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小さなイライラに耐えられる人ほど、日常の不安にも強い!では、そのスキルはどう鍛えるのか?

 

「小さなことにイライラしないスキルが高い人ほどメンタルが安定してる!」って研究(R)が、なかなか役に立ちそうで良かったです。レジの列が進まないとか、電車が数分遅れるとか、ネットの読み込みが遅いとか、こういった地味にイラッとする出来事にメンタルが左右されない人ほど、日々の不安を抱きにくいってことですな。

 

これは274人の学生を対象にした調査で、学校に入ってすぐに、

 

  • 待ち時間にイライラしやすいか
  • 人に腹が立っても落ち着いていられるか
  • 不安をどれくらい感じているか

 

ってあたりを質問。さらに、その4年後、同じ学生にもう一度質問をしまして、みんなの忍耐力と不安感が、入学時からどれくらい変わったかを調べたんだそうな。

 

で、調査を行うにあたり、「忍耐力」を以下の3種類に分けているのが、この研究のおもしろいところ。くわしくは、

 

 

  1. 対人関係の忍耐力:他人とのやり取りで、腹が立っても落ち着いて対応できる。
  2. 大きな困難への忍耐力:人生のつらい出来事や逆境に耐えられる。
  3. 日常の不便への忍耐力:行列や渋滞など、小さなイライラに耐えられる。

 

 

みたいになってまして、それぞれの能力が、不安の強さとどう関係しているかを調べたんですね。確かに、ひとくちに「忍耐力」と言っても人付き合いでは穏やかでも、待ち時間にはすぐイライラする人もいますんで、種類を分けて調べるのは納得できる話ですな。

 

でもって、どのような結果が出たのかと言いますと、

 

  • 「日常の不便への忍耐力」が高まった学生ほど、不安症状が減る傾向があった。
  • 一方、「対人関係の忍耐力」と「大きな困難への忍耐力」の変化には、不安症状の変化との明確な関連が見られなかった。

 

だったそうな。日常の小さな不便に耐える力の変化が、不安の減少と関連していたんだ、と。

 

日常のイライラに耐える能力が大事なのは、ちょっと考えてみれば当然の話でして、たとえば、

 

  • 電車が遅れたときに、「5分遅れている。待ち合わせ相手に連絡しよう」と考える人

  • 電車が遅れたときに、「なんで今日に限って! もう全部うまくいかない!」と考える人

 

と考える場合では、同じイライラでも、その後の気分は変わりそうですもんね。

 

あくまで観察研究なので「忍耐力が高まったから不安が減った」のか、「不安が減ったから忍耐力が高まった」のかはわからないわけですが、このデータを見る限り、「不便が起きたあとに、自分がどんな反応を続けているか」は、セルフモニタリングしてみる価値があるんじゃないでしょうか。

 

この研究から得られた知見を日常で応用するとすれば、個人的には、だいたい以下のようなポイントに気をつけてみるといいんじゃないかと。

 

  1. イライラする場面をひとつ選ぶ:レジ待ち、パソコンの起動、エレベーター待ちなど、自分がよくイライラする場面を選ぶ。日常で繰り返し起きて、自分の反応を観察しやすい場面であれば、どんな場面を選んでも問題なし。

  2. 起きたことと、自分の評価を分けてみる:その場で実際に起きていることと、それについて自分がどう考えているかを、別々の言葉にしてみる。たとえば、「レジ待ちでイライラする」ってのを選んだのであれば、起きていることは「列が進まない」で、自分の評価は「こんなに待たされるのは納得できない」となる。また、「電車が遅れてイライラする」って状況を選んだのであれば、起きていることは「予定より電車の到着が遅れている」で、自分の評価は「時間を台なしにされた」だと言える。で、自分がどのような評価をしているのかに気づいたら、とりあえず「今、私はこう考えているんだな」と確認してみればOK。

  3. その場でできる対応をひとつ決める:状況を確認したら、いま自分にできることを具体的にひとつ選んでみる。たとえば、そこで自分が「遅刻しそう」なら「先方に連絡する」、「いま並んでいるレジだけ、なかなか列が進まない」時は「別の列に移れるなら移る」、「ただ時間が過ぎるのを待つしかない」と判断したなら、とりあえず「自分の肩に不要な力が入っていないか?」を確かめてみる。こんな感じで、いまの自分が選べる行動に目を向けるわけですな。

 

こんな感じで、小さな不便に出会ったときの考え方と行動を、ひとつずつ確認してみると、イライラへの耐性がついていいんじゃないでしょうか。もちろん、今回のデータだけをもって「忍耐力を鍛えれば不安が減る!」とは断定できないものの、「私は、小さな不便が起きたあとに、どんな考えや行動を繰り返しているだろう?」って問いは、毎日の生活を振り返る視点としては面白いっすね。次に何かにイライラしたら、自分の反応を少し観察してみるのがオススメであります。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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