「低GI食品を食べると運動のパフォーマンス が上がる!」って話はどこまで正しいのか?問題
「低GI食品で運動のパフォーマンスが上がる!」みたいな考え方があるんですよ。低GI食品ってのは食後の血糖値が上がりにくい食品のことで、たとえばご飯だったら白米よりも玄米のほうがGIは低めであります(食物繊維が多いから)。
では、なんで低GI食品が運動パフォーマンスに良いと考えられているのかと言いますと、
- 低GI食品を食べる
- 糖質がゆっくり供給される
- 血糖値が維持されるので、エネルギーがすぐに切れにくくなる
みたいな感じです。逆に高GI食品を食べると高血糖&高インスリン状態になり、エネルギーが安定して供給されないせいで、運動のパフォーマンスが低下しちゃうんじゃないか、と。なかなか説得力のある考え方じゃないでしょうか。
ただ、この説が正しいかどうかは不明な点も多かったんですが、ちょっといい感じのデータ(R)が出てましたんでご紹介しときましょう。
これはシドニー大学などの研究で、「持久系トレーニングに低GI食品が効くかどうか?」って問題に取り組んだメタ分析になっております。過去の研究を見てると結果がバラバラだったんで、これはありがたいですねぇ。
具体的にどんな研究になってるかと言いますと、
- 60分以上の持久運動を行なっており、エクササイズの30〜240分前に低GI食品(≤55)と高GI食品(≥70)を食べて、パフォーママンスに与える影響を調べたものを選択
- 結果、選ばれた先行研究は19件で、サンプル数188人
みたいになってます。わりとサンプル数は小さめでして検定力がちょい微妙なんですが、それなりに参考にはなりましょう。
では、その結果がどうだったかと言いますと、
- 全体的に見れば、運動前に低GI食品を食べてもパフォーマンスは上がらない
みたいになってます。ここでいう「運動パフォーマンス」ってのは、持久走の成績や疲れ切るまでの時間の長さなどを指してまして、いずれも低GIと高GIでは目立った差がなかったみたい。
まぁ厳密に言えば低GI食品でちょっとパフォーマンスが上がる可能性もなくはないものの、どうにも効果量が小さすぎて実用的でもないかなーってレベルなんですよね。理論上は低GI食品のほうがパフォーマンスを上げてもおかしくはないはずなんですけど、不思議なもんですねぇ。
ちなみに、似たようなテーマを調べた別のメタ分析(R)も同じような結論で、
エクササイズ前に食べる食品のGIは、スポーツのパフォーマンス に影響しないようだ。
みたいになってたりします。
もちろん今回のメタ分析はサンプルサイズの問題もあるし、実験ごとの違いもかなり大きい(グリセミックロードや食事タイミングの差など)んで、まだまだ確定的なレベルではありません。が、現時点では運動用に低GI食品を気にするメリットは低そうな感じっすね。