酒を飲むと本当に人格って変わるの?問題
酒を飲むと本当に人格は変わるのか?
「酒を飲むと人格が変わっちゃって…」みたいな話はよく聞きますが、新しい研究(1)だと「いや、酒に酔った自分こそ真の自分なのだ!」ってな結論が出てておもしろかったです。
これはミズーリ大学の実験で、156人の男女を対象にしたもの。まずは全員にアンケートを行って「酒を飲むと性格がどう変わりますか?」と尋ねたうえで、実際に血中のアルコールレベルが90mgになるまでウォッカを飲んでもらったそうな。
アルコールで基本の性格は変わらない
そのうえで、酔った参加者たちに簡単なゲームを命じて、それぞれのパーソナリティがわかりやすく見えるように調整。さらに、その状態をシラフの第三者に観察させて、酔った参加者がどんな性格だと思ったかを採点してもらったみたい(採点にはビッグファイブを使用)。ありそうでなかった実験ですなぁ。
で、なにがわかったかと言いますと、
- 酒を飲んだ側は、自分のマジメさや協調性が減り、感情が安定したと報告した
- ただし端から見ると、酒を飲んだ人はやや外向性が増したぐらいで、他の要素にはなんにも違いがなかった
みたいな感じ。つまり、酒を飲むと「オレは不マジメで大胆な人間になったぞ!幸せだ!」と思い込みやすいんだけど、実際には元の性格とほとんど変わってないんだ、と。
酔っぱらいの主観と客観にはズレがある
研究者いわく、
酒飲みはアルコールで自分のキャラが変わったと思いがちだが、他人から見れば性格はほぼ変わらない。このアンバランスさは驚くべきものだ。
酒を飲んだ参加者は、ビッグファイブのすべてにおいて「性格が変わった」と報告した。ところが、他人から見て唯一少しだけ変化があったのは「外向性」だけ。その他の要素は、酒を飲もうが飲むまいが同じだった。
とのこと。
酒はもともとの性格を増幅しているだけっぽい
もっとも、いっぽうでは劇的に差が出たところもありまして、
- 他人とやたら群れたがるようになった
- やたら自己主張をしたがるようになった
って行動の変化がハッキリ見られたみたい。ベースの性格は酒を飲んでも変わらないんだけど、アルコールで理性のリミットが外れたぶんだけ、生存本能に忠実な行動を取りやすくなるって感じでしょうか。
ちなみに、2015年の研究だと「酔っぱらいの行動特性は4つのタイプにわけられる」って結果が出てるのもおもしろいところ。今回のデータを合わせてみると、酒はもともと自分が持つ性格の特性を強調しているだけってことなのかもですなぁ。