感染症リスクを激減させたきゃとにかく手を洗え!というデータのお話
新型コロナが猛威を奮っている昨今ですが、そういえば昨年末ぐらいに役に立ちそうなデータ(R)が出てたのを思い出したのでまとめておきます。
これは「感染症の拡大を防ぐにはどうすればいいの?」って問題に取り組んだデータで、まず結論から言っちゃうと、
- とにかく手を洗え!特に空港を利用する際は徹底的に!
って話になりまう。うわー、普通!
が、この普通なことを研究チームがわざわざ強調してる理由は他でもなく、
- 常識的なアドバイスを実践してる人がかなり少ないから
- なかでも空港は感染リスクが高いから
であります。というのも、これまでの調査(R)では空港を使う人の約30%は「トイレの後で手を洗わない」って結果が出ている上に、手を洗う人でも「50%は正しく洗えていない」なんて傾向が確認されてるんだそうな。
というわけで、この研究では世界の3,621の空港からデータを集め、その利用状況をチェック。そこに感染症の広がり方を表した数理モデルを作って、みんながちゃんと手を洗うとどうなるかを推計しております。その結果は、
- 手洗いを増やすことで、世界的な感染症の流行を24%から69%まで抑制できる
だったそうで、なかなかの数値になっておりました。かなりざっくりした推定なんだけど、これだけ効果があると思えば手洗いのモチベーションもわいてくるってもんです。
研究チームいわく、
インフルエンザ型ウイルスの世界的な伝播リスクは、ヒト間の物理的接触により強化され、さらに個々の移動パターンにより加速される。現在の航空輸送システムは、人間を長距離かつ高速で移動させるため、感染症の拡大に重要な役割を果たしている。しかも、一般的な空港は混雑した密閉空間であり、衛生状態もよくない。
今回の結果は、空港で手を洗うことがいかに効果的であるかのエビデンスを提供している。手の衛生を保つことで、潜在的な健康危機は緩和される。
ってことで、とにかく手を洗おう!って視点が強調されておりました。
もちろん、この研究では新型コロナへの言及はないんですけど、一般的にコロナウイルスはエンベロープを持っているんで(つまり脂質の膜で保護されている)、普通に石けんでも脂肪膜を溶かして無効化できたりします。具体的な手の洗い方としては、以前にWHOとCDCが推奨する方法をまとめたことがあったんで、こちらを参考にしていただければ。
ちなみに、こちらも極めて常識的な話になりますが、「顔を触らない!」ってのを心がけるだけでもかなり感染の予防にはなりますんで、ご留意いただければと。事実、ちょっと前のデータ(R)だと、
- 人間は平均して2〜3分に一度は顔に触れており、その44%が目、鼻、口に接触している!
なんて結論も出てるもんですから、これは意識してきたいところです。言わずもがな、人間の目、鼻、口は、病原体が体内に入りこむ典型的な経路なんで。というわけで、どうぞご自愛ください。