美容サプリとして有名な「ケラチン」が筋肉量アップに効くかも!という話
というわけで、ケラチンのお話です。
ケラチンってのはタンパク質の一種で、動物のツノとか体毛にふくまれてる成分。ほとんど消化できないんで、かつてはムダなものとして打ち捨てられておりました。
ところが、10年ぐらい前に消化しやすいケラチンが開発されて状況が一変。美肌や美髪用のサプリメントとして売られるようになったんですな。
で、いまんとこケラチンでよく言われるのが「筋肉を増やすのに効くのでは?」って話です。というのも、過去の動物実験なんかだと、ケラチンを飲んだあとからラットのタウリンレベルが上がったもんですから。
以前にもちらっと書いたとおり、タウリンは筋トレに効くって話があるアミノ酸の一種。どうもトレーニングのストレスを緩和する作用があり、おかげで運動のパフォーマンスがあがりやすいみたいなんすよ。
さらにケラチンにはヘモグロビンやヘマトクリット値が上がる効果もありまして、酸素のめぐりを良くしてくれるのもうれしいポイントだったりします。酸素の利用効率が上がれば、当然エクササイズのパフォーマンスもアップするわけです。
ただし、ここらへんの話はあくまで動物実験の知見がメイン。ヒトを対象にしたデータはなかったんですが、近ごろいい感じのデータ(1)が出まして、ちょっと勉強になりました。
これはマッセー大学の研究で、15人の男性サイクリストが対象(平均年齢は34歳)。
実験期間は4週間×2回で、
- 最初の4週間は、体重1kgあたり0.8gのケラチンかカゼインを毎日飲む
- 8週間のウォッシュアウト期間
- 次の4週間も、体重1kgあたり0.8gのケラチンかカゼインを毎日飲む
って感じ。シングルブラインド&ランダム化クロスオーバー試験になっております。
そのうえで、全員には週2のトレーニングを1回1時間ずつ指示。そこから体脂肪や血液のパラメーターなどを調べたら、こんな結果になりました。
- ケラチングループは、カゼインよりも足の筋肉量が増えていた(+0.45kg vs -0.04kg)
- その他の指標については、どちらのグループにも差はなし(酸素の利用率とかエクササイズのパフォーマンスとか)
ってことで、ケラチンは運動のパフォーマンスに影響がないが、筋肉を増やすのには役立つかも?って結果になっております。
もちろん、この研究はサンプルサイズが小さいうえに検出力の計算もしてないんで、どこまで信じていいものやらはちょっと判断できず。とりあえず、いままで謎が多かったケラチンに可能性が出てきたなー、ぐらいに思っておくといいんじゃないでしょうか。
個人的にはまだケラチンのサプリを買おうとは思わないものの、可能性にかけてみたい方はどーぞってことで。