アルコールは1gでも脳を老けさせる!みたいな観察研究の話
「酒はどうやらちょっとでも体に悪そうだなー」ってのが近年の結論なわけですが、さらに2020年に入ってから「酒はちょっとでも脳を老化させる!」ってデータ(R)が出てビビっております。アルコールの取り過ぎで脳が縮むって話は昔からあったものの、一滴でもヤバい!ってのは辛い話ですなぁ。
これは南カリフォルニア大学などの研究で、UK Biobank( 英国の健康機関)の参加者11,651人を撮影した脳画像を分析しつつ、全員のアルコール摂取量と比較。普段の酒量がどれだけ脳の変化と相関してるのかをチェックしたところ、こんな結果になりました。
- 1日あたりのアルコール消費量が1g増えるごとに、脳年齢は0.02歳ずつ老けていく
- 酒を毎日飲んでいる人は、ほとんど飲まない同年代の人と比べて、脳の老化が0.4年ほど進んでいた(つまり、飲酒の習慣により脳の老化が加速する可能性がある)
- ただし、もちろん脳の老化には遺伝的な要素も大きい。
ってことで、言い換えれば「1日1gのアルコールで脳は1週間老ける!」という話ですね。この脳の変化がどれぐらい生活の質に影響するのかは不明ですが、なかなか怖いもんですな。
さらに、この研究者ではタバコの影響についても調査を行っていて、こんな結果が出ております。
- タバコはさらに激しく脳を老けさせる可能性があり、毎年タバコを一箱ずつ吸うと、脳の老化がさらに約11日間(0.03年)進む
- 毎日タバコを吸っている人の脳は、まったく喫煙していない人と比べて、平均して6〜7カ月ほど脳が老化していた
まぁ「0.4年(約5カ月)」や「平均6〜7カ月」って数値をどう見るかは個人の判断になりますが、研究チームいわく、
0.4年と0.6年の相対的な脳年齢の差は小さいように見えるかもしれないが、これらの数字は実際には重要だと思われる。このような違いは認知機能の悪化と関連しているからだ。
とのこと。数字が小さいように見えても甘く見るなよ!と言っておられました。酒は悪だ!と言えるレベルではないものの、ひとまずは「Every drop counts」と考えたほうがよいのかもなーってとこですね。
ちなみに、この研究では脳の老化には遺伝の影響もかなり大きそうな雰囲気があるわけですが、2019年の研究(R)だと、遺伝子に恵まれてない105人を調べたところ、
- たとえ不運な遺伝子を持っていたとしても、「エクササイズ」や「脳を使う活動」を行っていれば、認知機能の低下を劇的に防ぐことができる!(具体的には、何もしない人より55%ほど認知の低下率が低い)
- ただし、これは脳の容量が増えたわけではなく、残った脳の機能が向上したのが原因である(つまり、リソースの有効活用ができるようになった)
みたいな結論なんで、あきらめずに取り組んでいただければと。ちなみに「脳を使う活動」ってのは、読書、パズル、アートなどなんでもいいそうです。酒好きな方は参考にどうぞ。