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スーパー糖質制限の落とし穴その3「ハイテンションからのうつ状態」

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ここんとこ「スーパー糖質制限の落とし穴()(」について何度か書いてきたところ、「糖質制限を始めたら落ち込みやすくなったんですが…」とのメールをいただきましたので、続けて考えてみたいと思います。

 ハイテンション→うつ状態が出たら注意

「糖質制限でダルくなった!」とか「糖質制限で気分が沈んだ!」ってのはよく聞く話で、多くは、

  • 急に糖質が少なくなって脳がびっくりしてるから(1)
  • 単純に摂取カロリーが少なすぎるから(2)


といった説明がなされているようです。これはこれで正しい意見だとは思うものの、意外と見過ごされがちなのが、「いったん糖質制限でテンションがあがったのに、しばらくして急激に精神のバランスを崩し始める」ってパターン。この状態は、上の話だけじゃ説明がつかないんですよね。


これは、まさに私自身が味わった体験でして、スーパー糖質制限を始めたとたんに疲れを感じにくくなったうえに、日中の眠気も消えて仕事もバリバリに。さらには腰痛もやわらいで、通年性アレルギーの症状も軽くなったんですね。


が、「糖質制限すごい!」と思ったのもつかの間、半年ほどして急激な疲れに襲われ出して、アレルギーの症状も復活。腰痛に関しては以前よりもヒドくなっちゃったんですな。

ホルモン切れに気をつけよう!

当初はワケがわからなかったんですが、いろいろと調べてたどりついたのがカテコールアミンの問題であります。これは副腎が作るホルモンでして、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンの総称。いわゆる「テンションを上げてくれるホルモン」なんですが、これは糖質制限によって分泌量がアップする性質があるんですね(3)。


カテコールアミンが増えると、体はガンガン代謝がよくなっていきまして、同時に注意力や認知機能も上がっていきます。「糖質制限を始めたら頭がスッキリした!」って体験談はよく聞きますけども、これは単に血糖値が安定したからではなく、ハイテンション系のホルモンが関わってる可能性が高いわけですね。


で、これが永遠に続けばなんの問題もないわけですが、もちろんそんな上手い話はありません。何ヶ月もテンションが高い状態が続くうちに、体には耐性がついてきまして、どんどんカテコールアミンの効きが弱くなってきちゃう(4)。


さらに、ほどなく副腎のほうも疲れ始めまして、今度はホルモンの分泌がどんどん少なくなっていきます。つまり、

  1. スーパー糖質制限でハイテンションホルモンが出る
  2. そのうちハイテンションホルモンが効きにくい体になる
  3. ハイテンションホルモンが出なくなる
  4. うつ状態!


って感じです。麻薬やアルコール中毒の方が禁断症状を起こすケースにも似てますね。ちなみに、この問題はエクササイズのしすぎでも起きることが知られてまして、以前に「運動のしすぎ+糖質制限は超体に悪いのでご注意ください」で紹介した話とも関係しております。

まとめ

そんなわけで、今日はスーパー糖質制限とメンタルバランスのお話でした。上のような状態になったときは、安全な範囲まで炭水化物を増やしてみるか、「疲れが抜けないと思ったら『副腎疲労症候群』を疑ったほうがいいかも」で紹介した対策を取ったほうがいいかと思います。お大事に!

credit: canonsnapper via FindCC


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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