良いわけではない。

 

  • 重要なのは現時点での自分の「感情」を理解すること:「感情」は、ヒトに行動を起こさせるためのナビゲーションシステムとして機能している。たとえば「怒り」は障害をとりのぞく行動をうながすし、「悲しみ」は現状と希望のギャップをつかむシグナルとして働く。しかし、いったん激しい感情に巻き込まれてしまうと、せっかくの機能を上手く使うことができないので、まずは一歩引いたところから自分のいまの状態をつかむのが大事。

 

 

といったところ。やはり最近の認知行動療法と同じく、感情と自分を切り離すことの大事さが強調されております。
 
 


最後に、カスダン教授によるポイントのまとめ。

  • 第1に、感情はただのツールでしかない。良い気分を味わうことをゴールにしちゃダメだ。皮肉なことに、幸福を追うのを止めたほうが人生は幸せになりやすいことが、数々の研究であきらかになっている。

 

  • 2つめ。自分の感情をより明確に理解して、細かく説明できるようにトレーニングしよう。そうすれば、自分が次になすべきことを、よりよく理解できるようになる。

 

  • 3つめ。自分の価値感と人生の理想像をハッキリさせること。いま幸せを得たとして、それからどうする? 不安をなくしたうえで、人生で何をする? 自信をつけて、いったいどうしたい?


そんなわけで、あくまで感情を「目的を果たすための機能の1つ」としてとらえるあたりに激しく共感。新世代の認知行動療法とかでは、感情より価値感に重きを置くケースが多いんですが、ちょっと近いものがある感じですね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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