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子どものころに砂糖を控えると、60年後の認知症リスクが27%も下がるかもしれない件

  

 

「子どものころに何を食べていたかで、60年後の脳の健康まで変わってしまうのでは?」って研究(R)が、なかなか興味深い内容になっておりました。

 

まずは研究チームの問題意識から述べておくと、

 

  • 子どものころの食生活は、大人になってからの健康にどれぐらい影響するのか?

  • 幼少期に砂糖を控えておけば、数十年後の認知症まで予防できるのか?

 

みたいになります。人間の脳は、赤ちゃんのころに急に発達するので、この時期に何を食べるかが、その後の脳の働きに影響するんじゃないかって話ですね。

 

 

砂糖制限を経験した人は、認知症リスクが27%も低かった!

この問題を調べるために、広州医科大学などの研究チームは、UK Biobankに登録された60,394人のデータを分析しております。

 

というのも、実はイギリスでは、第二次世界大戦中の1942年から1953年まで、砂糖の配給制限が行われてたんですよ。ところが、1953年に配給制限が終わると、国民の砂糖の消費量が一気に増加。成人の平均的な砂糖摂取量は、ほぼ倍増したんですな。

 

そこで研究チームは、この史実を利用して、

 

  • 砂糖制限を経験したグループ:胎児期から生後間もない時期に、砂糖の配給制限が行われていた人たち
  • 砂糖制限を経験していないグループ:配給制限が終了したあとに生まれた人たち

 

の違いを比べたんですね。これによって、「人生の最初の数年間に砂糖が少ない環境で育った人は、60年以上たっても脳が健康なのか?」がわかるわけです(参加者のうち9,053人についてはMRIのデータも分析し、脳の老化具合まで調べている)。

 

で、分析の結果はどうだったのかと言いますと、

 

  • 胎児期から出生後にかけて砂糖の配給制限を経験した人は、制限が終わったあとに生まれた人と比べて、
    • 認知症のリスクが27%低い
    • アルツハイマー病のリスクが46%低い
    • うつ病のリスクが11%低い
    • 不安症のリスクが20%低い

 

って感じだったんだそうな。アルツハイマー病のリスクが46%も低いってのは、なかなかインパクトがありますなぁ。

 

さらに、MRIを使った分析でも興味深い結果が出ておりまして、砂糖制限を経験したグループは、

 

  • 脳の推定年齢が、平均で0.39年ほど若かった!

 

という傾向が確認されたんですよ。まぁ、0.39年ってのは約5カ月なんでたいした数字でもないんですが、半世紀以上も前の食環境が、現在の脳に関係してるってのは興味深いっすね。

 

 

 

砂糖を控えた期間が長いほど、メンタルにもメリットがある?

また、もうひとつ興味深いのが、「砂糖制限をどれぐらい長く経験したか?」についての分析であります。

 

ここで研究チームは、「赤ちゃんの時だけ砂糖制限を経験した人」と「生まれてからも砂糖制限が続いていた人」を比べたんですが、これによると、

 

  • 砂糖の配給制限を生後12カ月まで経験した人は、
    • うつ病のリスクが23%低い
    • 不安症のリスクが28%低い

 

って傾向があったんだそうな。しかも、砂糖制限を経験した期間が長くなるほど、うつ病や不安症のリスクが低くなる傾向も見られたそうで、これも面白いところっすね。

 

こういう現象が起きる理由はいくつか考えられまして、

 

  • 砂糖の過剰摂取が、体内の炎症や糖代謝の異常につながる可能性がありそう。とくに赤ちゃんのころは脳の神経回路が急速に形成される時期。この時期に栄養バランスが崩れたり、母体の代謝状態が悪化したりすると、その影響が長期にわたって残る可能性がある。

 

  • 幼少期はストレス反応を調整するシステムも発達する時期なので、過剰な砂糖摂取が、その形成に何らかの影響を与える可能性も考えられる。

 

といったあたりは、あり得る話じゃないでしょうか。まぁ、あくまでざっくりした観察研究なので、砂糖がどこまで悪いかってとこは何にも言えないんですけど、とりあえずいくつかの教訓を得ることはできましょう。

 

具体的には、

 

  • とりあえず、赤ちゃんの食生活はめっちゃ大事にしたほうがよさそう。とくに、妊娠中から生後2年までの約1,000日間は、脳を含むさまざまな器官が発達する重要な時期なので、この時期の栄養状態が、いろんなことを左右する可能性は高い。

 

  • とりあえず、妊娠中は、必要なエネルギーや栄養素を十分に確保しつつ、添加糖の摂りすぎを避ける。乳幼児期は、甘い飲み物や砂糖を多く含む加工食品を日常的に与えすぎない、ぐらいのことは意識してもよさそう。

 

って感じで、従来の栄養指針に沿った対応が基本になるでしょうな。個人的には、今回の研究では「食生活の影響は、われわれが思っているよりも長く残るのかもなー」と思わせる点が興味深かったですねー。今回の研究を見る限り、人生の最初の数年間に経験した食環境が、60年以上たってからの脳の状態と結びついている可能性がありますんで。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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