「嫌われたくないから黙る」が逆効果になる理由を調べた研究の話
「人とうまく話せないから、とりあえず余計なことは言わないでおこう……」みたいに思うことは、誰にでもあるでしょう。特に私のような陰キャは、
- 変なことを言って嫌われたくない
- 自分の話なんかしても仕方ない
- なるべく無難に振る舞ったほうがいい
と考えて、会話の中で自分のことを話さなくなりがちですからね。
しかし、新しい研究(R)では、「少し自分のことを話したほうが、相手から好かれるぞ!」って結論になってまして、「やっぱそうですよねぇ」とか思ったわけです。
研究チームが注目したのは、このブログではおなじみ「自己開示」であります。自己開示ってのは、自分の考え、感情、過去の経験、将来の予定などを相手に話すことでして、「休日は映画を見てます」ぐらいの軽い話から、「昔こんな失敗をして落ち込んだ」みたいな話までを含んでおります。
で、一般的に、社会不安が強い人ってのは、「変に思われたくない!」という気持ちが強いせいで、この自己開示を減らしやすいんですよ。これは本人としては「嫌われないための防御」なんだけど、相手からすると、
- 「自分に興味がないのかな?」
- 「なんか距離を置かれてる?」
と受け取られやすいんですよね。目を合わせない、黙る、集団から少し離れる、みたいなのも「陰キャあるある」ですが、これらの行動もすべて似たような理由で起きてますな。
そこで研究チームは、136人の参加者に、4人の大学生を評価するように指示。4人のうち2人は社会不安の診断があり、残り2人にはなかったそうな。
でもって、参加者には順番に、
- 顔写真だけを見る
- 名前や年齢、趣味などの一般的な情報を話す動画を見る
- 学校時代の楽しかった思い出を話す動画を見る
- 学校時代の悲しかった経験を話す動画を見る
という感じで情報を増やしていき、そのたびに「この人をどれぐらい好きか」や「今後この人と関わりたいか」を評価してもらったんですな。
でもって、その結果がどうだったかと言いますと、
- 個人的な体験を話した時のほうが、好感度が上がった!
- 写真だけを見たときよりも、楽しかった思い出を語ったあとのほうが好感度がアップした
- 悲しかった経験のような少し弱い部分を見せた場合にも、「この人と今後関わってみたい」という評価が高まった
って感じだったそうです。やっぱり、ちょっと踏み込んだ話をしたほうが親しみはわくってことで、しかもこの傾向は、社会不安がある人でも、ない人でも同じだったんだそうな。
これはなかなか重要な知見でして、人付き合いが苦手な人ってのは、つい「コミュ力が低いから好かれない!」みたいに考えがちじゃないですか。しかし、実際には、問題の一部はもっと単純で、
- 嫌われないように自分を隠しすぎた結果、相手に人柄が伝わっていない!
ってのが大きいんでしょうな。私も、陰キャすぎて黙りこくってたら、周囲から「なんてスカしたやつだ!」と思われたことが何度もあります。
といっても、もちろん「陰キャは重い秘密を全部ぶちまけよう!」みたいな話ではないので注意であります。この研究は、録画された動画をオンラインで評価する形式なので、リアルな会話とはかなり違いますし、登場人物も4人しかいませんからね。
なので、この結果だけをもって「自己開示すれば誰にでも好かれる!」とは言えないんだけど、とはいえ人付き合いが苦手な人にとっては、良いヒントにはなりそうであります。まぁ、普通に考えてみれば、たいていの人は情報がほとんどない相手と距離を縮めようとはしませんからねぇ。陰キャが嫌われないように自分を隠しまくった結果として、逆に「なんか感じ悪い人だな」と思われてしまうようなケースは容易に想像がつくでしょう。その意味で、人付き合いが苦手な人は、他人に好かれようとして会話術を磨くよりも、まずは「自分のことを少し話せているか?」をチェックしてみるのもアリでしょうね。
ってことで、今回の研究を見て「自己開示をやってみようかなー」と思った人は、とりあえず「会話に自分の情報を1個だけ足す」ってポイントを守ってみるといいんじゃないでしょうか。
たとえば、
- 「映画が好きです」と言いたいのであれば、それだけで終わらせずに、「映画が好きで、最近は昔のホラーを見直してます」まで言ってみる。
- 「旅行に行きました」と言いたいのであれば、それだけで終わらせずに、「旅行に行ったんですけど、予定を詰め込みすぎて途中からヘトヘトでした」まで足してみる。
みたいな感じであります。これだけでも、相手には少しだけこちらがどういう人間なのかを知らせることができますんで。人付き合いが苦手な人ほど、このぐらいの小さなところから試してみていただければ。



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