通勤時間は人生を削る!ならば、どうやって対策を取ればいいのか?
ちょっと前に「長時間通勤はいろいろヤバい!」ってコラムを書きまして。
通勤のダメージを受けやすい人と受けにくい人
要は長時間の通勤は激しくメンタルに悪く、ついでに運動不足の原因にもなっちゃうので、
- 通勤時間が長くなるほど
- 給料が低い!
- 睡眠が少ない!
- 肥満が多い!
などの悪影響が出やすいって話であります。
これは、なかなか難しい問題でして、わたしも「日常的な活動量を増やそう!」とか「在宅ワークを選ぼう!」ぐらいの対策しか書いてませんでした。
が、近ごろハーバード・ビジネス・スクールから出たワーキングペーパー(1)では、「通勤のダメージを受けやすい人と受けにくい人がいる!」って結論になっていて、ちょっと参考になりそうであります。
セルフコントロール能力が高い人は通勤でダメージを受けない
これは225名のビジネスマンを対象にした調査で、みんなに性格テストをしたうえで、通勤時間と幸福感の関係をチェックしたんだそうな。その結果は、
- セルフコントロール能力が低いと、長時間通勤のダメージに弱い
- セルフコントロール能力が高いと、長時間通勤のダメージに強い
みたいな感じ。セルフコントロール能力がない人は、通勤時間が長くなるほど仕事の満足感も下がっていき、会社を辞めちゃう確率も激しくアップしたんだそうな。
いっぽうでセルフコントロール能力がある人は、長時間通勤のストレスにあまり影響を受けず、仕事の満足度も高いままだったとか。おもしろいもんですねぇ。
こういった現象が起きる理由について、研究者は「セルフコントロール能力が高い人は、通勤時間を有効に使ってるからじゃない?」との仮説を立てております。つまり、
- セルフコントロールが高い=通勤中に仕事の準備をするなど、ゴールに向かった作業を行う
- セルフコントロールが低い=通勤中に音楽を聞いたりぼーっとしたりと、苦痛から逃げるために時間を使う
みたいな差があるんじゃないか、と。
セルフコントロール能力が低い人はどうすればいいの?
じゃあ、セルフコントロール能力が低い人はどうすりゃいいの?って話ですが、そのあたりも実験が行われております。
実験では、参加者に対して「今日の目標」について考えながらの通勤を指示。具体的には、
- 今日のゴールはなんだ?
- 目標のために必要な作業はなんだ?
- どんなトラブルが起こりそうか?
みたいなことを通勤中に考えてもらったそうな。
すると、6週間後にはハッキリした違いが出まして、目標について考えながら通勤したグループは、1日の疲れが少なく、感情がすり減らず、仕事への満足感が高くなったらしい。もとのセルフコントロール能力が低くても、通勤中の過ごし方を変えるだけでもダメージは減らせるみたいですな。
研究者いわく、
確かに、通勤時間を完全にコントロールするのは不可能だ。しかし、通勤がもたらす体験ならコントロールできる。
通勤は、それ自体がツラい体験なのではない。有効な時間として使えば、体験そのものが変わるのだ。
とのこと。せっかくだから通勤時間を有効に使おう!ってことですな。
そんなわけで、どうせ通勤時間からは逃れられないんだから、せっかくなら今日の目標について考えてみるのが吉。それだけでメンタルが改善するんだから、試さない手はありますまいて。