なぜアレルギー鼻炎薬を飲むと「悪夢」を見やすくなるのか?
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アレルギー薬と「悪夢」の関係についてご質問をいただきました。
「アレルギー鼻炎薬を買ったら副作用に「悪夢」って書いてあるんだが(笑)!」という記事を読んで不安になりました。メラトニンにも同様の副作用があると聞きました。どうして悪夢を見るのでしょうか。
とのこと。 有名な鼻炎薬「アレグラ」の副作用欄に「悪夢」と書いてあった!ってな話でして、なんか怖くなった人が少なからずいらっしゃるみたいで。
副作用で「悪夢」が起きる薬はめずらしくない
といっても、クスリの副作用に「悪夢」が入っているのは、そんな珍しいことじゃないんですよ。「アレグラ」のほかにも、- アンチヒスタミン系のアレルギー薬
- 抗不安薬
- 抗生物質
- 高血圧のクスリ
- コレステロールを下げるクスリ
- βブロッカー(心臓系のクスリ)
などなど、悪夢を引き起こす商品は山ほどあるんですな。
そのメカニズムは完全にはわかってないものの、基本的には睡眠の正常なパターンが崩れるのが原因と考えられています(1)。具体的な流れを申しますと、
- クスリが神経伝達物質へ影響をあたえる
- 睡眠のリズムが崩れる
- レム睡眠の時間が長くなるため、体は休んでも脳が働き続ける
- 脳が活発なので濃い夢を見やすくなる
- 悪夢!
って感じです。いつもよりレム睡眠の時間が長くなったせいで、夢を記憶しやすい状態になってるわけですね。これは、睡眠のリズムをいじるクスリにはつきものなので、当然ながらメラトニンでも同じ現象は起こりえます。
クスリで良い夢を見るケースもある
もっとも、これはあくまで濃い夢を見やすくなるって話でして、つねに「悪夢だけ」が現れるってわけじゃありません。実際、アレグラの臨床実験では、逆に「良い夢を見るようになった」と報告する人もいるそうな。ただし、アレルギー薬や抗不安薬が必要な場面では、本人は体調を崩しているケースが多いわけで、それが自然と悪夢の発生につながっていくのかなー、と。そんなわけで、「悪夢が起きる!」と言われるとビビっちゃいますが、つまりは眠りの深さが変わったぐらいの話なんで、そこまで心配しなくてもよいかと。とくに「アレグラ」は他のアレルギー薬にくらべて眠気が起きにくい商品ですし、メラトニンも「そろそろ寝る時間ですよ」と体に教える作用がメインなので、効き目はマイルドですしね。
その点では、市販薬よりも「アルコール」のほうが睡眠のリズムを崩しやすく、より悪夢を見やすいのではないかとも思います。いずれにせよ、特に変わったメカニズムがあるわけじゃないんで、そんなに心配しなくても大丈夫ですよーってことで。