自然との触れ合いが大事なのは当然ですが、自然の「加工レベル」も超大事
ヒトの体は自然に囲まれた環境のほうが正常に動いてくれるのは間違いなく、
といったデータがここ数年でも目白押し。「バイオフィリア仮説」に有利な証拠がどんどんそろいつつあります。
で、また新しく出たデータ(1)では、「自然の加工レベルも超大事だ!」って結論になってておもしろいんですよ。
これはカンタベリー大の研究者による実験で、「ブルースペース」の心理効果を調べたもの。ブルースペースは水が豊富な環境のことで、小さな池や川がメンタルにあたえる影響をチェックしたんですね。
調査対象はニュージーランドのウェリントンで暮らす住民たち。全員の住まいの環境とメンタルヘルスを調べたうえで、年齢や収入などの変数を調整したところ、
周囲にブルースペースが多い人ほど心理的な苦悩が少ないという傾向がハッキリと出た。
不思議なことに、緑が多い「グリーンスペース」には同じような傾向が出なかった。
って結果だったらしい。とにかく周囲に水が多くなるほどメンタルは健康で、不安や悩みにも強くなっていくみたい。
グリーンスペースに良い結果が出なかったのは従来のデータと矛盾するようですが、研究者は以下のような解釈をしております。
ブルースペースは自然のままであるケースが多い。いっぽうでグリーンスペースには、天然の森にくわえて運動場や公園のように人工的に作られた場所も多くふくまれる。
おそらく天然の森だけに限定すれば、また結果は変わってくるだろう。
なにせ調査が行われたウェリントンは太平洋に囲まれてるんで、手つかずのブルースペースが多いんですね。そのぶんだけグリーンスペースの成績が悪くなったんじゃないか、と。
そんなわけで、加工食品は栄養が少なくなってしまうように、「加工自然」もメリットが減っちゃう可能性が大。どちらも加工度が少ないほどいいわけですな。
とはいえ、栄養が減ったカット野菜でも食べないよりはマシなのと同じく、デスクの上に小さな観葉植物を置くだけでもメリットはありますんで、少しでも周囲に自然を取り入れておきたいところではあります。