筋トレで受けたダメージを完全回復させるにはどれぐらいかかるのか?問題を考える
筋トレの休憩は何時間ぐらい取るべきか?って昔ながらのテーマがありますな。筋トレで傷ついた組織を回復させるには最低48時間は必要だ!いやいや、72時間だ!本当は4日以上必要なのだ!みたいな議論です。
この問題についてはいくつか研究例はありまして、おおまかにまとめておくと、
- 筋肉のダメージを完全回復させるには4日以上かかる
- 最大の筋力レベルをとりもどすには3~5日はかかる
- ボリュームが大きい筋トレからリカバリーするには4日以上はかかる
といったあたりが示唆されております。あらためて見ると筋肉の回復には結構かかるもんですな。
ただし、これらの知見はどれも「筋トレに慣れてない人」を対象にしたテストから得られたもので、筋トレ歴が長い人だとまた違うのでは?って話は昔から言われてたんですよね。当然ながら、慣れてない人の方が筋肉ダメージは大きいでしょうから、それだけ回復時間も長くかかりそうですもんね。
そこで新たに発表されたデータ(R)は、「筋トレ慣れした人は筋肉の回復にどれぐらいかかるの?」を調べてくれてて参考になりました。これは最低でも1年以上の筋トレ歴を持つ男性14人(平均22歳)が対象で、週に2回のセッションを4週間行ったらしい。
どんな感じの実験だったかと言いますと、
- みんなにスミスマシンで8-10RMのハーフスクワットを5セット、8-10RMのレッグプレスを5セット。週に2回のペースで行う
- セット間の休憩は2分で、エクササイズ間の休憩は5分
- 1週間ごとに、「24時間の回復」「48時間の回復」「72時間の回復」を取る
みたいにした調整したうえで、筋肉痛のキツさ、ジャンプ力の変化、最大筋力、クレアチンキナーゼ(筋肉損傷の血液マーカー)などの違いを調べたんだそうな。10RMとか8RMの意味がよくわからない人はこちらをどうぞ。
では、各項目ごとに結果を見てみましょうー。
- ボリュームの変化:回復が24時間だと、次のセッションではボリュームが下がる。48時間と72時間の回復では有意な変化はなかったが、48時間は小さな減少を示したのに対し、72時間は小さな増加を示す傾向があった
- ジャンプ力の変化:ジャンプの高さは72時間の回復で有意に改善したが、24時間と48時間の回復では有意な変化はなかった
- 筋力の変化(MVIC):72時間の回復で有意に改善したが、24時間または48時間の回復では改善しなかった
- クレアチンキナーゼ:レアチンキナーゼは24〜48時間の回復後には上昇する傾向があったが、72時間後には上昇しなかった
- 筋肉痛:24時間と48時間の回復で有意に増加したが、72時間の回復では増加しなかった
といった感じで、この結果をもとに、研究チームは「回復には少なくとも48時間が必要なんじゃない?」と申しておられます。
ただ、ご覧のとおり、全体的には「72時間の休憩でいろんなパラメータがほぼ完璧に回復する!」って印象も強くて、このデータをもとに「72時間がベストだ」と解釈する人も多いでしょうね。特に筋トレにおいてもっとも大事である「ボリューム」が48時間でちょっとだけ低下してるんで、そこは気になりますし。
まぁあくまで少ないサンプルで短期的な変化を見ただけなんで、はっきりしたことは言えないんですけど、
- とりあえず最低でも48時間は回復に使った方が良さそう
- ただし万全を期するなら72時間は欲しいかも
- もっとも、低ボリュームの筋トレしかしないなら48時間のリカバリーでも万全な可能性はある
みたいな感じになりましょうか。個人的には、そこまで筋トレに細かく時間を使おうとは思わないので、72時間にしておこうかな……。