辛くないトウガラシの成分で筋トレがめちゃくちゃはかどるんじゃないか?みたいな実験の話
カプシエイトという成分をよく耳にするようになった昨今でございます。俗に「脂肪燃焼効果がある!」とか「消化が良くなる!」「鎮痛作用がある!」などと言われていて、注目されてるんですよ。日本だと味の素さんが推してまして、「カプシEX」とか「アミノバイタル カプシ」といった商品に配合されてますね。
そもそもはトウガラシの辛味成分であるカプサイシンの仲間で、ダイエット効果がありそうな成分と言われてきたのをご存じの方も多いでしょう。ただし、こいつで痩せようと思ったら大量のカプサイシンを摂取せねばならず、ダイエットサプリとしては使いづらかったんですよね。
が、カプシエイトは辛くない新種のトウガラシから抽出された成分で、辛みの強さはカプサイシンの1000分の1。おかげでカプサイシンよりも取り扱いやすく、サプリとしての効果も得やすいんじゃないの?と考えられてるわけです。
ってことで新たな研究(R)では、「カプシエイトが筋トレに役立つか?」ってポイントを調べてくれておりました。もともとカプサイシンには「筋トレがはかどるぞ!」って報告があったんで、カプシエイトにも似たようなメリットがあるんじゃないの?と考えるのは自然だったんですよね。
では、今回の研究がどのようなものだったかと言いますと、
- 筋トレはしてない20人の男性に協力を頼む
- みんなに週4日の筋トレをしてもらう(上半身メニュー2日、下半身2メニュー2日)
- 筋トレの45分前に、参加者の半分にカプシエイトのサプリ(カプシエイトを50%含むように標準化された12mgのカプセル)を飲んでもらい、残り半分にはデンプンをふくむプラセボサプリを飲んでもらう
- 6週間の実験期間が終わった後で血液検査を行い、体内の炎症レベル、体組成、筋力の変化などをチェッう
みたいになります。「カプシEX」では1回分のカプシエイトが9mgなんで、それよりちょっと多い感じっすね。
その結果がどんな感じだったかと言いますと、
- カプシエイトを飲んだグループは、プラセボのグループよりも筋肉(≒除脂肪体重)が増えた(カプシエイトグループが2.1 ± 1.8%増加に対し、プラセボグループはは0.7 ± 1.3%増加)。カプシエイトグループの筋肉の増加量は約1.5kgで、この効果はタンパク質の摂取量をコントロールしても統計的に有意だった
- カプシエイトグループは、プラセボに比べてベンチプレスの筋力アップが有意に大きかった。カプシエイトグループは筋力が13.4±9.1%向上したのに対し、プラセボでは5.8±5.2%しか向上しなかった。ただし、足の筋力については有意な影響がなかった
- 筋持久力については、サプリを飲んでも目立った変化はなかった
- 体内の炎症についても、サプリを飲んでも目立った変化はなかった
みたいになります。カプシエイトですべての結果が改善するわけじゃないものの、ベンチプレスの筋力と無脂肪体重が増加したあたりは注目に値しますね。
ちなみに、カプサイシノイドの筋トレ効果を調べた過去のレビュー(R)によると、これまでに3件のヒト実験で持久力の有意な改善が見られ、2件で筋トレのパフォーマンスの改善が報告されているとのこと。これを見てても、カプサイシン系のサプリは運動のパフォーマンスを高め、その結果として体づくりに役立ってくれる可能性は高そうであります。
まぁ今回の実験については、本文中に総トレーニング量は報告されてないし、カプサイシンと筋トレ系の実験はほぼひとつの実験室でしか行われてないし、そもそも「なんでカプシエイトで体組成が改善したの?」ってメカニズムもよくわからんので、もうちょい慎重に見ていきたいとこではあります。この意味で、まだ「筋トレのためにカプシエイトを飲もう!」とは言えないものの、試してみたいという方は、
- 筋トレの45分前に12mgを摂取!
ってガイドラインを守るといいでしょう。どうぞよしなにー。