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今週半ばの小ネタ:友人を助けられる人ほど健康、笑ってる男はモテない説、みんななんとなく他人の顔から性格を見抜け説


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

友人を助けられる人ほど健康なのだ!説

最高の体調」で強調している「友人は健康に良い!」説に、また新たな調査例(R)が出てきたんでチェックしときましょう。

 

 

これはアメリカの中高年1,000人以上を対象にしたもので、

 

  1. みんなに「結婚しているかどうか」「社会的活動にどのくらいの頻度で参加しているか」などの、社会的統合(社会にどれぐらい受け入れられてるか)を質問する

  2. いざというときに頼れる人、頼りになる人がいるかも質問する

  3. 体内の炎症レベルも診断する(インターロイキン-6を調査している。IL-6の値が高いほど、心血管疾患や癌などのリスクが高くなる)

 

って感じで、社会に受け入れられてるレベルと、体内の炎症を照らし合わせたんだそうな。その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • 「自分には頼れる友人がいて、その友人が自分を頼ってくれる」と答えた人は、体内の炎症レベルが低く、健康状態が良かった

 

  • 特に女性ほど友人の影響が大きかった

 

だったそうです。この結果がおもしろいのは、良い人間関係のメリットは相互的だってとこですね。過去の研究では「友人からのサポートがある人ほど健康!」って結論が多かったんですけど、実際には「与えられるだけではなく、与える人も健康である」って可能性があるわけですな。

 

 

事実、このデータでは「友人と助け合えてる人が一番健康だ!」って傾向が出てまして、研究チームはこんなことを言ってます。

 

ポジティブな人間関係の中で、「私は他人により多くサポートできている」と考えられる人ほど、炎症が低下する可能性がある。

 

友人や家族により多くのサポートを提供できているときに、私たちは多くのやりがいを感じ、そのおかげでストレスが解消され、炎症を抑えることができるのかもしれない。

 

参加者の数が少ない研究なので、これだけでは証拠として十分とは言えないんですけど、過去のデータも合わせれば「友人を助けられる人ほど健康!」ってのはありそうな気がしますねー。

 

 

 

笑ってる男はモテない?説

笑顔の写真の男性は評価が低い!」みたいな話(R)が出ておりました。

 

 

これはブリティッシュ・コロンビア大学などの研究で、1,084人の男女を対象に4回ほど実験をしてまして、

 

  1. いろんな男女の顔写真を見て、「どの人が魅力的だと思います?」と尋ねる

  2. その際、写真には男性または女性が、幸せそうな表情(大きく笑う)、誇らしげな表情(あごを上げ、胸を張る)、恥ずかしそうな表情(目を伏せ、頭を下げる)、ニュートラルな表情の4つの表情のいずれかを用意する

  3. 魅力の採点は、1点(魅力的じゃない)〜9点(非常に魅力的)って感じで行う

 

といった感じで実施しております。すると、男女で写真の評価に差が出まして、

 

  • 女性は笑顔の男性を最も低く評価し、恥ずかしそうな男性はそれよりも高く評価された
  • 最も高い評価を受けたのは中性的な表情の男性と、誇らしげな表情の男性だった

 

  • 男性は、笑顔の女性を最も高く評価した
  • 最も評価が低かったのは、誇らしげな表情と中性的な表情の女性だった

 

  • 男女ともに、恥じらいのある表情はそこそこ評価が高かった

 

だそうです。一般には男女とも笑顔が良いとされがちですけど、実際にはそうでもないのかも?ってとこですね。

 

 

ただ、こういう結果が出た理由はよくわかってないんですけど、研究チームの推測としては、

 

男性の場合、満面の笑みは、あまりにも女性的に見えるのかもしれない。

 

女性はジェームス・ディーンや吸血鬼のエドワードのような男に惹かれる傾向がある。自分の欠点に気づいていて、それに苦しめられている男たちだ。

 

とのこと。自分の欠点に苦しむ姿がクジャクの羽根みたいいな効果をもたらすってことですかねぇ……。この考え方が正しい場合は、ただ尊大な表情の写真を使っても無意味って可能性があるのでご注意くださいませ。

 

 

 

まー、この結果はあくまで「写真の魅力」を判断したものですし、マッチョイズムの文化が強いかどうかにも結果は左右されそうな気がするので、日本だとまた違う結果が出そうではありますが。

 

 

 

みんななんとなく他人の顔から性格を見抜けるぞー、説

みんななんとなく他人の顔を見抜けるぞー」みたいなデータ(R)が出ておりました。

 

 

これはバンゴー大学などの研究で、実験デザインは以下のようになります。

 

  1. 77人の学生に500パターンの顔を見て「これは自分の顔に似ている!」と思う顔を選んでもらい、そこから最終的な自画像を作成する

  2. みんなにビッグファイブと自尊心レベルを計測するテストもしてもらい、2つのデータを比べる

  3. ついでに、参加者とは関係ない人にも自画像を見せて、「この人はどんな性格だと思いますか?」と尋ねる

 

要するに「顔の自己評価と性格」を比べて、それをさらに第三者にも評価してもらったわけですね。

 

 

その結果、まずは何がわかったかと言いますと、

 

  • みんな自分の性格を誇張したような顔を自画像として選んでいた

     

だったそうです。たとえば、過去の研究では「外向性が高い人ほど顔が対称的!」みたいな報告があるんですけど、外向性が高い参加者は、実際に対称性がわかりやすいものを自分の自画像として採用してたわけですね。

 

 

さらに、もうひとつ重要な結論としては、

 

  • 第三者が判断した場合も、参加者の自画像から本人の性格をある程度まで見抜くことができた

 

という傾向も確認されてたりします。要するに、みんな「こういう顔の人ってこういう性格なことが多いよなー」ってイメージが無意識下になんとなくあって、しかもそのイメージは割と正しいってことですな。

 

 

残念ながら、この研究では「どういう顔の特徴がどの性格と対応してるのか?」みたいなことまでは書かれてなかったんですけど、「遺伝子やホルモン量は顔立ちと性格の両方に影響を与えるよー」ってのは昔から言われてきたことですからね。みんながなんとなく他人の顔から性格を見抜くことができるのは、不思議じゃないかもですね。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。