マッチングアプリで魅力を伝えるなら「平均点」を狙ってはいけないぞ!という研究の話
恋愛の世界では、「なぜか、この人のことが気になる……」みたいなことがありますな。顔が好みだったり、話が合ったり、仕事ができたりと、相手を好きになる理由はいろいろありましょうが、実際のところ、私たちの脳がどうやって「この人はアリ」「この人はナシ」を判断しているのかは、よくわからないわけです。
ということで、新しい研究(R)では、
- 恋愛相手を選ぶとき、私たちはどのように意思決定をしているのか?
って問題を調べてくれてていい感じでした。
ここで研究チームが調べたのは、「心理的価値理論(Psychological Value Theory)」と呼ばれるモデルであります。
これは簡単に言えば、私たちが何らかの選択をする時には、それぞれが自分にとってどれぐらい価値があるかを脳内で計算し、価値が高いほうを選ぶのだ、という考え方です。たとえば、私たちが新しいパソコンを買うときには、
- 性能が高い
- 価格が安い
- デザインがいい
- 重すぎる
といった複数のポイントを評価して、最終的に「これを買おう!」と決めるじゃないですか。研究チームは、あなたが恋愛相手を選ぶときにも、これと同じ計算が行われているのではないか?と考えたんですよ。
実験では、参加者に架空の恋愛相手のプロフィールを見せ、「どちらを恋人候補として選ぶか?」を判断するように指示。この時に、最初の実験では、相手の特徴をひとつだけ提示してまして、たとえば、
- ユーモアがある
- 収入が高い
- 知性がある
- 思いやりがある
といった情報を比べて、それぞれの特徴がどれぐらい魅力に影響するのかを調べたんだそうな。
また、続く2つめの実験では、複数の特徴を持つ相手を比べさせてまして、たとえば、
- 「親切だけど、あまり社交的ではない」
- 「知的でユーモアもあるが、信頼性は低い」
といった具合に、プラスとマイナスの特徴が混ざったプロフィールを見せたわけです。その上で研究チームは、参加者がどちらを選ぶかだけでなく、決断までに何秒かかったかも測定して、モデルが選択と反応時間をどこまで予測できるかをチェックしております。おもろい研究ですなぁ。
で、その結果がどうだったかと言いますと、
- 心理的価値理論のモデルは、参加者が選んだ相手と、判断にかかった時間の両方を高い精度で予測した(実験で見られた行動の違いのうち、85%以上を説明できた)。つまり、「恋愛相手を選ぶ!」という判断も、かなりの部分は一般的な意思決定モデルで説明できる。
- 従来は、私たちは相手の長所と短所をすべて足し合わせて、総合点を出していると考えられてきた。たとえば、「思いやり プラス8点」「知性 プラス6点」「ユーモア プラス5点」みたいな感じで、すべてを合計して相手の魅力を判断するイメージである。
ところが、今回の研究では、単純な足し算とは少し違う結果が出た。参加者は複数の特徴を「偏りのある平均」でまとめており、なかでも最も魅力的な特徴が、全体の評価に強く影響していることがわかった。
だったそうな。個人的に面白かったのは後者で、この結果をもうちょい簡単に表現してみると、
- 多くの人は、「すべての長所が平均的に優れている人」よりも、「他は普通だけど、ひとつだけ飛び抜けて魅力的な特徴がある人」のほうを、強く評価する傾向があった。
みたいな話です。たとえば、あなたが「自分の理想の条件に当てはまるとこが少ないなー」って人と出会ったとしても、もしその相手が、
- とにかく話がおもしろい
- 異常なほど誠実
- ものすごく知的
- 圧倒的に見た目が好み
- 一緒にいると安心できる
といった突出した特徴をひとつ持っていたら、その他の特徴がそこまでじゃなくても、全体の魅力が引き上げられる可能性があるってことですな。私たちは相手のスペックを平等に採点しているわけではなく、「自分にとって最も刺さった一点」に強く引っぱられがちなのかもっすね。
そう考えると、今回の結果は、マッチングアプリのプロフィール作りにも応用できるかもしれません。というのも、プロフィールを作るとき、多くの人は欠点をなくして、全項目を無難に整えようとするじゃないですか。
しかし、この研究の結果を踏まえるなら、平均点を上げるよりも「この人には、他の人にはない魅力がある!」と思わせる特徴を明確にしたほうが有利かもしれません。たとえば、「料理だけは異様にうまい」とか「動物への接し方が異様にうまい」みたいな感じでしょうか。
もちろん、無理に変わった人を演じる必要はなし。重要なのは、自分の特徴をすべて薄く並べるのではなく、「自分の魅力が最も伝わる部分」を具体的に示すことであります。
まぁ、無難な情報をいくら並べたところで、インパクトはないでしょうからね。それよりも、「ホラー映画を年間100本見ている」「休日は保護犬の世話をしている」など、行動が想像できる形にしたほうが、魅力の突出点が伝わりやすいんじゃないかと(それで失敗したとしても責任は取りませんが)。
もっとも、今回の実験は架空のプロフィールを使ったものでして、実際の人物と会話したわけじゃないところはご注意ください。現実の恋愛では、ほかにも「声や表情」「会話のテンポ」「周囲の人間関係」みたいに、大量の情報が判断に影響しますからねぇ。
なので、今回の研究は、あくまで恋愛のごく初期にプロフィール情報から候補者を選ぶ場面では、一般的な価値判断のモデルがかなり役立つかも?ぐらいに捉えておくといいでしょう。いずれにせよ、
- 人は相手の長所と短所を単純に合計しているわけではない
- 最も魅力的な特徴が、全体の印象を大きく左右する
ってポイントはおもしろいところなんで、頭に入れておくと役立つんじゃないでしょうか。恋愛相手を探す際も、自分を魅力的に見せたい際も、すべてをダラダラ並べるんじゃなくて、
- 「自分にとって、相手の何が最も重要なのか?」
- 「自分のどんな特徴が、誰かに強く刺さりそうか?」
を考えたほうが有益なんじゃないかと。



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