癌の治療に「代替医療」を選ぶと死亡率が激しくはね上がる、という当たり前だけど怖い話
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癌に代替医療を使うとどれだけヤバいのか
「癌に代替医療を使うと早期死亡率が2.5倍に!」っていう大事な論文(1)が出ておりました。
これはイェール大学の観察研究で、アメリカの癌データベースを使ったもの。ここから281人の癌患者さんを選んで、
- 代替医療による治療を選んだ人
- 一般的な癌治療を選んだ人(手術、抗癌剤、放射線治療、ホルモン療法)
の経過をくらべたんですな。
代替医療を選んだ場合の癌の進行をみた
患者さんを選ぶ基準はこんな感じです。
- まだ癌が転移しておらず、標準の癌治療が有効だと考えられる
- ステージ4の患者さんは緩和ケアしかできないため除外
- 癌の種類は、乳癌、肺癌、大腸癌、前立腺癌など
要するに、まだ癌が治療可能な状態で代替医療を選んだ場合に、その後の進行はどうなるのかをみたわけですね。いまの日本でも、怪しげな代替医療を選んじゃう人は多いので、まことに重要な研究ですなぁ。
ひとつ残念なのが、この論文には「どの代替医療を選んだの?」ってのが書かれてないとこで、「効果が証明されていないもの:専門医ではない個人によって行われる癌療法」と定義されております。アメリカの現状を見ると、おそらくはホメオパシーやハーブ療法、アーユルヴェーダ、ヒーラー系とかかなーと思われますが。
代替医療は癌患者を死に追いやる
で、分析の結果はグラフをどうぞ。点線が「標準医療」を選んでから5年間の生存率で、実線が「代替医療」です。
いやー、見事な差が出てますねー。ハザード比で言いますと、標準医療より代替医療を選んだ場合の早期死亡率は、
- 全体的には2.5倍!
- 乳癌は5.68倍!
- 肺癌は2.17倍!
- 大腸癌は4.57倍!
って感じです。前立腺癌だけ差が出てませんが、これはもともと進行が遅いタイプの癌なので、5年の調査ではさほどの違いに現れないものと考えられております。
まとめ
以上の数値をさらに言い変えれば、
- 標準医療を選んだ患者の5年生存率は78.3%
- 代替医療を選んだ患者の5年生存率は54.7%
といった具合になりまして、あらためて代替医療のヤバさが浮き彫りっすね。まー当然といえば当然の結果ではありますが、いざ我が身に異変が起きれば代替医療にすがりたくなるのも人情ではあります。そこはぐっとこらえて、ぜひ標準医療をお選びください。もちろん、「癌は放置しろ!」みたいなのもナシの方向で。