本気で肌荒れを治したいなら、コスメの前にまずは「プロバイオティクス」を使うほうがいいかも?
かつては地獄のような肌荒れに悩まされていたワタクシ。生まれつきのアレルギー体質が災いして、季節の変わり目にはいつも口まわりに吹き出物が爆発しておりました。
腸が悪いと肌も悪くなるのは普通の話
が、その後、がんばって腸内環境の修復につとめたところ、まずは肌のカサカサとかゆみが改善。少しずつ毛穴が閉じていき、やがて大人ニキビも出ないようになりました。あらためて「肌荒れを治すならまずは腸から!」と思い知った次第です。
もちろん、これはわたしだけの体験ではなく、ちゃんとデータも多い話。たとえば、
- 113人の酒さ(肌の赤らみ)患者を調べたところ、大半が小腸で悪性のバクテリアが繁殖していた(2008年,1)
- 大腸炎患者の14%、消化管に慢性炎症のある患者の24%に激しい皮膚炎が認められた(2004年,2)
- ニキビ患者の54%は、腸内環境が悪化していた(2001年,3)
などなど。腸が悪いと肌も悪くなるのは、わりと普通の話だったりします。
皮脂を洗い流したり肌の雑菌を退治してもムダ
では、なぜこういった現象が起きるかと言えば、
- 肌のバリアが薄くなる:腸の炎症は肌から分泌される抗菌性のペプチドを減らすので(4)、感染や炎症に弱い肌になっちゃう。肌のバリア機能がダメージを受けちゃうわけですね。
- 炎症性の物質が出る:腸内環境が悪化するとサブスタンスPって物質が出まして、こいつが肌で炎症性のサイトカインを分泌させちゃう(5)。当然、肌にも炎症が起きまして、湿疹や吹き出物の原因になっていくんですね。
- 肌の脂が増加する:腸は肌の脂をコントロールする役割も持ってまして、腸内環境の悪化とともに肌の脂も増えていきます(6)。よぶんな脂が毛穴を広げ、そこに溜まった皮脂が酸化すると、汚い印象の肌になっていっちゃう。また、溜まった皮脂の下でバクテリアが増殖して、これまた吹き出物の原因になったりとか。
といったあたりが代表的なところ。いったん腸をやられたら、がんばって皮脂を洗い流したり、チマチマと雑菌を退治したり、肌に水分を補給しても意味がないことがわかりますねー。
肌対策としての「プロバイオティクス」
そんなわけで、肌荒れや肌のくすみにお悩みの方は、まずは微生物と上手くやっていくのが大事。といっても、不摂生が長いほど腸内環境の改善にも時間がかかりますんで、まずはプロバイオティクスを使うのがおすすめです。
プロバイオティクスと肌治療の歴史は意外と長くて、古くは1960年代から研究例があったりします(7)。なんでも、300名のニキビ患者さんにプロバイオティクスを飲んでもらったところ、80%に効果が認められたそうな。
ほかにも80年代の実験(8)では、肌荒れ患者さんにビフィズス菌と乳酸菌を飲んでもらったら、通常のスキンケアよりも激しく症状が良くなったとか。2010年の実験(9)でも、乳酸菌がニキビをがっつり改善したって報告があったりとか。肌荒れの治療法としては、かなり評価が定まっているんですね。
というわけで、大人ニキビや吹き出物、肌のくすみ、黒ずみ、毛穴の開き、湿疹、乾燥肌などにお悩みなら、高価な化粧水や洗顔料に手を出す前にプロバイオティクスを試したほうが、ムダな投資をせずにすむかと思います。コスメに金を使うのは、その後の話ではないかと。
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