なぜ遅刻ばかりする人は、悪気もないのに必ず時間に遅れてしまうのか?
世の中には 「なにごとにも遅刻するタイプの人」がおりますな。
遅刻魔は大らかな性格のせいで時間が正しく見積もれない
とにかく約束事や待ち合わせには必ず遅れてくるんですが、もちろん悪気があるわけではなく、責任感が低いわけでもないというタイプ。わたしは時間をギチギチに守るタイプなんで(約束の30分前に着くケースが多い)、かねてから「あれはどういう現象なんだろうなー」と思っておりました。
といったところで、近ごろチェックした2つの論文(1,2)によれば、
- 遅刻魔はポジティブで創造性が高い!
- 遅刻魔はマルチタスクが大好き!
といった結論になっててちょっとおもしろかったです。
これはどちらもサンディエゴ大学の研究で、ひとつめの論文では、まず参加者のキャラを2つのタイプにわけたんですね。
- タイプA:目的意識が強く情報処理の能力が高い
- タイプB:ポジティブな性格で創造性が豊か
そのうえで、全員に「時計を見ずに感覚だけで1分を計測してください」と頼んだんらそうな。その結果は、
- タイプA:体感で58秒を1分だと思った
- タイプB:体感で77秒を1分だと思った
といった差が出たらしい。どうやらポジティブな人は大らかな性格なので、時間の見積もりも甘くなっちゃうらしい。細かいことを気にしない性格が裏目に出てるわけですな。
遅刻魔は自分を把握する能力が低いが、そのおかげで創造性は高い
で、もうひとつの実験では、181名の鉄道員に調査を行ったところ、
- マルチタスクで作業を行う職員ほど遅刻が多い!
- 遅刻が多い人ほどメタ認知の能力が低い!
って結果だったみたい。「メタ認知」は、ざっくり言うと「自分がいま何をしているかに気づける能力」のこと。自分の行動を客観的に観察できないせいで、遅刻が多くなっちゃうわけですな。
マルチタスクの害については過去に何度か紹介してますけど、多数の作業を同時に行う人ほど時間に追われる感覚が強いってデータもあったりしますからねぇ。やっぱ時間管理とマルチタスクの関係は根深いみたい。
また、2015年には「集中力がないほど創造性が高い!」なんて論文も出てまして、タイプBの人とマルチタスクのつながりにも納得できちゃうところ。要するに、遅刻しがちな人は集中力が低いせいで遅刻しちゃうんだけど、そのおかげで創造性は豊かに暮らせるじゃなかろうか、と。
以上の話をふまえると「遅刻魔を治す薬はない!」って結論になりそうですが、とりあえずの方法としては、
- 長期対策:マインドフル瞑想などでメタ認知を鍛える
- 短期対策:遅刻したときのイメージをリアルに思い浮かべて不安な気分を作る
ってあたりを実践するしかないかも。どうやら遅刻癖は生まれつきの特性なので、意識していかないと修正は難しそうですねー。