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今週の小ネタ:子どもに家事をさせると頭が良くなる、目が乾いて困る!って人にオメガ3が効く


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

子どもに家事をさせると頭が良くなるかもよー

子どもに「お手伝い」をさせたいときに、「かえって手間が増えるんじゃ……」「まぁ、今は時間ないし、自分でやっちゃったほうが早いか……」みたいに悩むケースはよくありましょう。この点について、最近は「子どもの家事ってどうなの?」を調べた研究がいくつか出てまして、どうやらある程度の"非効率"を乗り越えてでも「お手伝い」をやらせたほうが、子どもの成長には良いっぽい感じなんですよね。

 

ということで、「子どもの家事参加がもたらす心理的・認知的メリット」を示した研究をいくつかチェックしてみましょう。

 

 

1. 家事をする子は成績がいい?──1万人を追跡した研究

まず見ておきたいのが、『発達行動小児学ジャーナル』に掲載された研究(R)。これは、2010〜2011年に幼稚園(年長〜小1くらい)に入学した約1万人の子どもを追跡調査したもので、3年後、つまり3年生になったタイミングで、学力、友人関係、生活満足度などを評価したところ、

 

  • 幼少期に家事を手伝っていた子は、学力、対人関係、生活満足度のすべてにおいて有意にスコアが高かった

 

って結果だったんだそうな。つまり、早い段階で「お手伝い習慣」があると、その後の知能やメンタルにまで良い影響を与えるわけですな。

 

 

2. 家事で「実行機能」が育つ──記憶力と衝動抑制がアップ

さらにもうひとつ、『豪州作業療法ジャーナル』に掲載された研究(R)も面白くて、こちらは5〜13歳の子ども200人以上を対象に、保護者に「家庭内でどんな手伝いをしているか」と「実行機能はどれぐらい優秀か」についてのアンケートを行ったもので、

 

  • 家事をしている子ほど、ワーキングメモリ(作業記憶)と衝動を抑制する力が優れていた
  • 自分の昼食を作る「セルフケア型」の家事でも、家族の食事準備をする「ファミリーケア型」の家事でも同じような効果が見られた

 

とのこと。ようするに、家事の中には「段取りを考える力」や「注意の切り替え」「手順を記憶する力」みたいなスキルが自然に含まれているんで、それを通して実行機能が鍛えられるって理屈ですな。実行機能は、人生をうまくやる上で重要な能力なんで、これが向上するってのは素晴らしいですね。

 

 

3. 病気の子にも効果あり──自己管理能力と医療者との関係性

もひとつ興味深いのが、『作業療法研究ジャーナル』の研究(R)。こちらは慢性疾患を持つ165名の子どもとその保護者を対象にした調査でして、

 

  • 家事の習慣がある子は、病気の自己管理能力(薬の管理や症状の報告など)が高い
  • お医者さんとも上手くコミュニケーションする傾向があった

 

という結果になっております。家事によって日々の小さな責任を果たすことで、「自分の面倒を見る力」が育ち、病気の管理にもつながってくるというわけですな。

 

 

ってことで、家事ってのは非常にメリットが多い営みだと言えそうなわけですが、となると「どうやって家事習慣を身につけさせればいいの?」ってのが気になるところです。このあたりについて心理学の知見を踏まえると、以下のようなポイントが有効そうであります。

 

  1.  とにかく早く始める:2〜3歳でも「おもちゃを片づける」「テーブルを拭く」といった簡単なお手伝いは可能。むしろこの時期のほうが「やりたい!」という内発的動機づけが強いので、チャンスだと言える。

  2.  ルーティン化する:「朝ごはんの後は皿洗い」など、特定の時間に特定の家事を組み込むと、習慣化しやすい。毎度おなじみ「if-then プランニング(○○したら、□□する)」が使える場面といえる。

  3.  完璧を求めない:最初はクオリティが低くてもOKなので、「できたこと」を褒めて、成功体験を積ませたほうが将来の自己効力感につながる。

  4.  指示は具体的に:「部屋を片づけて」よりも「おもちゃはカゴに、服はランドリーボックスに入れてね」のほうが行動に移しやすい。これはコーチングの原則と同じで、曖昧な命令は人を動かさないんで。

 

最近は「非認知能力」の重要性が注目されてますけども、家事はまさにそのトレーニング場になってくれそうっすね。しかも、特別な道具も教材も必要ないし、お金もかからずに、

 

  • 学力アップ
  • 実行機能の向上
  • 自己管理能力の育成

 

みたいなメリットを得られることを考えれば、多少の手間は「未来への投資」と思って、子どもにどんどんお手伝いをさせていくのがよさそうっすね。

 

 

 

目が乾いて困る!って人にオメガ3が効くかもよー

パソコンやスマホを長時間使ったあとに、「あれ?目がゴロゴロするな」とか「何か乾いてる気がする……」と感じたことがある人は多いでしょう。私も50代が近づくにつれて目が乾き気味になってまして、原稿作業が長引くと目の違和感が半端なくなったりして困っております。加齢!

 

そんな折、気になる研究(R)が出まして、「オメガ3脂肪酸をサプリで補うとドライアイが改善するかも」って内容になってました。研究の対象は、白内障手術を受けたあとにドライアイになった人たちで、なかなか本格的なデータになってたんで、ぜひ内容をチェックしておきましょう。

 

これは韓国で行われたランダム化比較試験で、ざっくり言うとこんなデザインでした。

 

  • 参加者:107名(平均67歳)
  • 対象:白内障手術後3ヶ月以内で、ドライアイを持つ人
  • 内容:参加者の半分に1日2,000mgのオメガ3脂肪酸サプリ(再エステル化トリグリセリド型)を飲む。内容はEPA(エイコサペンタエン酸)1,142mg、DHA(ドコサヘキサエン酸)858mg。残りの半分はサプリなし。

 

そのうえで、全員に人工涙液を使ってもらったところ、こんな結果が出たんだそうな。

 

  • オメガ3を飲んだグループは、ティアブレイクアップタイムが改善した → つまり、涙膜が長持ちするようになった
  • ドライアイの自覚症状もより改善した

  • 角膜表面のダメージも減少した

 

ということで、わりとポジティブな結果が出てるんじゃないでしょうか。特に注目したいのは涙膜の安定性が上がったという点でして、というのもドライアイの最大の問題って、まばたきしてもすぐに涙が乾いてしまうことで、これが痛みやゴロゴロ感につながるんですよね。そこがちゃんと改善したのは、かなり実用的なポイントと言えましょう。

 

では、「なぜオメガ3で目の乾きが良くなるのか?」と申しますと、以下の2つが理由だと考えられています。

 

  • 理由1 抗炎症作用:オメガ3脂肪酸には、体内の炎症を抑える働きがあったりします。ドライアイは単なる「水分不足」ではなく、目の表面に慢性的な炎症が起こっている状態なので、そこにオメガ3が作用すると、炎症を抑えて目の環境が改善するんですな。

  • 理由2 涙の油膜を整える:涙は単なる水ではなく、「内側:粘液層」「中間:水分層」「外側:油層(マイボーム腺が分泌)」って3層構造になってるんですが、このなかでも油層が壊れると、涙がすぐ蒸発してドライアイが悪化するんですね。オメガ3は、この油層の主成分であるマイボーム腺の分泌物の質を良くするんで、涙の蒸発を防ぐと思われるわけです。

 

そんなわけで、全体としてオメガ3はドライアイに対してかなり有望だと言えそうであります。ちなみに、過去のメタ分析(R)では、

 

  • オメガ3を飲む期間が長いほど効果はデカい(最大12ヶ月)
  • オメガ3の量が多いほど効果はデカい(最大3,000mg/日)
  • EPA比率が高いサプリのほうが効果が大きい

 

なんて傾向も見られてるので、気になる方はここらへんを参考に使ってみても、良いかもしれませんな。人工涙液だけでは物足りない、慢性的な目の乾きに悩んでいる、スマホやPC作業が多くて目が酷使されているみたいな方は、1日1,500〜2,000mgぐらいのオメガ3(できればEPA高め)を試してみるのはアリでしょう。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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