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体を老化させない最強の料理油はどれだ?問題

Plive

ちょっと前に「まずは油を変えるのが低コストで健康になれる近道」なんて話を書いたところ、「ベストな料理油はどれですか?」みたいなご質問をいただきましたので、ちょっと考えてみたいと思います。

良い料理油に必要な4つの条件
では、まずは「良い料理油」に必要な条件をみてみましょう。とりあえず以下の4ポイントは押さえておきたいところ。

1・PUFAとMUFAが少ない

PUFAは多価不飽和脂肪酸の略で、当ブログではおなじみのオメガ3オメガ6などが代表例。MUFAは一価不飽和脂肪酸の略で、オリーブオイルに豊富なオレイン酸なんかが代表例。どちらも酸化しやすい性質を持っていて、熱ですぐにダメージを受けちゃうんですな(1)。

なので、料理に使う場合はできるだけPUFAとMUFAが少ないのが理想。オリーブオイルが緑のガラス瓶に入ってるのも、酸化を避けるのが目的だったりします。

2・煙点が高い

「煙点」ってのは油から煙が出始める温度のこと。ざっくり言えば、どこまで油が高温に耐えられるかを表しております。


この点については一般的な傾向がありまして、
  • 動物の脂(ラードとか)のほうが熱に強い
  • 未精製より精製油のほうが熱に強い

って感じになってたり(2)。つまり、同じココナッツオイルでも、ヴァージンよりも精製ココナッツオイルのほうが煙点は高いんですね。

3・コレステロールが少ない

コレステロールも酸化が怖い物質のひとつ。 酸化でダメージを受けたコレステロールは、ご存じのとおり血管に張り付く傾向がありまして、体を内部から老化させていくんですよ(3)。


もちろん食品に入っているコレステロールは問題ないものの、料理油に関しては、
  • なにせ高温で使うケースが多い
  • 長時間の熱にさらされる場面が多い

ってシチュエーションが多いので 気にしておくとよし。

4・ボーナス点が多い

ボーナス点ってのは、油にふくまれるビタミンやポリフェノールを意味しております。せっかくだから、オマケで体に良い成分がとれるといいなーぐらいの感じですね。



では、以上をふまえたうえで、メジャーな油の特徴をまとめてみてみましょう。


MUFA(%) PUFA(%) 煙点(精製/未精製) コレステロール(100g) ボーナス点
オリーブオイル 73 11  190℃  0 ポリフェノール豊富
大豆油 23 58 260℃ 1mg 低め
キャノーラ油 64 28 200℃ 0 低め
バター/ギー 26 .03 150/250℃ 210mg 酪酸が豊富
牛脂 34 .03 200℃ 100mg ビタミンK
ラード 45 11 190℃ 100mg ビタミンA・D・K
紅花油 76 13 270/100℃ 0 ビタミンE
ゴマ油 40 46 230℃ 0 ビタミンE
ココナッツオイル 6 2 230/175℃ 1mg ポリフェノール豊富 
パーム核油 42 .1 240℃ 1mg ポリフェノール豊富 
マカダミアナッツ油 80 4 210℃ 1mg ポリフェノール豊富 
アマニ油 19 71 105℃ 0 ビタミン豊富 



 ってことで、これを見てわかるのは「どれも一長一短だなー」ってとこでしょうね。ざっくり言いますと、
  • 動物系の脂肪は熱に強いがコレステロールが多い
  • 精製された植物油は熱に強いがPUFAが多い
  • オリーブオイルやココナッツオイルのようにPUFAが少ない脂は煙点が低い

みたいな感じでしょうか。つまり「どんな油を使っても高温の料理には対抗できない!」って結論になっちゃいそう。


が、あえて使いみちによってオススメを挙げるなら、
  • 高温の料理:パームオイル、精製ココナッツオイル、未精製のギー、グラスフェッドバター、牛脂
  • 低温の料理:オリーブオイル、ヴァージンココナッツオイル、ナッツ系の油
  • 加熱しない:アマニ油、フィッシュオイル、タラ肝油

って感じになるでしょうね。市販の大豆油やキャノーラ油については、以前にも書いたとおり精製の過程で酸化が進んでいるケースが多いので基本的には除外しております。それでも使いたいときは、コールドプレスの商品を選ぶのが吉でしょうねぇ。

まとめ
そんなわけで、以上の話をまとめると、
  • 油は調理の温度によって使い分けたいところ
  • 高温の調理は止めたほうがよし。どうしてもやりたいなら動物系の脂を使うといいかも

 ってとこでしょうね。まぁ私の場合は近ごろは真空低温調理ばっかりで、料理油を使わなくなったわけですが。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。