スマホを使いすぎると脳が縮むかもだ!という過去最大級のレポートが出てた話
スマホとかPCって脳に良くないんじゃないの?って議論は昔からあって、
みたいな話もチラホラ出てきてるわけです。もちろん個人的には「使い方の問題がデカいっしょ」とは思うものの、従来のメディアにくらべてデジタルの没入度が高いのは間違いないんで、違いが出やすいのだろうなーって気もするんですな。
ってところで、新しいデータ(1)は「やっぱスマホとかって脳によくないんじゃない?」みたいな話になっておりました。
これはアメリカ国立衛生研究所のリサーチで、9〜10歳の子どもを対象にした観察研究になってます。似たような調査は過去にもあったんですけど、今回のはABCD研究っていう「若者の脳の発達に影響をあたえるものを片っ端から調べるぞ!」って問題に特化したデータセットを使ってるのがキモ。たとえば、
- 栄養、睡眠、運動量は脳の発達にどれぐらい影響するの?
- 若いころにアルコールとかに手をだすと脳はどうなる?
- スポーツでケガしたら発達に違いは出るの?
みたいなところを幅広くカバーしてるんですな。なので、今後はABCDのデータを使った論文がガンガン出てくるんじゃないでしょうか。
そんなわけで、今回のは「スマホと脳発達」系の研究としては過去最大クラス。現時点ではかなりいい感じのデータなのだとお考えください。
で、まずは大きな結論から言いますと、
- 1日に7時間以上スマホやPCの画面を見てる子どもは大脳皮質が小さい!
のようになっております。
大脳皮質は脳の3分の2をカバーしていて、おおまかに「実行機能」って働きをつかさどってるエリア。「実行機能」は脳が決断を下すときに使う能力で、「1ヶ月で痩せるぞ!」とか「ムカついたがここは我慢だ!」とか「今日は会社帰りに牛乳を買わないと…」みたいなときに必須であります。つまり、効率よく毎日を暮らすためには必須の機能なんですな。
なので、大脳皮質が小さいってのはかなりヤバいです。事実、サブ分析の結果を見てますと、
- 大脳皮質が小さな子どもは結晶性知能が低い!
なんて相関も出てまして、これまた心配になってしまうところではあります。結晶性知性は「過去の経験をベースにした頭の良さ」のことで、たとえばボキャブラリーの多さとか専門性が高い知識とかが代表的な例っすね。うーん、恐ろしい。
ただこいつは横断研究なんで、ホントにスマホばっか見てると脳が縮むのかどうかはよくわからんです。データ収集が始まったのが2016年なんで、もうちょいしたら良いフォローアップが出るんじゃないかと。
あと、もちろん「スマホで勉強してる子」と「スマホでゲームをやってる子」では反応も違うでしょうから、そこらへんも今後の課題ということで。とりあえず今できそうなのは、
- 大人も子どももスマホの時間は減らした方がいいかもね!
といったところでしょう。どうぞよしなに。