肥満の健康ダメージは食事を改善すれば防げるのか?問題
https://yuchrszk.blogspot.com/2020/11/blog-post_18.html
「食事で肥満の健康ダメージは防げるか?」みたいなデータ(R)が出ておりました。食事の改善と体型の維持がどちらも健康に重要なのは当たり前ですけど、果たしてどっちが死亡リスクの抑制に効くのか?といった話ですね。
これはスウェーデンで行われた研究で、
- 90,303人の女性を1987~1990年から追いかけた健康データ
- 100,303人の女性を1997年から追いかけた健康データ
という2つのデータを使ってます。追跡した年数は最大21年で、みんなから食事や運動などの情報を聞き出して、死亡リスクと比べたらしい。
体型のチェックにはBMIを使ってて、20~25未満=普通、25~30未満=過体重、30以上=肥満って感じで設定。「良い食事」の基準には毎度おなじみ地中海式ダイエットを使っていて、地中海食採点ガイドラインみたいなチェック法で点数をつけたそうな(実際の質問は350問ぐらいあってめちゃくちゃ長い)。
で、追跡期間中に30,389人が命を落としまして、みんなの食習慣・体型・死亡率を比べたところ、こんな傾向が見て取れました。
- 基本的に、地中海式ダイエットの点数が多い人ほど教育歴が長くて、日ごろの活動量が多かった
- BMIは26のあたりで全死亡率が最低になり、そこからBMIが1ポイント増えるごとに全死亡のハザード比が1.022ずつ上がっていく
- 地中海食を守っている人ほど全死亡と心疾患死のリスクが下がり、地中海食のスコアがひとつ上がるごとに全死亡のハザード比が0.860ずつ下がっていく
- 全死亡率がもっとも低いのは、地中海食をかなり実践してて、さらに過体重のグループだった(ハザード比0.94)
- 健康的な食事をしてない人の場合、BMIが正常レベルでも死亡リスクは高めに出た(ハザード比1.60)
- 死亡リスクの低下と一番相関が大きかったのは活動量だった
ということで、ここからざっくり結論をまとめると、
- 肥満の人でも健康的な食事をしている場合は、BMIが正常な人と比べて死亡リスクは増えない
- BMIが正常でも、不健康な食事をしている人は、死亡リスクが高まる
- ただ、心疾患の死亡リスクについては、健康的な食事をしても肥満のリスクを打ち消すほどのパワーはない
ってのが大事なポイントになりましょうか。健康な食事+BMI26あたりがもっとも死亡リスクが低かったってのがちょっと謎なんですけど、「不健康食 vs 肥満」の勝負で考えると「死亡リスクを下げるには肥満の改善よりも食事の改善が先か?」ぐらいの印象ではありますね。
もちろんあくまで観察研究なんで、体重や食事を変えたからといって必ずしも死亡リスクが減らせるとは言えないんですが、とりあえずできるだけ地中海食に近づけるぐらいの気持ちでいたほうがいいかもしんないですね。