スマホで脳腫瘍の発症率が4倍以上に!ってどこまで本当?
スマホで脳腫瘍の発症率が4倍に?
近ごろ 「スマホで脳腫瘍にはならない!」って大規模なデータ(1)が出たんですよ。
当ブログを読んでくださってるような方であれば、よもや「スマホが脳腫瘍の原因に!」なんて噂を真に受けてしまうケースは少ないかと思いますが、検索したら「発症率は4倍以上!?悪夢!スマホで脳腫瘍」みたいな記事が2014年にも出たようなんで、いちおう書いておこうかと。
これはシドニー大学の研究者らが行った調査で、まずは各キャリアから1987年〜2014年までのオーストラリア人の携帯電話の使用データを入手。続いて、同じ期間のあいだに脳腫瘍にかかった男女およそ35,000人ぶんのデータと付きあわせて、統計処理したんですね。
その結果は、
およそ30年分のデータを使って数100万人の携帯電話の使用状況を調べたが、いかなる年齢層においても携帯電話が脳腫瘍の発症率をあげたという証拠は出なかった。
とのこと。携帯と脳腫瘍に関する研究はいままでもあったんですが、今回のは過去最大級でして、かなり信頼度は高くなっております。
スマホの脳腫瘍リスクはピクルスと同じぐらい
「じゃあスマホで脳腫瘍の発症率が4倍以上って記事はウソなの?」と言いたくなりますが、実はこれも事実だったりします。この話のネタ元はスウェーデンで行われた調査(2)で、携帯の使用量が多い人は、少ない人にくらべて25年後に脳腫瘍を発症する確率が3倍以上になったんだそうな。
ただし、ここで大事なのが、研究で指摘されてる「悪性腫瘍」の発症率がものすごく低いところ。具体的には0.005%の確率が25年で0.016%になるぐらいのレベルであります。
これがどれぐらいの危険度かと言いますと、WHO(世界保健機関)のクラス分けによれば(3)、だいたいカフェインやピクルスの発がんリスクと同じぐらい。「発がん率が3倍以上に!」と言われるとビビっちゃいますが、実際はこの程度です。
過去には「電子レンジがヤバい!」なんて話もありましたけど、いまだ電磁波は不安商売の定番ネタだったりするんですなぁ。