ケイ素が美容に効きまくるって本当?
ケイ素は万病の薬?
ケイ素に関するご質問をいただきました。
suzuki様はシリカ(ケイ素)のアンチエイジング作用についてどうお思いでしょううか?(質問の仕方がおかしいですが…)
メディアでは万病の薬のように取り扱われていますが、確かな文献が見つからず…
とのこと。確かに、ここ数年でケイ素をほめまくる記事をよく見かけますねー。具体的には、以下のNAVERまとめなんかが代表例かと思います。
ケイ素は、おもに水分にふくまれるミネラル。近ごろは「美肌に効く!」とか「老化を防ぐ!」などと言われております。
ケイ素が多い水を飲む人は長寿
ケイ素が注目されるようになったのは2000年代の半ばごろで、ケイ素の量が多い水を飲んでいる人たちは長寿が多い(パキスタン人とか)って調査結果がチラホラ出てきたんですね(1)。
ほかにも、ケイ素が多い水を飲んだ高齢者は、アルミニウムの悪影響を受けにくいってデータもあったりとか(2)。これだけ見ると、なんとなく「ケイ素はアンチエイジングに効きそうだなー」という気もしてくるわけです。
ケイ素の効果は「効いたらいいなぁ…」レベル
が、これらのデータはあくまで観察研究がメイン。実際の実験データはどうかといえば、これがビックリするぐらい量が少なかったりします。たとえば、「ケイ素が美肌にいいかどうか?」って問題については、
- 動物細胞にシリコンサプリを使ったら、光老化のダメージが軽くなった。これは活性酸素を除去する効果によるものなので、たぶん人間の肌にも効くといいなぁ…(3)
- ヒトの肌細胞にシリコンサプリを使ったら、抗酸化の作用が認められた。だから、人間にも美肌効果があるといいなぁ…(4)
ぐらいのレベル。なんとなく抗酸化の効果はありそうですが、なにせヒトを使った実験がないので、いまのところは「効いたらいいなぁ…」ってレベルの話でしかないんですよね。
ケイ素の効果はヒトで確認されていない
それじゃあヒトを対象にした実験があるかというと、これは呼吸器系の健康について調べたものがメインです。具体的には、
- 7人のサイクリストにケイ素を飲んでもらったところ、とくにレースのタイムやパフォーマンスの向上はみられなかった(5)
- 6人のサイクリストにケイ素を飲んでもらったが、とくに疲労や心拍数、心配能力には変化がみられなかった(6)
みたいな感じ。いずれも参加者の数が少ないのでデータの信頼性が低いうえに、どの実験でも「ケイ素は無意味!」って結果が出ちゃってますね。
まとめ
そんなわけで、以上の話をまとめると、
- 美肌やアンチエイジング効果は、あくまでまだ「仮説」の段階
- ヒトを対象にした実験では、ケイ素の効果は出ていない
という2点がポイント。仮説レベルで商品が話題になっちゃったところは、「水素水」と同じですね。
もちろん、ケイ素自体は大事なミネラルですが、いまのところサプリで飲んで効果が出るかといえば、非常に怪しい感じ。普通に食事から摂っていればいいんじゃないでしょうかねぇ。