重曹サプリは本当に効くのか?高強度運動で試した研究の話
ベータアラニンや重曹といえば、スポーツサプリ界では定番の「酸性化対策サプリ」であります(酸化対策じゃなくて、酸性化対策ね)。
これがどういうものかと言いますと、まず前提として、私たちが激しい運動をすると、筋肉の中に水素イオンがたまりまして、これが「もう脚が動かん!」みたいな疲労感につながるんですよ。そこで、
- ベータアラニン:筋肉内のカルノシンを増やして、細胞の内側から酸性化を防ぐ
- 重曹/炭酸水素ナトリウム:血液側の緩衝能力を高めて、細胞の外側から酸性化を処理する
という感じで、それぞれ違うメカニズムで疲労を抑えてくれるんじゃないか?と考えられているんですな。
で、新しく出た研究(R)では、「女子バスケ選手にベータアラニンと重曹を飲ませたら、パフォーマンスは上がるのか?」という問題を調べてくれてて、なかなかためになりました。
実験の対象は女子バスケットボール選手68人で、平均年齢は21歳ぐらい。週10時間以上トレーニングしている選手たちばかりだそうで、かなりガチめの競技者だけを選んだらしい。
研究チームは、参加者を以下の4グループに分けております。
| グループ | 内容 |
|---|---|
| ベータアラニン+重曹 | 両方飲む |
| ベータアラニンのみ | ベータアラニン+重曹のプラセボ |
| 重曹のみ | ベータアラニンのプラセボ+重曹 |
| プラセボ | どちらも偽物のサプリを飲む |
それぞれの摂取量は、
- ベータアラニン:1日6.4gを28日間
- 重曹:体重1kgあたり0.3gを7日間
という感じでして、そのうえで研究チームは以下のようなポイントをチェックしております。
- カウンタームーブメントジャンプ
- 自転車テスト
- 心拍数
- 主観的きつさ
その結果、なにがわかったのかと言いますと、以下のような変化が確認されたそうな。
- 「ベータアラニン+重曹」「重曹のみ」のグループは、ウィンゲートテストのピークパワーが上がった。
- 「ベータアラニンのみ」「プラセボ」では、同じように明確な改善は見られなかった。
ということで、ここから考えると、今回の条件では、ベータアラニンよりも重曹のほうがパフォーマンス改善に役立つ可能性は高そうっすね。まぁこれは理屈にも合ってまして、重曹ってのは血液のバッファ能力を上げる働きがあるので、バスケみたいに、短時間で一気にパワーを出す必要があるような運動とは相性がいいはずなんですよ。
一方で、ベータアラニン単体では、今回の研究ではあまり効果がなかったんだけど、これは別に「ベータアラニンは効かない!」という話ではないんで注意したいところです。ベータアラニンは、どちらかというと1〜4分ぐらい続く高強度運動で効果が出やすいと考えられてますんで。つまり、ざっくり言えば、
- 短い時間でパワーを爆発させる運動:重曹のほうが向いているかも
- 少し長く粘らねばならない高強度運動:ベータアラニンが向いているかも
という感じで使い分けるのがいいんでしょうな。とはいえ、重曹がやってくれるのは、あくまで「高強度の運動で血液が酸性化してきたときに、出力の低下を少し抑えてくれる」ぐらいの効果なので、過剰な期待は禁物ですけども。
あと、今回ちょっと面白いのは、重曹グループではピークパワーが上がったのに、主観的なきつさは大きく増えなかったってところです。つまり、より高い出力を出せたのに、本人の「しんどさ」はそこまで増えなかったってことでして、これはアスリート的にはかなりうれしい話じゃないでしょうか。「今日はめちゃくちゃ頑張ってる感じはないけど、いつもよりはパワーが出るなぁ」って状態になるんなら、試合終盤の勝負どころではかなりありがたいですもんね。
ってことで、今回の研究をもとに現実に活かす方法を考えると、優先度は以下のような話になるんじゃないでしょうか。
- 瞬間的な爆発力を狙うなら重曹:30秒前後の全力運動や、短時間の高強度プレーを少しでも伸ばしたいなら、重曹は候補になるでしょう。ただし、重曹は胃腸トラブルが出やすいのが難点でして、人によっては「胃もたれ」「吐き気」「下痢」が起きることがあるんで注意したいっすね。なので、いきなり試すのはNGで、まずは少量からテストしてくださいませ。
- ベータアラニンは「粘る競技」向けに考える:ベータアラニンは、1〜4分ぐらいの高強度運動で粘るためのサプリとして考えたほうがよさそう。なので、たとえばバスケでいうなら、何度もスプリントをくり返す練習とかインターバル系のコンディショニングみたいな場面では役立つ可能性があるでしょうな。
そんなわけで、過去の研究とも合わせて考えてみますと、個人的には「重曹は運動のパフォーマンスアップにおいて、けっこう現実的な選択肢かもね」って印象であります。ただし、重曹は効く人には効く一方で、胃腸に来る人にはかなり来ますので、そこだけくれぐれもご注意くださいませ。試したいときは、体重1kgあたり0.1gぐらいの量から試すといいでしょう。


.jpg)
