【質問】マッサージガンって買う意味ありますか？
こんなご質問をいただきました。
マッサージガンって買う意味ありますか？筋肉痛に良いと聞くので、買ってみるかどうか迷ってます。
マッサージガンってのは、筋肉を振動させるように設計されたハンディタイプの電動マッサージ器具のこと。銃みたいな見た目をした商品が多いので、こんな名前になっております。「セラガン」とか「ドクターエア」とかが有名で、実は私も↓のようなセラガンプロを持っていたりします。実際に使ってみると、割と気持ちよくて良き。
というと、「自分で買って使っているなら、鈴木はマッサージガンを認めているのだろう」と思うでしょうが、実際には「効果のほどはよくわからん！」としか言えない感じだったりします。それもそのはずで、マッサージガンってのは割と新しい商品なので、ちゃんと効果を調べた研究がまだないんですよ。
そのため、マッサージガンの効能については「よくわからん」としか言いようがないため、「マッサージガンの効果」ではなく「振動は体に良いのか？」を調べた研究を参照するしかない感じであります。マッサージガンの研究はないんだけど、人体を細かく振動させることで何らかのメリットを得られるのかどうかの調査はいくつかあるんですよね。
で、振動療法に関するデータを、すごーくざっくり紹介しておくと、
- 激しいワークアウトの後に振動療法を行うと、凝り固まった筋肉への血流が増加し、緊張を和らげるのに役立つ可能性がある(R)。振動療法が遅発性筋肉痛（きつい運動の1日か2日後に感じる痛み）を抑えるという点で、マッサージ療法と同じ効果があるということです。
- ワークアウトの後、筋膜組織（体の筋肉や関節を支える結合組織と筋肉）には、トリガーポイントが発生することが多い(筋肉の中に小さな結び目ができているように感じる部分があれば、それがトリガーポイントかもしれない) 。トリガーポイントは、痛みを伴うだけでなく、可動域を制限し、怪我のリスクを高める(R)。ここで振動療法を使うと、トリガーポイントが解放され、痛む部分に血液を呼び込むことができると思われる。
- パフォーマンス関連の研究(R,R)を見てみると、振動療法の結果はまちまちで、なんとも言いづらい気がする。ただし、可動域と柔軟性の改善には効果的かもしれず、筋群あたり2分間のマッサージガンを使うことで、意味がある効果を得られるかもしれない。
- 筋力の向上については、振動療法は効果がないと思われる。爆発的な活動（CMJまたはDJ）において、研究では運動能力の向上はみられなかった(R)。実際、ある研究では、アキレス腱に20Hzのマッサージガンを1分間使用した後は、ジャンプの高さが減少したと報告されている(R)。これは、振動療法のせいで筋肉が短期的に柔らかくなったためだと思われる。
- 疲労の回復については、振動療法はそんなにたいした結果が出ない感じ。ある研究(R)では、100m水上レスキューの後、主観的な疲れや乳酸濃度において、振動療法を行ったグループには統計的に有意な差は見られなかった。ただし、生データだといちおう振動療法に有利な差が出ているので、マッサージガンは短期的な回復には有効なのかもしれない。
といった感じになります。全体的には「まぁ劇的な効果は認められてないけど、運動の後に使ってみるぐらいなら良いのでは？」って印象じゃないでしょうか。あとはコストとの兼ね合いで決めてもらうしかなくて、「これなら普通にマッサージするよ！」って判断もありだし、「そこまで目立った効果がないものに数万円も出せないよ！」って判断もありでしょう。
まぁ個人的には、試す価値はあると思っていて、マッサージガンの振動は肉体への血流を改善し、酸素の供給量をアップさせて、筋肉の機能全体の改善につながってもおかしくはないよなーと思っております。とりあえず、マッサージガンの購入を考えても良い人ってのは、
- 筋トレの後で遅発性筋肉痛（DOMS）がめっちゃ起きる人は、損傷した筋肉組織への血流を増加させるためにマッサージガンを使ってみても良いかも。血液が筋肉に供給される量が増えると、炎症が軽減され、筋肉痛が減る確率もアップしますんで。
- マッサージガンは、可動域を広げるのに役立つと思われる。短期的な可動域、柔軟性、運動後の回復の質を向上させるのに役立つ可能性はあるので、そこに価値を感じるならマッサージガンを買うのはアリ。
って感じになるんじゃないでしょうか。ちなみに、私の場合はたんに気持ちが良いので定期的に使ってるだけです。あくまで主観的な感覚ですね。
話をまとめると、マッサージガンの効果に関する研究はまだ少ないものの、それなりに見込みはある感じであります。 マッサージガンに興味があるなら、まずは友人から借りるか、低価格の商品を買ってみるところから始めて見てくださいませ。
