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友達が増えても孤独が消えない人の共通点とは?の研究

   

 

ここ数年、「孤独」がちょっとした社会問題みたいになってますな。このブログでも、過去に「孤独が早死にを引き起こす6つの理由」「自分の「孤独感」がどこまでヤバいのかを診断する4つの質問」みたいな話を取り上げてまいりました。

 

で、新たにメリーランド大学が発表した研究(R)も孤独にまつわる内容で、「なぜ孤独はなかなか改善しないのか?」 って問題を掘り下げてくれております。これがなかなか示唆に富む内容なので、ぜひ内容をチェックしておきましょう。

 

 

 

そもそも「慢性的な孤独」とは何か?

まず前提から言っておくと、ここで言う「孤独」ってのは、単に「ひとりでいる状態」ではなく、「社会的なつながりが不足していると感じる主観的な体験」を意味しております。たとえば、

 

  • 友人はいるけど、本音を話せない
  • パートナーはいるけど、満たされない
  • 人と会っても、どこか距離を感じる

 

みたいなのが典型例で、こういった状態が続いた結果として、私たちの脳は「つながりがない!」と判断するんですな。

 

こういった感覚は、メンタルや身体をガッツリ悪化させることがわかってまして、過去の研究によれば、慢性的な孤独は、うつ症状の増加、不安の増大、睡眠の質の低下、痛みの増幅、免疫力の低下などを引き起こす原因になったりします。そのため、いま世界中で孤独を「公衆衛生の問題だ!」とする機運が高まってるわけです。

 

 

孤独な人は「世界をどう見ているか?」

その点で、今回の研究が面白いのは、「孤独な人は世界をどう見ているか?」ってところに注目したところです。研究チームは236組のカップルを対象に、「世界に対してどう思っているか?」と「孤独感の強さ?」を調べ、これをみんなの自尊心、不安・抑うつ傾向、コミュニケーションの質などと比較したんだそうな。

 

その結果なにがわかったかと言いますと、慢性的に孤独を感じている人ほど、世界を次のように見ている傾向があったんだそうな。

 

  • 世界は危険だ!

  • 世界は冷たい!

  • 世界は退屈で意味がない!

  • 世界は探求する価値がない!

  • 世界は報われない!

 

なんだかダークな世界観ですが、研究者いわく「孤独な人は世界を『脅威に満ち、報酬のない、意味の乏しい場所』として知覚しやすい。これを専門用語で「プライマル・ワールドビリーフ(根源的世界信念)」と呼ぶ」と言っておられます。

 

これがどういうメカニズムで孤独の悪化につながっているのかと言いますと、

 

  1. 孤独を感じる →
  2. 心が“自己防衛モード”に入り、「どうせ傷つくぐらいなら近づかないほうがいい!」という気持ちになる →
  3. 他人を警戒しはじめ、交流を避けるようになる →
  4. コミュニケーションが減り、ポジティブな体験が減る →
  5. 「やっぱり世界は冷たい!」と確信するようになる→
  6. 1にもどる

 

みたいなループが生まれるからであります。孤独を感じる人は、「どうせ嫌われる」と思って他人の誘いを断るようになり、これによって「人は信用できない」みたいな感覚をひたすらこじらせていくわけですな。つまり、孤独の痛みを防ごうとするせいで、逆に孤独がブーストしちゃう、って話であります。

 

 

 

自分がどんな世界観を持っているかチェックしてみよう!

では、ここで自分がどんな世界観を持っているのかを、簡単にセルフチェックしてみましょう。以下の文章を読んで、「どれに共感できるか?」を考えてみてくださいませ。

 

ネガティブ寄りの世界観

  • 危険はそこら中に潜んでいる
  • 人生は退屈だ
  • 世界は不公平だ
  • 努力しても無駄だ
  • 人生は意味がない
  • 世界は私を必要としていない

ポジティブ寄りの世界観

  • 世界には学ぶ価値がある
  • 人生は美しさに満ちている
  • 努力すれば大きく改善できる
  • 人生は痛みより喜びが多い
  • 出来事には意味がある

 

当然ながら、共感できる文章の数が多いほうが、あなたの世界観になります。まぁこれは「どっちの世界観が正しいか」みたいな話ではなく、大事なのは「その信念が、自分の行動をどう変えているか? 」に気づくことなので、そこだけご注意いただけると幸いであります。

 

 

 

孤独な世界観をどうにかする方法

では、孤独の問題をどうすればいいのかってことですが、研究チームが示唆しているのは以下の2つであります。

 

 

1. 認知行動療法(CBT)

CBT(認知行動療法)は、自動思考を特定する、思い込みを検証する、別の解釈を試す、というアプローチで、ネガティブな信念を修正していく手法であります。「世界は危険だ!」みたいな信念に対して、

 

  • 本当に“常に”危険なのか?
  • 例外はないのか?
  • 逆の証拠はないか?

 

と問い直すわけですね。ここらへんの実践例については、「認知行動療法実践ガイド」をご覧ください。

 

 

2. 小さなポジティブ体験を積む

小さなポジティブ体験ってのは、誰かに話を聞いてもらう、小さな成功を共有する、励ましを受け取る、といった体験を意味しております。慢性的に孤独を感じている状態だと、ポジティブな体験をするハードルが高くなるんで、最初は「脳が抵抗できないくらい小さなポジティブ」をコツコツと積むほうが有効でしょう。

 

小さなポジティブってのは、たとえば、こんなレベルで十分です。

 

  • コンビニの店員さんに目を見て「ありがとうございます」と言う
  • 同僚の雑談に一言だけ参加する
  • SNSで共感した投稿に短いコメントを残す
  • 友人に「最近どう?」と短いメッセージを送る
  • オンラインの趣味コミュニティを“見るだけ”参加する

 

これを地道にやってくと、ちょっとずつ悲観的な世界観が塗り替えられて、結果として孤独もやわらぐはずですんで。

 

で、ここまで読んで、「でも自分は本当に友達が少ないんだ!」と思われる方もいるかもですが、実際には物理的な友人の数よりも「自分が世界をどう見ているか?」のほうが大事だったりしますんで、そこを念頭に置いとくと対策しやすいかもですな。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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