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自分の筋肉はあとどれだけ増やせる?FFMIでわかる「筋肥大の伸びしろ」

 
 

筋トレ界隈では、昔から「ナチュラルの限界はFFMI 25だ!」みたいな話がよく言われます。

 

FFMIってのは、「身長に対して、どれぐらい除脂肪体重があるか?」を表す数字のことで、

 

  • FFMI=除脂肪体重(kg)÷身長(m)の二乗

 

って感じで計算します。たとえば、身長170cm、体重75kg、体脂肪率15%なら、除脂肪体重は約63.8kgなので、FFMIは約22ですね。BMIとかは身長と体重のバランスを見る指標であるのに対して、FFMIは体脂肪を除いた体重を見る指標になっております。

 

でもって、この数値について、筋トレ界では「ステロイドでも使わない限り、FFMIは25が限界じゃないの?」と言われてきたんですな。簡単に言うと、どれだけ筋トレをがんばっても、薬物なしではFFMI 25を超えるのは難しい!みたいなことっすね。

 

 

 

「ナチュラルの限界は25」はどこから出てきたのか?

で、前提から言いますと、「男性のFFMIは25が限界」って話の出どころは、1995年に発表された有名な研究(R)であります。この研究では、

 

  1. アナボリックステロイドの使用者83人
  2. 非使用者74人

 

を比べまして、その結果、薬物を使っていなかった男性のFFMIは、最高でも約25だったんだそうな。一方で、ステロイド使用者の多くはFFMI25を超えてまして、そのせいで「FFMI 25がナチュラルと薬物使用者を分けるラインではないか?」と考えられるようになったんですよ。

 

では、実際のところ、「ナチュラルの限界はFFMI 25だ!」説はどれぐらい正しいのか? ってことで、2026年のメタ分析(R)を見てみましょう。

 

これは480件の筋トレ研究、3,237件の観測値を分析したもので、こいつを見てみると、筋肉サイズの増加率は、

 

  • 6週間で約5.6%
  • 12週間で約7.5%
  • 24週間で約9.4%
  • 36週間で約10.5%
  • 78週間で約12.6%

 

ぐらいが一般的だったんだそうな。最初の12週間では約7.5%増えているのに、そこからさらに66週間続けても、追加の伸びは約5ポイントぐらいって感じっすね。筋トレを続けるほど、筋肉の増加はかなりのペースで鈍っていくわけですな。

 

でもって、もひとつ一般的な男女の体組成を調べた研究(R)では、18〜39歳の平均FFMIを調べてみたところ、

 

  • 男性が約19.0
  • 女性が約15.6

 

ぐらいだったそうな。なので、この一般成人の値と、薬物を使ってないナチュラルボディビルダーのFFMIを比べてみますと、私たちが死ぬまでのあいだに増やせる除脂肪体重ってのは、

 

  • 男性:約12.5〜20.2kg
  • 女性:約7.3〜11.4kg

 

ぐらいになるんでしょうな。あくまで推測の数字なんですけど、まぁこんなもんでしょうね。

 

ただし、この増加分には骨とか水分なんかも入ってるんで、すべてが筋肉ってわけではないんでご注意あれ。実際、健康な男性を対象にした111件の筋トレ研究、合計1,927人をまとめたメタ分析(R)では、筋トレによる全身の筋肉の増加は平均約1.53kgぐらいだったそうな。こちらも除脂肪体重、筋肉量、骨格筋量などをまとめた数字ではありますが、通常の研究期間で観察される増加量は、生涯の推定値よりはるかに小さいんでしょう。

 

さらに、繰り返しになりますが、筋肉の成長は最初の数年に集中し、その後は徐々に鈍化しますからね。そのため、「男性なら毎年2kgずつ、10年間で20kg増やせる」と考えるのは間違いなんでしょう。

 

 

結局、ナチュラルの限界はどこなのか?

ということで、今回の研究をまとめると、現時点でもっとも妥当なのは、

 

  • 痩せたナチュラル男性:FFMI 25前後
  • 痩せたナチュラル女性:FFMI 20前後

 

ってのが、現実的な筋肉の上限の目安として考えて良いかもっすね。

 

まぁ、現実の世界ではFFMI25を大きく超える男性の存在も確認されてまして、たとえば、NCAAのアメフト選手235人を調べた研究(R)では、平均FFMIが約23.7で、上位2.5%の境界値は約28.1だったりしたんだそうな。なので、中にはFFMIが25を超える人も十分に存在しうるんでしょうけど、ここらへんは遺伝やトレーニング歴によって全然変わってくるんでしょうなぁ。

 

なので、FFMIがまだ上記の水準から遠いなら、「もう遺伝的限界かも?」と心配する必要はあまりないでしょう。トレーニング量、負荷設定、摂取カロリー、タンパク質、睡眠など、改善できるポイントが残っている可能性のほうが高いんで。

 

反対に、すでに男性で25、女性で20に近く、なおかつ体脂肪率も低いなら、そこから先の変化にはかなりの時間がかかると考えたほうがよさげ。このぐらいの態度で臨むと、「FFMI25限界説」をいい感じに使えるんじゃないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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