全ての筋肉を鍛えるより、ひとつの筋肉に集中したほうが育つのか?問題
筋トレ界隈には、部位特化トレーニングって考え方があるじゃないですか。これは、一定期間だけ肩や腕といった特定の筋肉だけを鍛え、その他の部位は少し控えめにする方法であります。
ボディビル界では昔からよくある手法で、たとえば、
- 腕を大きくしたい → 腕のセット数や頻度を増やす
- そのぶん脚や背中のボリュームを減らす
- 全体のトレーニング時間や疲労は大きく増やさない
みたいな感じで使われてるんですよ。
この発想は、なんとなくわかるところで、筋肉を作るのに必要なエネルギーやタンパク質には限りがありますからね。となれば、
腕だけ鍛える
↓
成長資源を腕に集中できる
↓
腕がより大きくなる!
みたいなことが起きても不思議じゃないですからね。要するに、筋肉どうしが資源を奪い合っているのでは?みたいな発想ですな。
ってことで、新しく出た研究(R)は、そこらへんをガッツリ調べてくれております。
この研究は、本格的な筋トレをしていない18〜35歳の男女105人が対象。まずは全体を大きく3グループに分けまして、
- 何もトレーニングしない
- 腕だけ鍛える(利き腕でダンベルカールを30%1RMで限界まで2セット)
- 腕+脚を鍛える(まったく同じダンベルカールを行ったうえで、さらにレッグエクステンションを4セット追加)
みたいに設定したんだそうな。実験の期間は6週間で、週3回ずつの筋トレをしたんだそうな。この実験デザインによって、「腕だけ育てようとした場合」と「腕と脚を同時に育てようとした場合」で、腕の筋肥大に差が出るか?を見たわけですね。
結果、腕の成長はほぼ同じだったから面白いもんです
で、結果はどうだったかと言いますと、
- 腕だけ鍛えても、腕+脚を鍛えても、上腕二頭筋の成長はほぼ同じ!
って感じだったらしい。たとえば、上腕の60%地点で測った筋厚の変化は、
- 腕だけ:+0.18 cm
- 腕+脚:+0.19 cm
70%地点では、
- 腕だけ:+0.17 cm
- 腕+脚:+0.17 cm
という感じでして、確かに変わんないっすね。もちろん、脚を鍛えたグループではちゃんと大腿四頭筋も大きくなってまして、「脚まで鍛えたせいで腕が育たなくなった!」みたいな現象は確認されなかったわけですな。
じゃあ「部位特化」の筋トレって意味がないの?
となると、「じゃあ特定の部位に集中する意味なんてないじゃん!」と思っちゃうわけですが、それは判断が速すぎるのでご注意あれ。
今回の研究でわかったことってのは、あくまで、
- 部位特化が役立つ理由は、「成長資源をひとつの筋肉に集中できるから」ではなさそう
ということでしかないので。
個人的には、部位特化のメリットってのは、もっと現実的なところにあると思ってたりします。たとえば、あなたが肩を大きくしたくて、いまのメニューに肩トレを週10セット追加したとしましょう。そこで、脚も胸も背中も、これまで通りフルボリュームで続けたらどうなるでしょう?
この場合は、当然ながら、
- トレーニング時間が伸びる
- 疲労が増える
- 関節への負担も増える
- 回復が間に合わなくなる
みたいな問題が出てくるはずであります。そこで、肩のボリュームを増やすかわりに、他の部位を少し減らすって考え方をするのは、めっちゃ妥当じゃないでしょうか。これなら、総トレーニング量や疲労を大きく変えずに、伸ばしたい部位へ多めの刺激を入れられますんで。
つまり、私としては、部位特化のトレーニングがうまくいく理由は、筋肉どうしの資源争奪というより、「トレーニングの疲労や時間を管理しやすいからでは?」と考えてるわけですね。
まぁ、これは「筋トレあるある」みたいなところがあって、理屈だけ考えればいろんな筋肉をガンガンに鍛えたほうがいいのは間違いないんですけども、現実には時間も体力も回復能力も有限ですからねぇ。なので、全部を同時に鍛えまくるより、一定期間だけ優先順位を決めるほうが現実的なわけですね。
具体的なやり方としては、たとえば8〜12週間だけ、
- 肩を伸ばす期間は、肩のボリュームを増やす
- 一方で、胸・背中・脚は維持量まで減らす
みたいにすれば、生活を筋トレだけに捧げずに、特定部位へ多くの刺激を回せますんで。
というわけで、話をまとめると、
- 今回の研究では、「他の筋肉も鍛えると、成長のリソースを奪われてしまう」という考えは、あんま正しくないっぽい
- なので部位特化トレーニングをやるなら、「限られた時間と回復力を、いま伸ばしたい部位へ多めに配分するにはどうすればいいか?」と考えるのがよさそう
みたいになります。個人的には、部位特化トレーニングは普通に合理的だと思いますんで、気になる方はお試しあれー。



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