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成功に大事なのは才能なの?それとも運なの?をシミュレーションしてみたよ!という実験



「マジメな人は成功する!」とか「成長マインドセットが大事だ!」とか、人生の成功にはいろいろな要素が必要だと言われてるわけですが、なんだかんだで大事なのが「運」。どれだけ才能があっても幸運に恵まれないと、成功などおぼつかないのは当然でありましょう。そもそも才能を持って生まれるかどうかも運ですしね。


といったところで、新しい論文(1)は「成功に大事のなのは才能なの?それとも運なの?」って問題を調べていておもしろいです。もちろん努力は大事なんだろうけど、そこには幸運がどれぐらい関わってるのか、と。




これはコーネル大学の研究なんですが、実際にヒトを使ったわけじゃなくて、コンピューターモデルを採用しております。ざっくり言うと、まずは架空のエージェントを1000体作って、それぞれに知性やソーシャルスキル、モチベーション、決断力、創造性、感情知性などの数値を設定。実世界の「才能」をシミュレートしたんですな。


で、すべてのエージェントには人間の40年分にあたる時間を過ごしてもらったんですが、この時に6ヶ月おきに何らかのラッキーな出来事かアンラッキーな出来事が起きるようにセット。ラッキーなイベントに遭遇したエージェントは成功の確率が「才能」の割当量に応じて倍増するのに対して、アンラッキーに遭遇した場合は成功率が半分になるというルールにしたみたい。これで実世界の成功がどこまで正確に予想されるかは判断が難しいんですが、おもしろい実験ですよねぇ。


それで結果がどうだったかと言いますと、

  • たった20人のエージェントが、「成功」の総量の44%を独占していた

  • 全体の50%のエージェントは、「成功」度が初期レベルのままだった

ってことで、少数の者が富を独占するという現実世界と同じような状況になってたらしい(現実の富の偏りはもっと激しいですが)、


さらに、才能と成功の関係で言いますと、

  • もっとも才能がある奴がもっとも成功するわけではないし、その逆もまた然り

  • ただし、才能が少なくとも平均値にはいないと、ほぼ成功することはない

みたいな感じです。もちろん才能は重要なんだけど、そこから莫大な成功につながるかはかなり幸運の要素が大きいのではないか、と。


研究者いわく、

成功した者のほとんどが幸運に恵まれていたのは明白だ。そして、さほど成功しなかった者が不運だったのも明白だ。

人生の成功にいくばくかの才能が必要だったとしても、才能に満ち溢れた者が最高の成功を手にするわけではない。(中略)私たちは時にランダムネスが成功にもたらす影響を忘れ、本当に有能な人にふさわしい栄誉を与えないことがある。

とのこと。成功のかなりの側面は偶然が左右してるのに、人間は「あの人は有能だからうまくいったんだなぁ」と思っちゃう傾向があるってことですな。


まぁそうは言っても、いっぽうでは良いランダムネスをつかむのも才能のひとつですし、後から幸運度をあげることもできますんで、才能の有無にかかわらず善処はしといた方がいいような気はいたしますね。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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